集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

『本には読む順番がある』(齋藤孝・著)

野菜0403。 暖かい日になりました。  先日,福島県双葉郡浪江町を中心に活動するアイドルグループ「浪江女子発組合(JA浪江)」を知りました。  ももいろクローバーZ佐々木彩夏さんが総合プロデューサーを務め,“浪江から,浪江の今”を届ける活動をしています。  新型コロナ禍の“10年目の浪江町の今”も,彼女ならの発信をし続けているようです。  読書の達人である斎藤孝氏(明治大学教授)は,読書する力をつける目安として「文庫100冊,新書50冊を読むこと」を提唱しています。  以前に紹介した『読書する人だけがたどり着ける場所』(2019/04/15)や『なぜ本を踏んではいけないのか』(2020/04/05)でも,読書の大切さを述べています。  しかし,闇雲にたくさんの本を読んでも"苦行”にしかならないかもしれません。その指南をする『本には読む順番がある』(クロスメディア・パブリッシング・刊)です。
 物事にはすべて順番があります。  何かを学ぶにしても,仕事をするにも,順番が大事です。  たとえば勉強であれば,算数で足し算や掛け算を学んで完全にマスターしてから方程式を学ぶでしょう。 (略) どんなに大学の成績が優秀な新人でも,いきなり課長や部長の仕事をできるわけがありません。  物事にはすべて順番があり,誰もがそれを知って実際にそのように行っています。  ところが,こと読書に関しては,なぜかこの真理が忘れがちです。
 本書は,本を読む順番として「3ステップ読書術」を示し,具体的に解説しています。  3ステップ「初心者の読むべき本→中級者の読むべき本→上級者が挑戦すべき本」の順を追って本を理解します。複数の本をつながりで捉え,1冊ずつ読み進めていきます。  順番に読むことで,1冊の本から吸収できる知識・教養は倍増します。そうして,ステップアップしながら知識・教養が積み重なり,より深く,確実に本の内容が理解できます。  第3章で,ジャンル別,作家別に具体的に3ステップの図書を示して,"読書”に誘います。  ステップ1からステップ2,ステップ3へと複数の本を挙げて解説し,最後に1冊ずつ表紙を示していました。  6つのジャンルで示された表紙の本を,以下にリンクしました。 思想・哲学ジャンル】難解で長大な作品が多いので、やさしいものから読み始めたい   ステップ1 [最初の1冊]哲学の世界の概略と全体像をつかむ   ステップ2 「次の1冊」哲学の真理に近づける本を選ぶ   ステップ3 [仕上げの1冊]学者の原典で哲学の真髄に触れる科学・宇宙ジャンル】まずは通俗本で基礎を固めてからエッセイや教科書で知識を深化させる   ステップ1 [最初の1冊]図鑑や入門書で全体像をつかむ   ステップ2 [次の1冊]フアインマンのエッセイが読みやすい   ステスフ3 [仕上げの1冊]アメリカの大学の教科書で学ぶ数学ジャンル】数学という知の世界を段階的に体験していく読書の醍醐味   ステップ1 [最初の1冊]まずは文系でも理解できる入門書から   ステップ2 [次の1冊]「最終定理」に向き合う数学者たちのドラマ   ステップ3 [仕上げの1冊]日本人数学者の世紀の大発見に興奮する宗教ジャンル】私たちはどう生きるべきか。宗教を正しく知ることで真理に近づく   ステップ1 [最初の1冊]世界の宗教の知識を1冊でつかむ   ステップ2 [次の1冊]ブッダや空海の生の声を聞ける本   ステップ3 [仕上げの1冊]世界的な権威、エリアーデの著作で締める歴史ジャンル】歴史は人間を知る最良の教科書。全体から部分へ深めていく   ステップ1 [最初の1冊]高校の教科書や図録でもう一度学ぶ   ステップ2 [次の1冊]断片的な知識ではなく流れでとらえる   ステップ3 [仕上げの1冊]人類の起源、進化を巨編で読む文学ジャンル文学史、文学の系譜を頭に入れてから個別の作品に進む   ステップ1 [最初の1冊]まずは漫画や入門書で全体像を把握   ステップ2 [次の1冊]文豪の人となりを知ることで興昧が増す   ステップ3 [仕上げの1冊]世界の文学者を総まとめ  あなたも,まず[最初の1冊]から始めますか,それとも[次の1冊]ですか。  楽しく本を読みましょう。  読書メモ
○ 人間が感覚的に捉えることができるものは,一瞬で判断ができます。 本0403。 ところが,本はそうではありません。 ○ やさしく物語化した本を補助輪にして,古典を読み切ることで,私たちは新たな視点や価値観を得ることができます。古典のまどろっこしさを緩和する意味で,このような物語形式にまとめられた本が,大いに役に立ちます。 ○ しかし,本離れ,活字離れが取りざたされる昨今,さすがに中学生の課題図書でこうした新書を選ぶことは少ないでしょう。(略) もっとも,その状況を嘆いてばかりいても始まりません。まずは本を読むことに慣れることが先決です。 ○ 相手に話すこと──つまりアウトプットを前提にすると,勉強も映画の内容も,本の内容も不思議なくらい頭に定着します。 ○ 引用力が重要になる読書のことを,私は「人格型の読書」と呼んでいます。ゲーテなり,ニーチェなり(略) 要約力ではなく引用力を重視することがポイントです。
   もくじ はじめに 第1章 なぜ、「読む順番」が大切なのか? 第2章 最初の1冊をどう選ぶか? 第3章 「哲学」から「歴史」、「科学」まで   【ジャンル別】本物の教養が身につく3ステップ読書術 第4章 ニーチェから夏目漱石太宰治まで   【作家別】本の理解力が上がる3ステップ読書術 第5章 読む順番と同じくらい大切なこと
【関連】   ◇読書に関する調査(2020年)(クロス・マーケティング