集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

津波防災の日。「校長先生,どんな話をされましたか」

津波1105。 天気のよい日で,冷たい風が吹き寒い一日でした。  今日(11/5)は,「津波防災の日」「世界津波の日」です。  1854(嘉永7・安政元)年,11月4日に安政東海地震が,その31時間後(5日)に安政南海地震が発生しました。安政南海地震で起きた津波から避難する逸話「稲むらの火」が知られています。  「いつ起きてもおかしくない」と警戒が繰り返されている南海トラフ地震など大地震に備え,それぞれの命を守る行動を確認し,いざという時に備えましょう。  この時に合わせたのではないでしょうが,「旧大川小、新任校長90人が初研修 遺族2人が校舎案内」と,東日本大震災津波で児童と教職員の84人が犠牲・行方不明になった旧大川小学校で,昨日,県教育委員会主催の研修会が開かれたとニュースが伝えていました。  小さな命の意味を考える会のサイトには「10年目の校庭で」と題して記事がありました。
 宮城県内の新任校長研修会が大川小学校で行われ、案内を担当しました。  「校長先生は昨日、大川小に行ってきました」と学校で子どもたちや先生に話してくださいとお願いしました。  明日、宮城県内の少なくとも90校で校長先生が大川小の話をしてくれます。 (略)  明日学校でどんな話をしてくれるでしょう。
 今日,90人の校長先生は,どのような話をされたでしょう。  そして,このニュースを知った先生方は,何を思いましたか。どのような行動をされますか。  「校長先生,今日どんな話をされましたか?」  東日本大震災から9年7か月,多くの失われた命,大きな被害,その傷跡は今も癒えません。その一方で,新たに生まれ,始まったことがあります。  それらが「暗と明」や「負と正」のように対極で捉えられるのではなく,今そしてこれからに“活かす”ようにしなければならないと思います。  私も,あなたも,その“当事者”です。  何をするのか,何ができるのか,いろいろ考えたニュースでした。 【関連】   ◇資料室 【稲むらの火】和歌山県広川町 稲むらの火の館)   ◇小さな命の意味を考える会   ◇大川伝承の会Facebook)   ◇大川小学校事故検証委員会について石巻市)   ◇息子は大川小の担任だった 負い目の両親に遺族は朝日新聞デジタル)   ◇大川小学校に関するトピックス朝日新聞)   ◇3.11大震災河北新報オンラインニュース)   ◇大川小学校を襲った津波の悲劇・石巻東日本大震災の記録 大津波の悲劇・惨劇の報道を追う)   ◇大津波の惨事「大川小学校」〜揺らぐ“真実”〜(ダイヤモンド・オンライン)   ◇ニュース企画サイト「●REC from 311〜復興の現在地」テレビ朝日) ***以下,『福禄寿』(仕事日記から)2014年5月24日より***   『石巻市立大川小学校「事故検証委員会」を検証する』(池上正樹/加藤順子・著)  事故検証委員会の報告がされても,“大川小学校の避難”について,「なぜ」の思いを拭い去れません。  さまざまな「??」があり,いろいろな意見や検証があるようです。  その一つ『石巻市立大川小学校「事故検証委員会」を検証する』(ポプラ社・刊)を読みました。  この本を読みながら,「東南海地震等の備えのなかで…」,「教員の一人として…」,「学校経営の責任者として…」,自分がその場にいて,どのように判断し,行動・対応できるのか問われている気がしました。  委員会に対して,遺族が注文しました。
 私たち遺族にすれば,第一に考えてもらいたいのが,亡くなった子どもたちの命。本当に助けることのできなかった命なのか,助かった命なのか,そこをはっきりと検証の意味で最終報告に書いていただきたい。それなのに子どもたちの重さ,命の大切さが,なかなか検証委員会を傍聴しても見えてこない。  最終報告書には(略)
 普段,“いつものように”登校し,“いつもの友”と学び・笑い・遊ぶ,そして家庭に戻っていく生活があり,それが普通です。そのなかで,“命の危機”を強く感じてはいません。  けれど,東日本大震災は,その“普通”が特別であることを気づかせてくれました。  学校そして教員は,子供の“命”を預かり,それを「助ける命」「助かった命」としていかなければいけないのです。  検証委員会について,次のような声が載っています。
 いったい,誰の“知りたい”に応える検証委員会なのか。文科省の当時の前川官房長に会見で尋ねると,まず 「第一義的には,石巻市のご委託を受けているので,石巻市に対して(略)」  そのうえで,「大川小学校の事故は,全国的な課題でもあるので,私どももこれからの学校防災を考えていくには(略)」
 この検証委員会も「第三者委員会」として設置されています。  “当事者”ではないことで,「正しく検証でき,真実が分かる」ことが期待されているのだと思います。本書を通してみえてくるのは,その難しさです。  普段の対応でも,「誰の“知りたい”」や「誰に向けて」が別の方向ではないまでも,曖昧になってしまっていることに気づかずにいるかもしれません。  知らず知らずに,「こちらの都合」を先にしてしまい,それが「誰」を見失うことになっています。  次にくる東南海大地震等への備え,そして普段の生活を創っていくことへの再考を強く促す記述のある一冊でした。
   目次 第1章 調査を投げ出した石巻市教育委員会 第2章 遺族無視の「公正中立」とは何か? 第3章 事故調査委員会の迷走 第4章 「検証」の後に遺されたもの 付記
*****ここまで転記*****