集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

『笑いの力、言葉の力』(渡邉文幸・著)

甘味0226。 “甘味”が恋しくなっていませんか。  気候の変化に身体が疲れてたり、エネルギーが足らないのかも。  間もなく“”、ウキウキ、わくわくと。  書架に並ぶ背表紙を見ながら、そこに「笑い」と「言葉」の文字を見て、その本を手に取りました。  副題に「井上ひさしのバトン」とあり、その“笑い”に興味をもって『笑いの力、言葉の力: 井上ひさしのバトンを受け継ぐ』(理論社・刊)を読みました。  出版社の図書紹介では、
 「ひょっこりひょうたん島」「吉里吉里人」「父と暮らせば」などで知られる井上ひさしは、芝居、小説、随筆、コント集など多彩な創作活動を続け、多くの人に笑いと生きる力を与えました。その創作の核には、自身の生い立ちから自律に到る道のりを通して生涯考え続けた、言葉の力、一人ひとりの幸福、笑いの力への信頼がありました。  父親からのバトンを受け継ぐ思いで75年の生涯を駆けぬけた井上ひさしの作品をひもとき、次世代へ大事なメッセージを探ります。
とありました。  本書は、井上ひさしさんの作品、歩み(記録)を紐解きながら、その“”を語っています。楽しみにした、受け継がれた“新たな笑い”は見つかりませんでした。  筆者は、はじめにで、
 戯曲、小説、随筆、コント、それに評論など多彩な創作活動を続けてきました。(略) とうとうと流れる大河は、広く、自在に変化します。  その作品を手がかりに、バックボーンをつくった幼児期から青年期の時代を中心にたどることによって、その考え方理念思想を探ろうと思います。いわば大河の源流水源を訪ね、全体像に迫ろうというのです。
と本書を著すねらいを述べています。  笑いに、
ユーモア[humor]、ギャグ[gag]、ウイット【wit】 、コメディー[comedy]…
とあるなかで、井上ひさしさんが作り続けたものが「人間だけのほんものの武器=笑い」なのです。  ユーモア(humor)は、Human(ヒト)から生まれたようです。人間らしさの源にある“もの”を揺さぶるユーモアが、井上ひさしの作品があふれており、その“ほんものの笑い”の源流を教えてくれます。
 むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをゆかいに、ゆかいなことをまじめに書くこと  まじめなことをだらしなく、だらしないことをまっすぐに、まっすぐなことをひかえめに、控えめなことをわくわくと、わくわくすることをさりげなく、さりげないことをはっきりと
 井上ひさしさんの源流をめぐり、改めて作品を読み直してみませんか。
  目次 はじめに 第一章 ぼくの原点 第二章 言葉とユートピア 第三章 戦争にみたもの 第四章 小松を離れて 第五章 物語づけ 第六章 笑いをつくる 第七章 信じて走れ 特別収録 井上ユリさんに聞く『素顔の井上ひさし』 年譜 おわりに
【関連】   ◇井上ひさし公式サイト   ◇井上ひさしWikipedia)   ◇「吉里吉里忌」公式サイト   ◇Kazuko Matt (@kazukomatt)Instagram photos and videos) 【おまけ】  東日本大震災の後、話題になった釜石小学校校歌の作詞は、井上ひさしさんです。本書にも、そのことがでてきます。  改めて味わい、備忘録としてメモしておきます。
   釜石小学校 校歌      作詞;井上 ひさし/作曲;宇野 誠一郎 いきいき生きる いきいき生きる ひとりで立って まっすぐ生きる 困ったときは 目をあげて 星を目あてに まっすぐ生きる 息あるうちは いきいき生きる はっきり話す はっきり話す びくびくせずに はっきり話す 困ったときは あわてずに 人間について よく考える 考えたなら はっきり話す しっかりつかむ しっかりつかむ まことの知恵を しっかりつかむ 困ったときは 手を出して ともだちの手を しっかりつかむ 手と手をつないで しっかり生きる
 本書で、他にも校歌の作詞をしていることを知りました。  現在は、統合して新しい学校に変わっていますが、山形県川西町立川西第一中学校川西第二中学校の校歌です。
   川西第一中学校 校歌      作詞;井上 ひさし/作曲;宇野 誠一郎 空にひらけゆくわが学び舎に 雲なき大空今日も果てなし 励めや一中ただひたすらに 光あまねく身にあびて めあては一つ人らしき人 空よりもこころの広きをめざして 花にひらけゆくわが学び舎に 名もなき花々今日もうるわし 習えや一中こころすなおに 誇りけだかく養いて めあては一つ人らしき人 花よりもこころの清きをめざして 山にひらけゆくわが学び舎に 連なる山並み今日もたくまし 誓えや一中いざまろともに からだきびしく攻めあげて めあては一つ人らしき人 山よりもこころの強きをめざして