集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

500円硬貨。 3-2.2 「交通の変遷」の執筆(2) (昭和に生きる)

五百円0323。 曇った天候から、昼頃には雨が本降りとなりました。  最近、電子マネーやカードで支払うことが多く、硬貨を手にする機会が減りました。  先日、久しぶりに受け取ったおつりに、2021(令和3)年11月から流通していた新500円硬貨がありました。  新しくなったことを知っていましたが、初めて実物を手にしました。  この新500円硬貨(3代目)には、偽造防止(?)の新たな工夫があるそうで、それを確認できました。  角度によって見える文字が変化する「潜像」は、下から「500YEN」、上から「JAPAN」と読めました。また、よく見ないと分からない「微細文字」は、拡大鏡が必要でした。  その他にも…。  あなたの手元に新500円硬貨(3代目)がありますか。  故・渥美利夫氏が還暦の年に著した『昭和に生きる』(1987(昭和62)年刊)からです。  渥美氏の教育実践、教育論は、“昔の話”ですが、その“”そして“”となるものは、今の教育に活きるものです。これからの教育を創っていくヒントもあると思います。  本書のなかから、“その時”に読んで学んだ校長室通信を中心に紹介していきます。「考える」ことが、若い先生に見つかるといいなあと思います。  この項は、「昭和49年『交通の変遷』国土社」から構成されています。 ********     戦後教育史の片隅に生きる     教育行政の歯車のなかで   社会科授業シリーズ「交通の変遷」の執筆 (つづき) この本の中でわたしなりに意図したこと、願いつづけたことについて、「あとがき」で次のように書いた。  昭和三十三年、上田薫先生は長坂端午、重松鷹泰先生らとともに民間教育団体、「社会科の初志をつらぬく会」を発足させて、ご活躍をなされるのである。初志の会発足と同時に入会したわたくしは、そこで社会科について教えを乞う機会はさらにふえてきた。昭和三十七年初志の会機関誌「考える子ども」の編集が、なんのかぜのふきまわしかわたくしのところへお鉢がまわってくるこ。とによって、先生とのつながりはさらに緊密の度をましていった。  実践がゆきづまりともすると堕落しそうになる怠惰なわたくしの教育姿勢を、いくたびかたちなおらせてくれたのは、「知られざる教育」「人間形成の論理」(黎明書房)の著にもみなぎっているあの先生の教育哲学であった。そのきびしいご指導と、あたたかい庇護のもとに社会科の実践を続けることができたのは、まったくしあわせというほかはない。  けれども、わたくしの実践は中途で挫折した。付属中学への転出、さらには小学校教頭、そして教育事務所ヘの異動によって実践の現場からだんだん遠ざかっていかねばならなかった。しかし実践から遠ざかりながらも社会科教育への情熱をもやすことができたのは、機関誌「考える子ども」を中心に、実践をともにしてきた初志の会の会員誌友があったからであった。  問題解決学習を身近なものにしなければ、子どもたちが学校で生き生きと学習に精出すことはありえないという考えで努力をしてきただけに、実践の現場から離れるにつれて自分のすることはいったいなにであるかという問題に悩みつづけなければならなかった。 スマイル0323。 現場をみてみると、問題解決学習を実践しているとはお世辞にもいえない。しかしそのような授業をしなけければ、社会科の授業にならないし、子どもは育たないと思っている教師はひじょうに多いというのが事実である。そこでわたくしは、過去のすべての実践をひとつの拠点にして、上田先生から教えられたこと、あるいは社会科の初志をつらぬく会のなかにおけるわたくしの研究、先輩そしてなかまの研究、はたまた「考える子ども」の編集を通してうるところのかずかずの貴重な体験を、そこに生かして問題解決学習への“橋渡し”の役割をすることが、わたくしの現在の立場におけるつとめではないかと、ひそかに考え続けてきたのである。  このたびのシリーズにその機会を与えられたことについて上田先生にまずもって感謝をしたいと思う。そこでほんの少しでも“橋渡し”の役割がはたせることができるならば、先生に対するささやかな恩返しを含めた多年の念願が、緒につくというわけである。その意味でがんばったのであるが、日暮れて道遠しの感がするのはどうしようもないところである。 (つづく) ********  注)これまでの記事は〈タグ「昭和に生きる」〉で  注2)掲載しているイラストは、学年通信(1993・1994年度)用に教員が描いたもので、図書との関連はありません。