詠設楽郡村号鄙歌(2) (つくで百話 最終篇)
昨日に続いて。保全会の作業でした。天気のよい暖かい日になり,作業が捗りました。
茅が背丈にまで伸びた荒地が,とても綺麗になりました。
皆さん,お疲れさまでしたありがとうございました。
作業で法面など足を踏ん張ることも多く,体のあちこちが痛くなってしまいました。歳だな…。
『つくで百話 最終篇』(1975・昭和50年7月 発行)の「民族と伝承」の項からです。
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民族と伝承
詠設楽郡村号鄙歌
*右図
修正復原詠設楽郡村号鄙歌
(つづき)
76 聞くもうとまし夏焼の
77 みちも案内も白雲の
78 懸かる中にも慰むる
79 松戸と宇連の郭公
80 西路東路定めなく
81 和市小林萩平
82 今朝の暴風の荒尾山
83 思ひも掛けぬ塩津とは
84 何によるべき名なるかや
85 程なく年の儲とて
86 輪締めの海老に双瀬炭
87 松竹梅の大林
88 田作田内慰斗昆布
89 歳徳明の方瀬より
90 巣山(須山)を出でし鴬の
91 真菰の小野に身平橋
92 遺水濯ぐ大石に
93 暑さを凌ぐ栃下は
94 月の出塩谷塩平
95 桂(葛)の三瀬滝川の
96 浅木砂河(須長)に谷下出沢
97 大海も昔苧績とぞ
98 何れの記に宮脇の
99 由有海なる事ぞかし
100 川路川上下々に
101 流れ清井田涼しくも
102 風の柳田打梛て
103 其の名高田の大宮は
104 天若彦と下照の
105 神を祝ひて石座と
106 延喜の式に記伝ヘ
107 末竹広に杜長(森長)く
108 動かぬ御世の常信(常延)や
109 真国黒口天離る
110 鄙の野飼の牛倉は
111 夏目草部と重弘(重広)に
112 矢部は勇々敷名なりゆり
113 設楽の館の門前に
114 平井大坪岩広と
115 八十氏人の宗高に
116 汚さぬ石田中市場
117 野田より移す新城の
118 片山里に肆八き
119 身を杉山の遑なし
120 樵耕す山邨(山村)に
121 秋の垂り穂の色栄えて
122 川田の稲城(稲木)和田田代
123 蒼生竈の賑ひは
124 諏訪の御神の徳定と
125 干代萬代を椙平(杉平)
126 弓木北畑の九曲
127 小林須山野ロ(野郷)過ぎ
128 河合(川合)川手の西田原
129 入相告ぐる寺林
130 市場見台(見代)人目せき
131 草屋(草谷)の軒に相月夜
132 時雨黒瀬の川尻に
133 岩浪(岩波)騒ぎ鴨ケ谷の
134 競ふ菅沼垂乳根の
135 母のかふ子の桑平
136 木和田唯持(只持)只ならぬ
137 漢名の膳夫(善夫)柏手の
138 臣は源氏か如何ならん
139 浅き汐瀬(塩瀬)に大君の
140 深き恩原幾千年
141 布里にし御領今も猶
142 田嶺(田峯)大和田小田島田
143 笑める栗島柴の戸に
144 産子の湯島泌むる音
145 聴く筒井づつ余所に為し
146 細道貝津下立(折立)て
147 たれに挿頭の笠井嶋
148 荒原山中一色に
149 米福といふ長者平
150 尽きぬ稔の寿の
151 拙き筆に成る文を
152 さとの童に教ふべらなる
(終り)
(次に「校注」)
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