集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

節句。 2-1.5 初志の会誕生(2) (昭和に生きる)

雛飾り0303。 今日3月3日、「上巳(じょうし)の節句」です。  「雛祭り」「桃の節句」で、女の子の節句とされます。雛人形やその調度類を飾って、桃の花や白酒、菱餅などを供えて、健やかな成長を祈ります。  今日の食卓に、“はまぐり”はありましたか。  故・渥美利夫氏が還暦の年に著した『昭和に生きる』(1987(昭和62)年刊)からです。  渥美氏の教育実践、教育論は、“昔の話”ですが、その“”そして“”となるものは、今の教育に活きるものです。これからの教育を創っていくヒントもあると思います。  本書のなかから、“その時”に読んで学んだ校長室通信を中心に紹介していきます。「考える」ことが、若い先生に見つかるといいなあと思います。  この項は、現代の教育へ続く「戦後教育史」を見ることができます。 ********     戦後教育史の片隅に生きる     青年教師時代   初志の会誕生 (つづき)  そして、初志の会は、自分たちの研究を促進し、おたがいの団結を固めるために、また、その主張を世の中に打ち出していくために機関誌をもつことを計画していることを表明し、その場合も主張の純粋さをこわさないために、あくまで会員制をとり、市販を避けたいとしている。会員として参加されないまでも、この会を育てる意味においても、わたしたちの主張に関心をよせてほしいと訴えている。長坂端午、重松鷹泰、上田薫、大野連太郎氏の連名で、昭和三十三年七月一日に出されているのである。  ちなみにここに会員の資格を載せておこう。左(下)の項目にそれぞれ該当すること。  1、注入主義をいかなる意昧においても受け入れない人。  2、いわゆる系統的知識の強調に対して疑問を持つ人。  3、今日さかんに推進されている徳目主義的な道徳教育に賛成できない人。  4、社会科を自分の研究や実践の真正面にすえている人。  5、ささいに見えることがらに対しても自分独自の研究をもつことにつとめ、必要があれば、いつでも主体的な意見が発表できる人。  6、権威をおそれず、権威によりかからず、また他人に対して権威あるかのように語ることをしない人。  7、つねになっとくのいくまで、自分の考えをつきつめ、外からの圧迫や誘感によって節をまげることのない人。 上田氏と0303。  そして第一回集会を昭和三十三年八月九日(土)、十日(日)、十一日(月)に伊豆熱川片瀬温泉(静岡県加茂郡城東村片瀬三五四)東豆館及び城東中学校で行なう。二泊三日で約千五百円(但し、懇親会費三百円を含む)参加資格はA会員にかぎる。議題として「私たちの主張」の検討と、これからの会の運営についての相談、となっている。  社会科の初志をつらぬく会の結成については、まえまえから上田・重松先生から聞いて知っていた。しかし、それが実際に実現されるかと思うと、参加申込みもなにか身のひきしまる思いでポストに投函をした。天下の実践家と一堂に会する喜びに期待をふくらませながら東海道線車中の人となり、ひとり伊豆熱川に向かった。参加の檄に呼応して熱川に集結したものは百名を越えていた。小数精鋭主義の会の方針であった。発起人の四人の教育学者だけで会の運営をすることは物理的にもむつかしい。長坂夫人、大野夫人もお手伝いに参加をされていたが、それに名古屋大学教育学部の助手の小川正氏。小川氏に誘われてわたしもお手伝いという破目に陥ってしまった。受付、会場の整理、苦情の処理、会員の募集など四人で切りまわさなければならないので、目のまわる忙しさだった。そして時間をみつけては研究討議への参加、二泊三日の生活は芯から疲れたというのが実感であったが、それはまた充実した会であったということでもあろう。  初志の会の結成、そして参加、上田先生を通じて全国の実践家と接する機会ができたということは、“井の中の蛙”であったわたしの視野を広げてくれる役割をはたしてくれたし、先輩の実践の深さに圧倒されて、自分の実践のあまりにみすぼらしいのに自分ながら情けなくなって、ノックダウンされた思いだった。雛祭り0303。けれども、来年の集会には、少しでも先輩の実践に近づきたい、中味のある実践をしなければならないぞという闘志をかりたてられたことは、なににもかえがたい収穫であった。民間教育団体への参加、それはわたしのその後の教育界における方向を決定的なものにした輝かしい道標でもあった。 ********  注)これまでの記事は〈タグ「昭和に生きる」〉で  注2)掲載しているイラストは、学年通信(1993・1994年度)用に教員が描いたもので、図書との関連はありません。 【備忘録】  この計算、美しい!  そして、面白い!!