啓蟄。『いけない』(道尾秀介・著)
今日は,二十四節気の一つ「啓蟄」です。
「啓」は“ひらく”,「蟄」は,“土の中で冬籠もりしている虫”という意味で,今まで土の中にいた虫たちが,春の到来を感じ,草木の芽吹きとともに,地上へ這い出してくる頃です。
今日の寒さに驚き,這い出そうとした虫は出てこられなかったかもしれません。
明日は暖かくなるかな。
寒暖の変化に,体調を崩さないようにお気を付けください。
小説が読みたいと思い,図書館で借りた『いけない do not』(文芸春秋・刊)です。読み終わって知りましたが,「体験型ミステリー」と言われるジャンル(?)の本だそうです。
4話のミステリーを楽しく読みましたが,“体験型”には気づきませんでした。
図書館の本で,外されていた帯に,そのヒントがあったようです。
本書のご使用方法 ・ まずは各章の物語に集中します。 ・ 章末の写真をご覧ください。 ・ 隠された真相に気づきましたか? ・「そういうことだったのか?」 だまされる快感をお楽しみください。 ※再読ではさらなる驚きを味わえます。読むなかで,章末の1ページに載る“1枚の写真”に「あのことか…」や「これは…」と思いましたが,それ以上ではありませんでした。 使用法を知って読んでいたら…。 本を開くと,最初に「白沢(はくたく)市・蝦蟇倉(がまくら)市サイクリングマップ」が載り,ここが物語の舞台です。 第一章のタイトルに入る“弓投げの崖”が右下側にあり,手前に立ち入り禁止の表示があります。
誰が言い出したのだろう。 海岸線に沿って白沢市と蝦蟇倉市を結ぶ,白蝦蟇シーライン。その道を南下するとき,左手に現れる弓投げの崖を,決して見てはいけない。その白蝦蟇シーラインを走行していく自動車を運転する 安見邦夫 が主人公のようです。 でも,すぐに事故に遭い,乱暴を受け…。 第二章,登場するのは中国人の子供 馬(マー)珂(カー)です。別の話に変わったようです。 ところが…。 「あれっ」,この人は…。この事は…。 第三章では,竹梨(たけなし)の登場で始まります。この名は,第一章に出てきた“後輩刑事”と同じです。読み進むと,その人でした。 ということは,第一章に続く話のようです。そして…。 終章は…。 各章とも,読みながら思うことが,最後を読んで「えっ,そうなの」と驚かされます。 そして,読み終えて分かる“真実”に驚きます。 体験型ミステリー小説で楽しい時間をいかがですか。
目次 第一章 弓投げの崖を見てはいけない 第二章 その話を聞かせてはいけない 第三章 絵の謎に気づいてはいけない 終 章 街の平和を信じてはいけない【関連】 ◇道尾秀介 (@michioshusuke)(Twitter) ◇道尾秀介オフィシャルサイト