みどりの日。作手の狂俳(3)(続 つくで百話)
朝,雨が降っていました。その後,小雨になり日差しも出てきました。乾燥していた空気がしっとりとしました。
今日は,国民の祝日の一つ「みどりの日」です。「自然に親しむとともにその恩恵に感謝し,豊かな心をはぐくむ」とされます。
窓から見える景色,木々の新緑が輝いています。この美しさを愛で元気になる日(時期)です。
『続 つくで百話』(1972・昭和47年11月 発行)の「作手の狂俳」の項からです。
********
作手の狂俳 森本 鄙楽(川合)
句会
狂俳句会を催す場合には先ず出題を決める。第一番目は季題というて時期をあらわす題,次は二番句というて,やわらかい色気たっぷりロマン的なもの,次の三番題は政治経済,社会などを対象とした一寸ゴツゴツしたものなどを選ぶ。題は総じて偶数は軟調,奇数は硬調とされている。
字数は十二字で,七五調でも五七調でもよい。留字はアイウエオのウ列が一番よいとされていたが,最近は,外来語や流行語がとり入れられて,ずんべらぼう的なのも見うけられる。題の説明ではなく,合わせ鏡に映った姿を句にまとめたように作れば上々で,なるべく沢山作り,その中から気にいったのを拾いだせばよいようである。
開巻といって,集本一冊五,六百句もあるものの中から選者先生が選ばれる。優秀なものから順次,外章,佳吟,感吟,花番,奥技,五座(花五勝,花四勝,人位,地位,天位)という具合に,約一割の句に序列をつけ,各々色別にした金,銀,赤,黄,白というように選句を書き,俳名の下に糊ではって,節面白く読みあげられるのである。紙の枚数の多いのを高点とされる。賑かな時は五十名くらいも列席し,開巻の盛況は狂俳人の唯一の楽しみでもある。
句会に参加するには,鉛筆一本,ノートー冊持ってでればよく,費用も僅少で,研究,修養の契機ともなり,高尚なレジャーでもあるから,村民一般の方々も挙って狂俳人を志していただきたいものである。
狂俳のネタは,新聞雑誌の記事から小説,漫画など眼に映じるもの耳にはいるもの何でもよろしい。お互いの身辺に無数に転がっている。最近眼についた秀句を拾ってみると次めようなものがある。
磧 石くどで焼く鮎句ふ 雨上がり 庭の小草がよくとれる
青田 開け放ち寮風入れる 成る程 月謝納めた芸だわい
収穫祝 嫁に候補の娘も招く 落し物 当にならない易者訪う
裡のママ 背広着りゃおっ様ちわぬ 新任地 始めて猪の肉貰う
作手狂俳人名簿
(右図)
********
注)これまでの記事は〈タグ「続つくで百話」〉で
注)『つくで百話』の記事は〈タグ「つくで百話」〉で