『あした、また学校で』(工藤純子・著)
湿っぽい感じを強く感じる朝でした。日が上がってくると,霧が湧き出してきたような景色になって,しばらく続きました。
水田を見ると,氷が模様を描いていました。
日中は上着のいらない暖かさになりました。
紹介するのは児童書です。
子供達に,「あなたの地区にも“大間泰造”さんがいる。」ことを知って欲しい,そして行動して欲しい図書です。
ぜひ,先生には,「学校は,だれのものか。」を,一将,咲良,博樹,梨沙たちと共に考えて欲しい図書です。
学校の子供達を描いた表紙,そで(カバーの折り返し)に書かれていた
「学校は,だれのものかって… 考えたことはありませんか?」 一瞬,教室の空気がもやもやした。の言葉,目次にあった「学校支援地域本部」が気になって図書館で借りた『あした、また学校で(講談社・刊)です。
「味方だよ。『学校は,だれのものか』って言ったんだから。そんなの,子どものものに決まっているじゃない!」 子どものもの…。咲良もそう思いたかった。 「でも,現実的にさ…。あたしたち,何もできないもん」おばさんの千波の言葉に,咲良は何を思うのか…。 小学6年の一将が,月曜の朝,幼なじみの咲良から,「ねぇ,一将の弟,荻野先生に怒られて泣いてたよ」と声をかけられたところから“事件”が始まりました。 弟 将人が大縄跳びに参加するのですが,
「だってさ,荻野先生,『できない子は早く来て』って言ったんだよ」 「だったら…」 「ぼく,できるもんっ」 一将は言葉をのみこんだ。 できる…そうだった。将人にとって,大縄跳びは「できる」に入る。ただし,(略)小学2年の将人には,“なぜ,荻野先生に怒られた”のかは分からなのです。 弟 将人が学校に行かなくなり…。 梨沙は家に帰ると…。 博樹の家族は…。
ああ,この子は何を言っているんだろう。 正しいことを言っているつもりだろうけど,正しいことが正しいとは限らないのに。 世の中が正しいことだらけだったら,今,(略)子供も,親も,先生も…,それぞれ抱えたものがあり…。 小学6年の子供達が,「学校は,だれのものか?」の答えに向けて動き出し,行動していくようすが描かれます。 そして,兄弟,同級生,保護者,先生など一人一人の背景と内面を知り,答えが簡単ではないことが分かります。 にこっと笑って,「また,学校で!」と言える子供でありますように。
目次 1.事件 2.代表委員会 3.すきやき 4.職員室 5.PTA運営委員会 6.卒・家族 7.優等生のあたし 8.学校支援地域本部 9.教師という仕事 10.学校は、だれのものか【関連】 ◇工藤純子 (@junku2011)(Twitter) ◇イラストレーター稲葉朋子のウェブサイト ◇稲葉朋子 Tomoko Inaba イラストレーター (@tomoko_inaba)(Twitter)