天皇誕生日。 『母親からの小包はなぜこんなにダサいのか』(原田ひ香・著)
立春を過ぎても寒い日が続いていますが,綺麗な青空で暖かさを感じる祝日でした。
今日は,国民の祝日の一つ「天皇誕生日」,日本の「国家の日・ナショナル・デー(National Day)」(Emperor's Birthday)でした。
日本国憲法 第1章 第1条に
天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。と記されています。 近年,マスコミが皇室に関わる話題を“普通”に取り上げ,コメントしているように感じています。これが「総意に基づく」ものなのかは疑問があります。 「象徴,統合,主権,総意…」 ◇天皇陛下お誕生日に際し(令和4年)(宮内庁) 2682年の永い歴史を繋ぐ皇室のありよう,そして日本の将来を思う日でした。 みなさんはいかがお過ごしでしたか。 「いい話の図書館」で届いた36冊目の図書『母親からの小包はなぜこんなにダサいのか』(中央公論新社・刊)です。 本に恋する小林店長は,「本に恋する店主の呟き新聞」に
母親からの小包にまつわる6つの物語。わたしは自分の両親が亡くなるまで一緒に暮らしていたので,母親からの小包なるものを一度も受け取ったことがない。でも結婚して県外に住んでいた妹に母はよく荷物を送っていた。この本のタイトルを見たとき,母をすぐに思った。小包の中身は「物」ではなく「愛」なんてものでもなく「涙」だったのかも,知れない…。とメッセージを載せています。 愛や涙とありますが,帯には吹き出し風に
「地元の銘菓」「ババシャツ」「靴下」「お米」 こんなにたくさん。 こっちでも買えるって言ってんのに。とあり,“ダサいもの”が競うように描かれることを想像しながら読み始めました。 第1話の東京で一人暮らしを始めた吉川美羽に届いた荷物は,最初に“地元の新聞”がかぶった物たち,ババシャツ,鰹節に海苔…。 思わず声が出ます,「東京は,岩手みたいに冷えないんだからね」「こんなの東京にも売っているんだって」と。 次に出てきた“がんづき”…。出てくる言葉が「うんめえ」になり…。 この荷物に入っていた○○が,なかなか友達のできなかった吉川美羽に新しい出会いを生み,広げていきます。 ダサい荷物が“不思議なパワー”をもっていたようです。 そのパワーを吉川美羽が使う姿が第2話かと思うと,そこに登場するのは新井莉奈でした。 第3話は,また別の主人公でした。 それぞれ別の6つの物語のようです。 でも,「あれっ。この人は…。」 6つの人と物が交錯しているようです。 “お届け物”(小包)が届ける「想い」が,あなたの「想い」と繋がります。 最近,あなたは“ダサい小包”を送りましたか。 あなたは“ダサい小包”を受け取りましたか。 読書メモより
○ ただそれは,ここに生まれた者には,なんの努力もなしにもらえる「特権」なのだ。 そんな街が「優しい」「皆,仲良し」と言えるだろうか。 美羽にはわからない。 ○ 巨大なブラックホールみたいになんでも引き寄せて吸い込んで,なんでも選べるけど,その選択肢を他の地域から来た人間には与えない街。 ○ 食べながら思う。母の気持ちも少しは理解できたし,小包は嬉しい。 ○ 今日もまた,母がどこかで「女性の仕事,女性の人生,云々」を誰かに語り,説いているのかと思うと哀れにも思えた。 ○ 親から「幸,多かれ」と祈りを込めて名前を付けられたこの人に,すべて本当のことを言うことができるのだろうか。 ○ そうなんだ,仮にも「お母さんのあったか小包」なのだ。そんな真心が,量産できるわけはなかったのだ。 ○ 箱が新品ではないし,貼ってある粘着テープが少しよれている。伝票は母の字で書かれていて,それだけで胸が突かれる思いがした。
目次 第一話 上京物語 第二話 ママはキャリアウーマン 第三話 疑似家族 第四話 お母さんの小包、お作りします 第五話 北の国から 第六話 最後の小包【関連】 ◇原田ひ香 (@LunchSake)(Twitter) ?【「いい話の図書館」】 ◇最近紹介した本 ◇『死ぬときに後悔しない生き方』(内藤いづみ・著)(2022/01/10) ◇『本が紡いだ五つの奇跡』(森沢明夫・著)(2021/12/23) ◇『川があふれた! まちが沈んだ日』(古山拓・絵/チームキジ馬くん・編)(2020/11/01) ◇『興福寺の365日』(辻明俊・著)(2020/11/01) ◇『花は咲けども噺せども』(立川談慶・著)(2021/08/21) *以前に紹介した本は ☆カテゴリー「いい話の図書館」から 「いい話の図書館」とは… 本との出逢いは,人生を変えます。辛い時,悲しい時,苦しい時,一冊の本が「生きる希望」を授けてくれます。 そこで,ステキな本との出会いを提供する「いい話の図書館」を全国津々浦々に作ったら,どんなに素晴らしいだろうと考えて館主を募集しております。「いい話の図書館」の館主のお仕事は,本棚にステキな本を並べて多くの人に自由に読んでいただくこと。そのステキな本は,テレビをはじめ,マスコミでも話題の小林書店のカリスマ店主,小林由美子さんが心を込めて推薦する本です。 ◇いい話の図書館【申込】 ◇小林書店さん (@cobasho.ai)(Instagram写真と動画) ◇志賀内 泰弘(Facebook)