上巳の節句。百姓と猪のたたかい(1) (つくで百話 最終篇)
昨日の雨がつくった水溜りに氷が張っていた,寒い朝でした。
今日は令和3年3月3日,五節句の一つ「上巳の節句(じょうしのせっく)」です。
「桃の節句」「ひな祭り」で,女の子の節句とさ,雛人形やその調度類を飾って,桃の花や菱餅などを供えて,健やかな成長を祈ります。
桃の節句には,菱餅,ひなあられ,白酒,ちらし寿司,はまぐりのお吸い物などがお祝いの食べ物として並びます。
今夜の食卓は,いかがでしたか。
節句には,もともと男女の区別はないのですが,菖蒲を「尚武」にかける「端午の節句」に対し,上巳の節句は優雅な女の子のお祭りとして楽しまれるようになりました。 雛人形にも飾られている菱餅には,魔除けの効果を願った「赤(ピンク)色」,子孫繁栄と長寿を願った「白色」,厄除けを願った「緑色」が使われています。また,この3色には赤は「桃の花」,白は「純白の雪」,緑は「新緑」を連想させるということで,「春の情景」を表現する意味もあります。(中学校HPより引用)今日,愛知県の多くの中学校で卒業式が行われました。 最高学年として新型コロナ禍の学校生活を創ってきた卒業生を,餞の言葉を贈り,心を込めて送り出されました。
人生に「リハーサル」はありません。 今のところを「やり直し」,ということはできません。 どんなにできが悪い場面であっても「本番」なのです。 (略) もう一つ,人生は「片道切符」です。 私たちは,「往復切符」も「回数券」も持っていません。 それを思うと,「いかにこの瞬間が大切なのか」が,わかると思います。 「いまここ」を大切に生きていきましょう! ================== 「なぜ、勉強するのですか」 皆さんは答えが出せますか。考えてみてください。 (略) では、「自分は何のために存在するのでしょうか」 私たちも木と同じように、自分を磨き、鍛え、知識を身につけさせ、技能を身につけさせることによって何かの役に立つのです。役に立つことによってはじめて人生に意味が生まれるのです。 その自分を磨き、鍛える活動こそが勉強なのです。しかし、自分が何の役に立てるのかは、分かりません。だから、様々なことにチャレンジし、いろいろな教科を学ぶのです。多くのことを学ぶ中から、自分が人や社会のために役に立てるものが何かが分かってきます。しかも一つではなく、いくつでも作ることができます。自分の存在理由はいくつでもできるのですよ。 (略) 最後に、アインシュタインの言葉を贈ります。 「学べば学ぶほど、自分がどれだけ無知であるか思い知らされる。自分の無知に気づけば気づくほど、より一層学びたくなる」(中学校HPより引用)義務教育を終える節目として,これまで,そしてこれからへの感謝の一日です。 みなさん,ご卒業おめでとうございます。 『つくで百話 最終篇』(1975・昭和50年7月 発行)の「民族と伝承」の項からです。 ******** 百姓と猪のたたかい 昔の作手郷には,熊・鹿・狼・猪などの猛獣が横行潤歩していたようであるが,熊は中部山岳地帯に退き,鹿は本宮山一帯の禁猟区に閉じ込められ,狼は明治末年の狂犬病で絶滅してしまったので,現在は猪の一人天下となった観がある。 猪は猛獣とは言っても,どこか人間社会と馴染み深い親しみを感じさせる動物である。しかし,百姓にとっては恐るべき山の暴君であった。歴代の百姓は,猪のために筆舌につくせない大被害を蒙っている。 折角丹精こめて作りあげた稲田が,一夜の中に猪のため喰い荒され,踏みにじられて泣くにも泣けない悲境に追い込まれた百姓は,数えきれないほどあったであろう。この猪を防除するために,百姓が費した労苦は並大抵のものではなかった。以下百姓と猪の血みどろの闘争の跡を振り返ってみたい。 ウツ鉄砲 猪のいつも通る道をウツと言った。その道に仕掛けて置くのをウツ鉄砲と言う。猪のウツの,地上三〇センチくらいの所に綱を張っておく。これに猪の前足がひっかかると,鉄砲が発射して猪の胴中に命中するように仕掛けてあった。茸取りに行った人がこれに掛って怪我をするような事故も間々あった。 猪小屋 水田付近に小屋を作って,その中で一晩中榾火をたきながら頑張って,時々マセ棒や石油罐をたたいて猪の襲来を追い払ったものである。 案山子 案山子は藁人形にシヤツ,股引などを着せ,帽子又は笠をかぶせて田の畔に立てておいた。 かこ ボロをなってワラで包んだり,竹筒に入れたものに火をつけて,田の畔にぶらさげておく。ボロのきな臭いにおいをきらって,猪が寄りつかなかった。 猪垣 水田の山際に,深さ一・ニメートルくらいの堀を掘り,その上に一メートルばかりの石垣を築く。山から出てきた猪は,この堀と石垣にはばまれて田へ入ることができなかった。 木柵 耕地の周回に栗の木などの長さ一,二メートルくらいの割木を,ギッシリ立て並べておく。割木の間隔を少々広くして,竹や細丸太を横に結びつけておくものもあった。 カンテラ カンテラ,又はガス灯(ガラスの箱にランプを入れたもの)を,田の畔につるしておく。 ボットリ 水桶に水がたまると,丸太の一方の端がさがり反対の端があがる。水がこぼれるとあがっていた丸太が落ちて,石油罐などたたいて音をたてる。これも猪が慣れてくると効果がない。 カンシャク玉 火縄の中にカンシャク王を入れておいて,ある間隔をおいて爆発するようにする。 籾穀いぶし 田の畔へ籾穀を運んでこれを燃す。火の光と煙で猪が寄りつかない。 ヤトウ 山際や崖下などで猪が飛び下る所ヘ一メートルくらいに切った竹の先端を鋭くとがらせた物を,所せましと立てておく。上部からとびおりた猪の胴体に突きささる。 (つづく) ******** 注)これまでの記事は〈タグ「つくで百話最終篇」〉で 注)『続 つくで百話』の記事は〈タグ「続つくで百話」〉で 注)『つくで百話』の記事は〈タグ「つくで百話」〉で