集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

スポーツの日。 『子宝船 きたきた捕物帖(二)』(宮部みゆき・著)

競走1010。 今日は、国民の祝日一つ「スポーツの日」で、「スポーツを楽しみ、他者を尊重する精神を培うとともに、健康で活力ある社会の実現を願う」を趣旨としています。
《1961年》 スポーツ振興法により10月の第1土曜日を「スポーツの日」に制定。 《1966年》 スポーツの日が「体育の日」に改められ,10月10日が国民の祝日となる。 《2000年》 法改正により10月の第2月曜日が「体育の日」となる。 《2020年》 法改正により「体育の日」が「スポーツの日」となる。
 スポーツの日は“10月の第2月曜日”ですが、名称が「体育の日」から変わって、初めて10月の祝日です。  昨年そして一昨年は“7月”でした。それは…。  みなさん、スポーツを楽しむ日でしたか。  新刊書のコーナーに、宮部みゆき氏の本がありました。この“作家(名)”を知っていますが、どうやら“有名”だからのようで、作品が思い浮かびませんでした。  書架にあった『子宝船 きたきた捕物帖(二)』(PHP研究所・刊)を読みました。  「花火の絵柄をつけた〈朱房の文庫〉を売るのは、土用の入りまでだ。」 で始まる第一話、“情景”が描かれますが、なかなか“”が登場してきません。  最後の2行で「千吉親分」、続いて親分の一の子分「万作」、そして、まだ文庫の振り売りに出ていない「北一」が登場します。主人公は「北一」のようです。  1作目の“きたきた捕物帖”を読んでいれば、主人公や人間関係、情景がすぐに分かったのでしょうが、それには時間(紙面)がかかりました。
 江戸で噂の、「持つ者は子宝に恵まれる」という宝船の絵。しかし、赤子を失ったある家の宝船の絵から、なぜか弁財天が消えたという。  時を置かずして、北一もよく知る弁当屋の一家三人が殺される。現場で怪しげな女を目撃した北一は、検視の与力・栗山の命を受け、事件の真相に迫っていく。  本書は、江戸深川の富勘長屋に住み、小物を入れる文庫を売りつつ岡っ引き修業に励む北一が、風呂屋の釜焚きなのに、なぜかめっぽう強い相棒・喜多次の力を借りながら、不可解な事件を解決していく物語。  北一の文庫づくりを手伝っているのは、欅屋敷の「」や用人の青海新兵衛、そして末三じいさん。岡っ引き見習いとしての北一を応援しているのが、亡き千吉親分のおかみさんや大親分の政五郎、政五郎の元配下で昔の事件のことをくまなく記憶している通称「おでこ」たちだ。  北一応援団とともに謎解き×怪異×人情が愉しめる、著者渾身の大人気シリーズ第二弾!
 第一話と第二話では“別の事件”で、それぞれに読むことができ謎解きができますが、そこに“つながり”がありました。  おそらく、第1作からの“つながり”も…。  第一話から第三話へと、北一の働き(?)、そして謎解きをしませんか。  気づくと、北一を応援している“じぶん”に気づくことでしょう。  宮部みゆき氏の別の作品を読んでみたくなりました。  本書のことばから
○ これでよかった。親分もきと喜んでくださる──いや、喜んでもらえるように、これから毎日を積み上げていくんだ。 ○ 北一も、深い考えがあったわけではない。このヘンな宝船の絵が、まさか事件につながっていくなんて、夢にも思いはしなかった。 ○ なんて切り返さないのは、感じがいい。こういう逆ねじは、誰がどんなふうに口にしても気持ちのよいものじゃないからだ。 ○ 「私はね、的の真ん中は、私らが目を向けさせられてきたところではないんだろうと思っている」  つまり、○○屋は真の的ではない。 ○ そそくさと立ち去る北一に、辰吉がまた「○○」と声をかけてきた。実に便利な一言だ。ありがとうもすまねえも気にするなも、みんなこれで済む。 ○ そうしなければならない切羽詰まった理由があれば、人はけっこう上手に嘘をつく。 ○ だからね、それを捌くには年季が要る。
   目次 第一話 子宝船 第二話 おでこの中身 第三話 人魚の毒
【関連】   ◇『きたきた捕物帖』(PHP文芸文庫)   ◇margue-page こやまたかこ 本の仕事   ◇三木謙次 (@mikikenzy)Twitter