集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

寒露。『生命式』(村田沙耶香・著)

実1008。 今日は,二十四節気の一つ「寒露」です。  寒露は「草花に冷たい露が宿る」という意味で,秋本番となり,山の木々が紅葉の準備を始めます。  今日も暑い日でしたが,朝夕の気温は低くなり肌寒さを感じます。肌寒さから“寒さ”に変わっていきます。寒暖差に体調を崩さないよう気を付けましょう。  書棚に,銀に白の丸文字(?)で題名が書かれた『生命式』(河出書房新社・刊)がありました。著者は,『コンビニ人間』で芥川賞を受賞した村田沙耶香氏でした。  話題になったのか承知しませんが,初めて見る題名の短編集でした。  最初が書名の作品で,昼食中の「そういえば,総務にいた中尾さん,亡くなったみたいですね」との会話から始まり,暗い話なのか気にしながら読みました。  人が亡くなった話なのに,「そっかあ。今日はお昼,控えめにしとこう。デザートはやめとこっかな」と同期の女性が言っています。何で…。  生命式は,“この先の告別式”を描いているようです。  しかし○○を食べるとは,あまりに“常軌を逸している”ように思います。  本書は,著者が選んだ12の短編で構成され,“危険な短編集”です。  生きること,死ぬこと,食べること,繁殖すること,倫理,道徳,美徳,感情,性欲…  その常識は,世間により作られ,皆が普通のことと思う,それは“集団幻想”なのかもしれません。  そこから“常軌を逸している”ことが浸透してしまえば,それが“普通”なのだと,一つ一つの話が訴えかけてきます。  でも“常軌”って何でしょう。  本書の発行された2019年10月には,どの作品も“異様・異状”だと遠くになったかもしれません。  けれども,新型コロナ禍の今,“様変わりしたこと”がたくさんありませんか。普通や当たり前のことは不変ではないことに気づいています。  新型コロナ禍の今,本書から“気づくこと”がいろいろとあります。  作者の描く世界に,足を踏み込んでみませんか。  新しいあなたが,そこにいるかもしれません。
   目次 生命式 素敵な素材 素晴らしい食卓 夏の夜の口付け 二人家族 大きな星の時間 ポチ 魔法のからだ かぜのこいびと パズル 街を食べる 孵化
【関連】   ◇村田沙耶香 (@sayakamurata)Twitter