『花は咲けども噺せども』(立川談慶・著)
曇りの日でしたが,昼過ぎ,急に強い雨が降り,しばらくして止みましたが,乾きかけていた路面に水の流れができました。
日差しや暑さが戻るのは,まだ先のようです。
朝,一昨日に続いて水路の土砂や石の片づけをしました。
先日の作業後の雨で,再び量が増えていましたが,何とか片付けることができました。
ここに溜まった土砂や石の出どころは…。次の大雨があったら…。
一先ず作業終了です。
「いい話の図書館」で31冊目の図書『花は咲けども噺せども 神様がくれた高座』(PHP文芸文庫)です。
本に恋する小林店長は,「本に恋する店主の呟き新聞」に
立川談志の弟子である立川談慶の初めての小説である。落語の本やビジネス書はたくさん書かれているが,さすがに落語家さん,学びつくした言葉の力に惹き付けられる。 自伝的小説で,前座から二つ目までに七年もかかり,食べていくために過酷な仕事も受ける。そこでの悲喜こもごもが,間違いなく今日を作ったと,読む者に思わせる。気をそらせないで持っていく最終章は泣くしかない。とメッセージを載せています。 立川談慶氏の本は,前回『落語家直伝うまい! 授業のつくりかた』(2017/03/08)を“教育書”として読み,その言葉の力と「間」を学びました。 物語は,落語家 山水亭錦之助の生き方が,彼に関わる人々そして場と演目(落語)で描かれます。
「立川談志」の落語に魅せられた杉崎は、勤めていた会社を辞め、落語家を目指した。異例ともいえる七年の前座修業ののち、なんとか二つ目になり、「山水亭錦之助」と命名されるも、食えない日々が続いていた。 「人生の選択を誤ったな」と嗤(わら)う大学時代の友人、OBらを後目に、がむしゃらに高座へと上がり続ける錦之助に、ある日、末期ガン患者の前での落語を、との打診があり……。第一話が,FM神奈川の人気番組のコーナー「突撃どこでも落語! 山水亭錦之助が行く」が寒風の吹くパワースポットから中継場面で始まります。 演目は『寿限無』,それを語りながらも頭の片隅で『道灌』がリフレイン…。 ここで,“花は咲けども,噺せども”の思いを重ね…。 小児科病棟,工藤さん宅,上田市の公民館,三ツ沢公園,老人ホーム,西木野部屋,埼玉県の中学校… 錦之助の出会う人,出来事,そして演じる落語,語ること… 中学校の文化講演会に『転失気』と『金明竹』の二つを選びました。会場に着くと,悪ガキ連が「あれっ,朝志郎じゃねえぞ!」と騒ぎ始め,ヤジが飛びます。 “一番後ろの赤い髪の女の子”を気にしながら,「こんにちは,立川朝志郎です …大変残念なお知らせをしなければなりません…」と語り始めます。 文化講演会は,大盛り上がり。 その後,錦之助にお礼が届き,そこに手紙が入っていました。差出人は「木下亨」とあり,本書で初めて登場する名です。 その手紙には…。 錦之助の暮らしを一緒に楽しみ,ゆっくり味わい,そこから心にずーんとくるお話です。 みなさんにお薦めの一冊です。 読書メモより
○ のちに至ってこれこそが談志が定義していた「落語は人間の業の肯定」だと知る。ついまり談志によって錦之助は心から解放されたのだ。 ○ 精いっぱい強がって去ってゆく太一の背中を見て,錦之助は自分自身を叱った。(馬鹿野郎,お前,なに考えてるんだよ! あの子のあれが天然の明るさだとでも思っていたのか!(略) ○ 「なんかさ,信じられないドジをリアルにしちゃってもそれが許されるような社会って,いいなって思うな。落語自体がそうじゃない?」 ○ やはり,落語家の性として,本当に心からときめくのはギャラの大小ではなく,お客さんのウケなのだ。 ○ 私は,落語って魔法じゃないかって思っているんですよ。明日死んじゃうかもしれない人に,『笑い』という魔法をかけてひとときでも元気にするなんて,すごすぎます。 ○ 「『だ』と『ど』の違いは天地の差だよ。でもいい女だったなあ」 ○ 文子は漢気あふれるキリっとした目になった。 ○ 「(略) こうしてさ,下から世の中見ているとさ,ほーら,向こうの角からこっちに向かって歩いている小学生たちだって,なんだか偉く見えてくるのよ」 ○ 「かいた恥に,どうケリをつけるか」「稽古が仕事」 ○ 「お互いにダメな人間同士,一緒につまづきながら仲良くやろう」
目次 第一話 小児科病棟の弟子 第二話 高座の上では魔法使い 第三話 花は咲けども噺せども 第四話 老人ホームの師匠 第五話 落語とは人間の業の肯定である【関連】 ◇立川談慶 (@dankeitatekawa)(Twitter) ◇立川 談慶の世界へようこそ!!! ?【「いい話の図書館」】 ◇最近紹介した本 ◇『ベランダに手をふって』(葉山エミ・作/植田たてり・絵)(2020/08/04) ◇『風は山から吹いている』(額賀澪・著)(2020/07/15) ◇『人生に、エールを。』(志賀内泰弘・編・著)(2020/06/14) ◇『ジュリーの世界』(増山実・著)(2020/05/22) ◇『母からゆずられた前かけ』(宮川ひろ・著)(2020/04/20) *以前に紹介した本は ☆カテゴリー「いい話の図書館」から 「いい話の図書館」とは… 本との出逢いは,人生を変えます。辛い時,悲しい時,苦しい時,一冊の本が「生きる希望」を授けてくれます。 そこで,ステキな本との出会いを提供する「いい話の図書館」を全国津々浦々に作ったら,どんなに素晴らしいだろうと考えて館主を募集しております。「いい話の図書館」の館主のお仕事は,本棚にステキな本を並べて多くの人に自由に読んでいただくこと。そのステキな本は,テレビをはじめ,マスコミでも話題の小林書店のカリスマ店主,小林由美子さんが心を込めて推薦する本です。 ◇いい話の図書館【申込】 ◇小林書店さん (@cobasho.ai)(Instagram写真と動画) ◇志賀内 泰弘(Facebook)