集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

民具について 『家居 2』(続 つくで百話)

花0308。 今日は学びの一日でした。  新型コロナウィルス感染の防止に“今できること”を行い,“いつものように”進められました。  でも,何か気になる…。  早期終息を…。  『続 つくで百話』(1972・昭和47年11月 発行)の「民具について」です。 ********     民具について   小林 峰田好次 家居 (つづき) かまや とはどういう意味であろうか。牛馬の居なかった古い頃,大釜を置いて,茶,楮を蒸し,大豆煮,味噌玉掛け,味噌作り,豆腐やこんにゃく作りなど大がかりな蒸煮作業に使用された場所であろうと推測される。牛馬を置くようになって,大釜は土間の片辺りに移され,それに伴なう作業も土間に移行したが,そのまま,かまやと呼び 慣らされて来たのであろう。 家屋0308。 かまやは,本宅の土間に続き,土間を共用する形で,厩と,ほそ入と呼ばれる穀入れの二室に仕切られる。厩は土間に面して馬寨棒で仕切られた。厩の中程の梁に吊棚が取付けられ,鶏の巣に当てられる。といった具合である。  ほそ入れは,光も入らない小部屋で,ここに年間の食糧が蓄えられるわけであったが,農民の,徴租は厳しく米俵を一パイ満たす余裕はなく,僅かの米俵,麦俵と雑穀を収納するのには,この小部屋で事足りたのであろう。  土間は,表土間と奥土間で,表土間は入口の右手が厩,左手がおおえ,奥土間の右がほそ入れ左がだいどことなる。入口の右手,厩の前に風呂が据えられる,洗場は無く盥や木の台竹箕などが用いられ,何人でも風呂桶の中で洗って上るのである。厩がほそ入れの位置から引込めてある所へ,踏み臼を置き穀物を搗いたのである。入ロ左に叩石が埋められ藁打をする,大釜は正面左に築かれた籠にかけられた。奥土間には土籠があり,棚,戸棚,内流し,餅搗き用の木の立臼等勝手用具が置かれる。尚裏出口外に洗場を設ける。外流しである。  土聞にも梁受けの柱があって,通行には不便もあったが,その脇に土籠が作られ,柱には小棚を取付けたり,釘を打って物を掛けたりして利用したのである。  以上が古い頃──鉋の使われなかった頃から,鉋作業の採入れられた頭初まで──長い期間に亘る作手の農家の普通の建物と考えられる。昔とて,年代の推移,生活態様の変化,腐朽災害等によって,或は進んで,或は余儀なく変更した場合も考えられ,旧態のまま今に尚存続している家を見ることは出来ないのである。  昭和四十七年六月,県下全域の古い住居の調査が行はれた際,本村の調査対象となった家は,十数軒あるが,いずれも,建築時代は不明であり,旧態のまま存続している家は無くて,只残存部分の多寡によって前掲建築様式を窺い知るばかりである。  適当に開拓された自然環境の中で,上来記述した生活資料を取り入れた家居に於いて,日常生活がどのようになされたであろうか,情景の二三を……。 (つづく) ******** 注)これまでの記事は〈タグ「続つくで百話」〉で 注)『つくで百話』の記事は〈タグ「つくで百話」〉で