初雪。「蚕をかっていたころ」《生活の移り変わり 6》
いよいよ“本格的な冬”がやってきたようです。
予報が「寒波が…。」と伝えていますが,気温は低くなっても「まだ…。」と思っていましたが,今朝,外を見ると白いものが…。
雪です。
所々に少しあるだけですが,遠目からも“雪”だと分かりました。
初雪そして初積雪です。
日中は気温が上がらず,13時頃の気温は4度でした。
「寒さに負けずに…。」とは思いますが,外での活動を躊躇する気候です。さて…。
文集「こうやまき」から,「生活の移り変わり」の一話です。
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『蚕をかっていたころ』 (文・巴小5年 男子)
ぼくの家では,蚕を昭和ニ十七年ごろまでかっていました。作手村の養蚕がさかんだったのは,昭和十年頃だったそうです。そのころのようすをおじいさんに話してもらいました。
蚕は,春,夏,秋と三回,多い家で四回かいました。一番いそがしいのは,春蚕で,田植えの仕事といっしょになるので目もまわるようないそがしさだったそうです。
五月の末に「はきたて」をして,ちょうど田植えごろ蚕が大きくなって,くわもよくたべるので,朝は五時ごろ起きてくわをやり,七時ごろには,外へ出て牛で田をすいたり,しろふきをしたり,なえを植えたりいそがしく働き,夕方になると畑へ行ってくわの木をきって運んだり,蚕をかついだりして,夕食をとるのは八時すぎ。夕食後の休けいもそこそこに,蚕の床をかえたり,あす蚕に食べさせるくわの葉をこいだりしたそうです。昼間の田んぼの仕事でつかれていても,とても12時前にはねられなかった。人手の少ない家では,いそがしい時は,ねどこへはいることもできずにくわをこぎながらかりねをする人もあったそうです。とにかく朝早くから晩おそくまで働きどおしで大いそがしでした。
蚕は,二十日ぐらいたつと大きくなって体がすけてきて,まゆをつくるようになる。まゆをつくるようになると,「じょうぞく」といって蚕を一びきずつ「まぶし」の中へいれる。この時がまたいそがしくおおぜの人手で一日から二日かかります。
「じょうぞく」をして二日ぐらいたつと蚕は,白いまゆになる。一週間ぐらいでまゆはかたくなるので,まゆかきといってまぶしから一つ一つまゆをとる。これもまる二日ぐらいかかる。まゆがとれると,集荷所へはこび,みんなで選別して,十六kgずつふくろに入れ,しょいこで市場まで運んで製糸会社へ売った。
大正十二,三年は,自動車がなかったので,まゆをかごに入れ,人の背や牛や馬で新城の製糸会社や市場へ持って行て売りました。
養蚕は,当時の農家にとって一番お金になる仕事で,一けんで,六十kgから八十kgとり,多い家では,百kgもとったそうです。ねだんは,十kg十五円にもなったそうです。それで,どこの家でも,畑にはくわを作り,家の中はざしきまで蚕室にし,自分たちはすみの方でねるというくらい熱心にかっていました。ところが昭和十六年ごろから戦争がはげしくなって食物が不足してきたので,畑には,麦,いも,豆などが作られるようになり,くわのさいばい少なくなってきて,それにつれて,蚕もしだいにかわれなくなってしまった。
これは全国的にそうで,生糸の生産額も戦争をさかいにぐっとおちている。作手で,今蚕をかっている家も数けんを数えるだけとなり,ぼくの家でも,昔蚕をかった道具が,納屋のすみでほこりをかぶっている。
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今,当地で「蚕を飼っていた」ことの分かるものを見ることは難しいでしょう。そして,その頃の話をできる方もわずかかと思います。
子供の作文から,その頃を思い描いてみると,“今につながる産業の跡”が見え,次への“路”が浮かんでくるのではないでしょうか。
【おまけ】
Facebookに,「Facebookでシェアした6年前の投稿を振り返ってみよう。」と表示がありました。
6年前の今日(2012/12/9)開かれたコンサートの写真でした。
その日のブログでは,
午後,作手地区で活動されている合唱団「ハミングバード」の10周年記念コンサート『明日に送る歌・新たな一歩を』が開かれました。 結成からは11年になるようですが,新城音楽祭に初参加した年からの「10周年」です。 おめでとうございます。 しっかり歌い込んできた“平均年齢20歳”(自称。詐欺かな??)の重厚な歌声で,楽しませていただきました。 予定した20曲とアンコール2曲。ほぼ2時間,歌い続けるパワーは,地域を元気にする力だと思います。 小学生からお孫さんのある方までが,「歌う楽しさ」をともに味わっていることは,素晴らしいことだと思います。 これからも楽しく歌い続けていかれることでしょう。 ありがとうございました。と紹介していました。 現在も,毎週土曜日に練習を行い,イベントなどに出演されています。 今も変わらず素敵な歌声です。歳を重ねた分だけ,さらに深みが増しているようです。 あなたも合唱をいかがですか。