初夢と宝船。
穏やかな正月です。朝、雲が目立ちましたが、青空の広がるよい天気の一日でした。
正月2日は、仕事の準備やお稽古を始めるのに縁起のよい日とされています。
「初○○」には、
※ これまでの「初夢七福神縁起」より 活動終了に伴い、今年からは別の宝船の絵を…。
正月2日、どのような「初○○」でしたか。
よい初夢で、よい年の始まりを!
【おまけ;再掲】
落語『七福神・かつぎ屋・正月丁稚』に、初夢の話が出てきます。
下部の動画『五代目三遊亭圓楽「かつぎ屋」』では、5分30秒あたりからのお噺です。
書初め、初硯、初稽古、初市、初荷、初買、初袷、初懐紙、初鏡、初釜、初肥、初刷、初席、初風呂、姫飯、初夢…などがあり、正月2日に行うことでした。 書初めでは、若水で墨をすり、恵方(吉方)に向かって詩歌を書きました。その詩歌は「長生殿裏春秋富 不老門前日月遅」という漢詩が多かったようです。 初夢は諸説あるようですが、事始めの日である2日の夜(2日から3日の間)に見る夢が「初夢」です。 これまでも紹介しましたが、よい夢を見るために、“宝船の絵”を枕の下に入れて寝るという習慣がありました。 宝船の絵には、さまざまな宝物や七福神などを乗せた船が描かれ、そこに「長き世のとおのねむりの皆めさめ、波のり舟の音のよきかな」という回文(上から読んでも下から読んでも同じ)が書かれています。 これまで、「プチ紳士・プチ淑女を探せ!運動」の志賀内さんが、氷上姉上神社でお祓いをしていただいた「初夢七福神縁起」(宝船の絵)を送ってくださいました。 それを枕の下に置き、「長き世のとおのねむりの…」を三回唱えて寝ていました。見た初夢は…。
呉服屋の五兵衛旦那は、大変な縁起かつぎで、正月元旦ともなると、縁起かつぎもすさまじいのです。 下働きの清蔵を呼ぶと「まずは井戸神様にダイダイを入れて和歌を供えて若水を汲んでおくれ」と言いつけ和歌を教えます。 「新玉の 年とちかえる あしたより 若柳水を 汲み初めにけり」 ところが、こう教えられた清蔵は、「目の玉の でんぐり返る あしたより 末期の水を 汲み初めにけり。 これは、わざっとお人魂。」とやらかします。 怒った五兵衛旦那は清蔵にクビを言い渡します。清蔵は「ついでだから後九日置いてれ、丁度三十五日になるから…」。 庭に降りて頭を下げる清蔵に、五兵衛旦那が「お前は何をしてるんだ。」と聞くと、「草葉の陰から手を合わせている。」 (略) さて、そうこうするうち、二日の晩、お宝船売りがやって来ました。番頭に声をかけさせ、お宝船売りを呼び込むと、一枚四(し)文、十枚で四十(しじゅう)文というので、縁起でもないといって追い返します。 次にやってきた宝船売りに番頭が、「うちの旦那は大変な縁起かつぎだから…。」と言って入れ知恵をします。 宝船売りは、店に入るやいなや、「お宝の入り船です」と言う。 五兵衛旦那は喜んで、全部買うと言います。 「何枚あるんだ」と聞くと、「へい、旦那の年ほどもございます。」 「何枚だ」 「千万枚でございます。」 五兵衛は、縁起がいいと大喜び、しかも酒をを勧めると 「亀の子のように…」。 酒を注ぐと 「黄金色のよう…」 「こんなイイ酒で酔うと宝船に乗っているようだ」 喜んだ五兵衛旦那、 「いつでも遊びにおいで。で、何処に住んでいるんだい」 「本郷の蓬莱町にいましたが浅草寿町に、そこから下谷の長者町に移りました」 「それ以上引越させないでくれ」 その都度ご祝儀をはずんでもらい、反物まで貰いました。 宝船売りは、ご機嫌になり「旦那の姿は大黒様、美しいお嬢様は弁天様。七福神がお揃いで、おめでとうございます」と帰りかけた。五兵衛が「それじゃぁ、二福じゃないか。」と言うと、 「いいえ、それでよろしいのです。ご商売が、呉服(五福)でございます。」