集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

「寒露」。『翻訳書簡 『赤毛のアン』をめぐる言葉の旅』(上白石萌音・河野万里子・著)

花1008。 雨模様の寒い一日でした。  今日は,二十四節気の一つ「寒露」です。草花に冷たい露が宿り,秋が深まる頃で、山の木々が紅葉の準備を始めます。  季節の変化を愉しみ、自然への感謝を。  女優でも歌手としても活動する上白石萌音さんが、有名な児童書を翻訳するようすが綴られる『翻訳書簡 『赤毛のアン』をめぐる言葉の旅』(NHK出版・刊)を読みました。  でも、読み切る元気が無くなって…。
 上白石萌音、翻訳家デビュー。『赤毛のアン』を読み、訳し、言葉をみがく。萌音さんの朗読音声DL 付き!  朝ドラ「カムカムエヴリバディ」で見事な英語力を披露した上白石萌音さん。子どもの頃から英語が大好きで、熱心に学び続けています。  そんな萌音さんが愛する海外文学のひとつが、不朽の名作『赤毛のアン』。本書では人気翻訳家の河野万里子さんとのお手紙を通して、萌音さんが『赤毛のアン』の名シーンの数々を翻訳します。  河野さんによる萌音さんの翻訳へのアドバイスは、語学的なものにとどまらず、「日本語としていかに表現するか」を問いかけるもの。  それに応えて萌音さんが紡ぐ、瑞々しい訳文が本書の見どころです。  語学や翻訳のみならず、広く「ことば」に関心がある皆さんに手に取っていただきたい一冊。
 アニメを見た、ドラマで見た、ミュージカルを観た…。  誰もが『赤毛のアン』の書名を耳にしているでしょうが、登場人物や内容をよく知っている方はどれくらいいるでしょうか。  本書を読みながら、“よく知らない一人”なことを痛感し、それで元気が…。  上白石萌音さんは、インタビューで、翻訳を経験して言葉に対する向き合い方を問われ、次のように語っています。
 普段は作家さんが書いた言葉を台詞として発するので、言葉そのものを自分の中から生み出すということはそれほどありません。  けれど、翻訳となると、自分が持っている日本語を――ときには持っていない日本語も――使って、英語の原文に対応させていかなければならない。表現することの根本は一緒かもしれないですけど、矢印の方向が違うような感じはありましたね。  言葉を生み出すことの大変さや、生み出された言葉の尊さを知って、これから台詞を言うときにも、もっと言葉を大切にしたいと思うきっかけにもなりました。
 まず、示された英文を上白石さんが翻訳し、その読み取りや意識したことを河野さんへの手紙に綴っています。  その翻訳と手紙を受けた河野さんが、「翻訳のポイント」を示し、別の翻訳を示し、返信しています。  それを受け取った上白石さんが、感想を述べ、「上白石と河野の翻訳」が整い、最後に「書簡を終えて」です。  そして、次の英文に向かいます。  本書は、順に読み進んでゆくのが良いですが、その時、上白石さんの翻訳を読む前に、まず“自分の訳”をしてみると、よさや違いが楽しめます。  また、 『赤毛のアン』の気に入った内容の回・項を選んで読むと、内容がよく分かり、翻訳もしやすいかもしれません。  あなたも翻訳を楽しんでみませんか。
   CONTENTS・目次 はじめに この本の構成と使い方 音声について 『赤毛のアン』のあらすじ 第1回 訳者は役者に通ず 第2回 アンの“wonderful” 第3回 ヤクシャは監督にも通ず 第4回 翻訳を生かすも殺すも会話次第 第5回 話し言葉は現実と虚構の間を 第6回 ギルバート、登場 第7回 語感を研ぎ澄ます 第8回 アンの部屋を満たしているのは… 第9回 ただ一つの言葉を選びとる 第10回 言葉は誘い合う 第11回 求心力と吸収力 第12回 感動の大きさを、そのままに 第13回 正解はないけれど 英文と翻訳一覧 あとがき
【関連】   ◇上白石萌音さん&翻訳家・河野万里子さんインタビュー 英文和訳から翻訳へ 原文でめぐる「赤毛のアン」の世界(好書好日)   ◇上白石萌音 オフィシャルホームページ   ◇NHK出版 デジタルコンテンツ付き商品   ◇上白石萌音さんの『赤毛のアン』朗読音声 『翻訳書簡』刊行決定特別企画!YouTube 再生リスト