集団「Emication」別館

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寒露。大昔の人のくらし(3)-1 (つくで百話 最終篇)

花1008。 今日は,二十四節気の一つ「寒露」です。草花に冷たい露が宿り,秋が深まる頃です。  雨の日で露はありませんが,気温の低い“寒い日”になりした。山の木々が紅葉の準備を始め,季節は秋本番となっていきます。  季節の変化を愉しみ,自然への感謝を。  『つくで百話 最終篇』(1975・昭和50年7月 発行)の「民俗と伝承」の項からです。 ********     大昔の人のくらし   沢田久夫   (3) 縄文文化中頃のくらし  縄文前期は,凡そ六千五百年前から始まるが,この期の特徴は,今までの尖底土器が消滅して,平らな上にでんと据えて置かれる平底土器になって行くことである。これは早期末から徐々に現われた現象だが,人々が放浪の生活から定住へと変化が起り,以前は単なるキャンプにすぎなかった簡単な獣皮のテント小屋が,深々と掘り下げた四角な堅穴に,柱を立て桁梁をあげ,垂木を配した草葺の家になった。  人々は,その叩き固められた床面に定着し,土器は安定のよい大きな平底を,堅穴の一隅に据えられるようになる。もう土器は運搬具ではなく,はっきり貯蔵具となり,漸次大型化して行く。しかし,そうした技術は一朝にして育たないので,大きな土器を捏上げるために,粘土の中へ壁土のスサのように禾本科の草を切込んで強化し,焼成している。早期末から前期中葉までの土器は,その繊維の混入が夥しいところから,繊維土器ともいわれている。植物利用は,この時代の特質で,植物繊維で作った縄文の施文具が,絶頂とでもいいたいほど各種各様の羽状縄文を発達させた。また,乳棒状石斧という薬品調合に使う乳棒に似た,断面は丸く,先端はつるつるに磨かれた鋭い蛤刃の敲製の石斧がある。これは,握り棒の頭につけて鋤のように使ったと考えられ,植物の掘取り,地面に穴をあけて移植に使った道具と思われる。温暖な時期であってみれば,サトイモ,ミズイモ系の野生イモや,クズ,ジネンジョ,トロロ,ユリ根,ワラビ根でも澱粉は採れる。とにかく縄文前期は,鳥獣,魚貝の外に,球根類や,クリ,ドングリ,トチ,クルミなどの果実が重要なウエイトを占めた時代といえる。  縄文中期になると,遺跡がぐっと数を増すが,石鏃は目に見えて少くなってゆく。遺跡がふえれば人数も増え,それだけ食糧も多く要するはずなのに,どうして狩猟が衰退するのか?そこで考えられるのが何かの生産──原始的な焼畑陸耕である。縄文中期に,植物栽培があったのではないかという論議は,すでに昭和初年からあった。打石斧という,一向に斧らしくない粗石器があり,形も短円形,撥形,分銅形といろいろあるが,ただ打欠いただけの刃は,不規則で,しかも鋭さがない。その上胴が曲っているのもあるというに至っては,到底斧としては使えず,鍬や鋤のように柄をつけて使う土掘具としてしか考えようがない。この土掻石器に,石皿・磨石・敲石をセットすれば,確実に原始農耕の存在が浮び上るのだが,確かに農耕があったという証拠は今のところない。  野火は古代人にとっては,最も恐ろしいものの一つで,予告もなく疾風の如く襲来し,一瞬にして焼土と化してゆく。野火は人の失火ではなくても,自然にも起った。そして一度来たとなると絶望的で,今のように田も赤禿の土地もない。野火止めは雨と逆風だけ。それがなければ地の果までも広がる。地下に潜る生命以外,そこは無人の焼灰の世界になる。人々は滅び,或は逃げ去った。とこみが春になると,生命は不死鳥の如くよみがえってくる。火山灰強酸性の土壌は灰で中和され,様々の動物や植物の有機質で汚染されて肥沃な黒土となり,ワラビ・ゼンマイ・ウド・ミズギボウシは,焼ける前に倍して太くたくましく頭をもたげてきた。そうだ──土を焼けば,虫もカエルもヘビもウサギも,そしてクマもキツネも土の故郷の穴から,春の太陽の女神に誘われて出てくるのだ。  こうした輪廻を,彼等が身を以って感じ,儀式として呪術と共に焼き,そして何か食べられる植物を植えたかも知れない。高原で一番食物が不足するのは,山菜が薹に立ち,秋の木の実には早い夏から初秋にかけてである。したがって,作るとすれば,一斉に木の実がなる秋の作物は不用である。そこで考えられるのが芋類である。サトイモやミズイモなら,初夏に外側の葉柄から欠いて食べ,夏から秋へかけて子イモや孫イモが穫れるからだ。この芋説の提唱者は,昨年物故した諏訪の考古学者藤森栄一氏だが,これに対してヒエ説を唱えるのが,名古屋大学の澄田正一教授である。中部山岳に濃密に分布する石皿文化は,禾本科種実の製粉を除外しては考えられないという。ヒエは寒系の植物で,野生種があったかどうかは不明だが,エノコログサの実でも食べられることは事実で,現にビルマ戦線で食った人がいるから,ヒエと限定せずともよいようである。 (つづく) ********  注)これまでの記事は〈タグ「つくで百話最終篇」〉で  注)『続 つくで百話』の記事は〈タグ「続つくで百話」〉で  注)『つくで百話』の記事は〈タグ「つくで百話」〉で台風情報】  ◇台風14号(チャンホン・CHAN-HOM)
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