春を愛でる。『日常にひそむ うつくしい数学』(冨島佑允・著)
気温が上がりましたが,当地は“今日も寒い日”でした。
午後,春を愛でに出かけました。ドライブしながら川売 梅の里 から長篠 河津桜並木を回り,久しぶりに道の駅 もっくる新城へ寄って戻ってきました。
山道を走っているうちは“冬の空気”でしたが,里に入って“明るさ”に春を感じました。
川売では,満開の梅を写真に収める人,散策する人がいました。河津桜並木に着いたときは自分たちだけでしたが,散策して戻る時には人が増えていました。
“春”を愛で,楽しいドライブでした。
算数・数学に関する本を読むなかで,なぜ「うつくしい」と平仮名なのか気になって手にした『日常にひそむ うつくしい数学』(朝日新聞出版・刊)です。
面白かった。
以前に,副題に「数学嫌いと思っていた人に読んで欲しい本」とあった本を紹介しました。この本を“数学嫌いと思っている人”が読んでも,やはり好きにはならないでしょうが,「数学って面白そう」と思う話(ネタ)がたくさん見つかる一冊です。
他にも似たアイデアで企画され編まれた図書もありますが,“読みやすさ”は抜き出ていました。==============================
科学者は,自然の法則を数学の言葉で表現します。
物を投げると,2次方程式が描く放物線に沿って
飛んでいきます。
流れる川の水は,
ナビエ・ストーク方程式に従っています。
太陽の周りの時空は,
アインシュタイン方程式の計算通りにゆがんでいます。
スマートフォンから発射された電波は,
マクスウェル方程式の予想する通りに
基地局へ飛んでいきます。
============================== 小学校高学年,中学生が読んで,「もっと知りたい」と追究したくなる内容と記述です。
最初の「ハチの巣は,なぜ六角形なの?」は,その説明・解説を聞いたことがありませんか。
本書の説明に「ギリシャの哲学者・ピタゴラス」「ハニカム構造」が登場します。この人名や名称を知らない人は少ないでしょう。
身近な事柄,言葉で説明して,“数学の世界”へ誘っています。
自然界から人間が創造したものまで身の回りにあるさまざまな「不思議」「美しい」「おもしろい」の謎。本書では、そこに隠された法則を数学を使って解き明かす。小学校卒業レベルで理解できる平易な解説で、数学的感覚も養われる一冊。このように出版社が紹介しています。 取り上げられている題材(数理)は,“数学をかじったこと”のある方であれば,詳しく説明できないまでも聞いたことのあるものです。 Chapter.2 の扉に,次のような文章が書かれています。
等角螺旋,コッホ曲線,フラクタル図形,4次元,超立方体,フィボナッチ数列,黄金螺旋,葉序,実数,虚数単位,有理数,無理数,ピタゴラスの矛盾,オイラーの等式,ネイピア数,ボイドモデル,ライフ・ゲーム,巡回セールスマン問題,遺伝的アルゴリズム,運動量保存則,ツィオルコフスキーの公式,ベルヌーイの定理,ベイズ推定,グーゴル(googol),グーゴルプレックス(googolplex),可算無限,非可算無限,無限ホテルのパラドックス,RSA暗号……スマートフォンを「○○しよう」とタップしたら,“マクスウェル方程式”を知らなくても,電波が届き,○○が得られます。 日常の生活を,「数学」が支えています。 ピタゴラスは言います。「この世界は数学の法則で動いている。」「万物は数である。」 そのことを“分かった気になる”一冊です。 分かったことを“話したくなる”図書です。 読書メモ
○ 先ほどの数式を当てはめていくと,実は,5次元,6次元,そしてもっと上の次元の長立方体の頂点・辺・面の数も計算できてしまいます。いったん規則が分かれば,それを機械的に当てはめていけばよいからです。 ○ オウムガイの殻のように,黄金比やフィボナッチ数に従う形が自然界に多く見られるので(略) ○ 鳥たちは,たった三つのルールに従って動いているだけなのです。 ・近づきすぎたら離れる(ぶつからないように) ・となりを飛んでいる鳥と,飛ぶ速さと方向を合わせる ・仲間が多くいる方向へ近づく(はぐれないように) ○ ライフ・ゲーム ・セルの状態を決めるルーツ 誕生,維持,死亡 ○ ロケットが飛ぶには,「ツィオルコフスキーの公式」 飛行機が飛ぶには,「ベルヌーイの定理」 ○ この数字を「グーゴル」と名付けたあと,さらに大きな数を「グーゴルプレックス」と呼んだ。
目次 プロローグ Chapter.1 かたち 1−1.ハチの巣は、なぜ六角形なの? 1−2.巻貝のぐるぐるは、どうやってできるの? 1−3.シマウマのしましまは、どうやってできるの? 1−4.雪の結晶は、なぜいろいろなカタチをしているの? 1−5.草や木のカタチに法則はあるの? 1−6.四次元のカタチはどんな感じ? Chapter.2 かず 2−1.花びらの枚数には、神秘的な法則が隠されていた? 2−2.「かず」は文明と共に進歩してきた? 2−3.「分数で表せない数」を見つけた人は、海で殺された? 2−4.古代ギリシャ人は日時計とラクダで地球の大きさを測っていた? 2−5.ぴったり13年・17年ごとにしか出てこないセミは、なぜそうするの? 2−6.この世で一番うつくしい数式って? Chapter.3 うごき 3−1.どうして飛んでいる鳥は、ぶつからないの? 3−2.生き物の仕組みをまねたゲームがあるって本当? 3−3.交通費の計算は何千年もかかる? 3−4.北半球の台風の渦は本当に左巻きなの? 3−5.ロケットは、なぜ空気がなくても飛べるの? 3−6.自動運転車はなぜうまく走れるの? Chapter.4 とてつもなく大きなかず 4−1.単位のいろいろ 4−2.将棋の試合展開は何通りあるの? 4−3.Googleの語源になった巨大数? 4−4.同じ親から生まれたのになぜ顔や性格が違うの? 4−5.「無限」にも大小がある? 4−6.大きな素数が暗号に使われているって、ほんとう? エピローグ 参考文献【関連】 ◇冨島佑允(Facebook) 【おまけ】 気になる映画です。 子供達に見て欲しい,ぜひ見せたい映画です。 でも,一人で見てもよいのか…。 どのように見るのか…。