集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

古文書によって(2) (つくで百話 最終篇)。著作権法。

丼0103。 青空の美しい朝でしたが,すぐに曇り空になり,冷たい風の吹く曇りの日でした。  正月三が日が終わり,明日から“普段の暮らし”に戻ります。新型コロナ禍の正月はいかがでしたか。  いつものように“できなかった”かもしれませんが, 「○○な正月はいいな」ということがありました。これが“正月”です。  新しいことを楽しみ,喜べる日々を過ごしたいと思います。  『つくで百話 最終篇』(1975・昭和50年7月 発行)の「民族と伝承」の項からです。 ********     古文書について   峰田好次 (つづき)  一方では新田・畑の開墾が奨められ,古来の例に慣って三年間は無税とし,その間の収穫は開いた者の所得で,分米と呼ばれた。別に寺院が大方の村々にあって,宗門の布教と共に宗教的治安に当った。幕府はこの寺々に命じて,誰彼なく檀徒とし,キリシタンの防御と村人の出人を制限するために,檀徒名簿を差しださせた。それが百姓の戸籍簿ともなったのである。  この名簿は人別帳と謂われた。至極簡単に,その家の持高(田畑家宅地)家主と家族の関係,同居人,養子,出戻りなどについて記載されている。特に村民の異動,異教信奉,犯罪については,寺僧と村役人に監視の責任を持たせたようである。  毎年旧暦十月になると,作手郷の村々へ検見の役人が入る。村役人はこれと応対するのである。  上・中・下田と,夫々作柄を検見し坪刈りをする。直ちにこき落して籾の量が計られる。この際籾の熟度・正米・赤米・青米・死米・枇の程度・災害(風雨虫鳥獣)の程度・耕地被害等が勘案されて今年の取高が決められる。一方畑高は,何を栽培仕ようとも,米の取高に準じて,反別に石高を掛け,米に換算される。  こうして貢米が決められる外に,お役代りの米銭が課せられ,「何の年可納御年貢割付の事」という書付が渡される。この書付通り完納すると,後日,大庄屋を通じて完済目録が届けられるのである。  定められた取米高は,組頭の算定に従って各家の反別に割り賦られ,指定の日までに納米したのであるが,納米はどのように取扱われたのか,寒い期節にも入って大変なことであったろうと思われるのに,当時の苦労の実録も見当らず,語り伝えられるのを聞いたこともない。  市場村の証書に作手村誌登載の中) 一、御年貢米の儀は先の御代々設楽郡石田村川岸迄人馬ニ而持運,石田川岸より御馬頭迄川船積下し中候当村より石田川岸迄道法四里 石田川岸より御馬頭迄船路九里百姓払ニ披仰付五里之外駄賃銭被下置其節御馬頭迄御役人様御出(御馬頭は御馬港)  小林村の証書に,納辻という文字のものがある。辻納めと解されるが,小林村は,その頃新城街道の道筋添いであったから,辻へ出せというのであったろうか。そうとしたならば,それから先をどう運搬されたか,残念ながらこの項書写の時点では不明である。納め先の領主次第で運送の仕方もまちまちであったと解すべきであろうか。  米質について,或は不作年の取扱いについて,  市場村の証書に  御米御吟味被下候作手の儀悪地場而御座候故悪米而候得はあらぬかくだけ米等御吟味被遊赤青死米等之儀は御了簡にて相納申候 一、田畑世の中違仕候節は御願申上候御検見御引方被下置候 一、先御代の悪年之節は御願申上候種子夫食拝借凶年の節は飢人共々御救米被下置候儀茂御座候  地昧出来高諸事情は考慮されて居り,世の一部史家の謂う無情無下の搾取は,当作手郷には無かったようである。  江戸時代農民生活の一面を記すに当って,以下に掲げた新田検地帳・宗門御改帳・年貢上納書の原本は,小林の旧家鈴木久雄氏の提供をわずらわした。 ※ 以下,「新田検地帳」等が載るが,8ページを省略する。 ********  注)これまでの記事は〈タグ「つくで百話最終篇」〉で  注)『続 つくで百話』の記事は〈タグ「続つくで百話」〉で  注)『つくで百話』の記事は〈タグ「つくで百話」〉で 【参考;著作権法】  2020年12月24日,著作物の教育利用に関する関係者フォーラムから「改正著作権法第35条運用指針(令和3(2021)年度版)」が公表されました。  学校での“著作物の利用”が適切に行われるよう,ご確認ください。   ◇「改正著作権法第35条運用指針(令和3(2021)年度版)」を公表(著作物の教育利用に関する関係者フォーラム)   ◇改正著作権法第35条運用指針(令和3(2021)年度版)(PDF) 【参考:読み支援デジタル教科書「デイジー】  「読むのが非常に苦手」という子供の学びを支援します。  GIGAスクール構想で導入される1人1台端末が,こうした子供に,教科書の読み上げや文字の拡大,漢字のルビ打ちなどの支援を提供しやすくなります。  支援を要する子供が無料で利用できるデジタル教科書のサービスです。   ◇マルチメディアデイジー教科書  DAISY(Digital Accessible Information System)は,日本語で「アクセシブルな情報システム」と訳し,プリントディスアビリティ(印 刷物を読むことに障害)がある人々の情報のアクセスを支援するデジタル録音図書の国際標準規格です。