大晦日。「初夢・宝船」。
2020年の大晦日,“年越し寒波”の襲来で,朝から積雪のニュースがありましたが,当地は青空でした。
しかし気温は日中でも零度・氷点下と低いままで寒〜い一日でした。
今年も,氷上姉上神社でお祓いをしていただいた「宝船の絵」(初夢七福神縁起)が届きました。
宝船の絵は,初夢で良い夢が見られるよう,“枕絵”としたものです。
宝船は,毎年に話題にしていますので,そちらを参考に。◇枕絵「宝船」(2020/01/02)。
落語『七福神(かつぎや)』に,初夢の話が出てきます。
呉服屋の五兵衛旦那は,大変な縁起かつぎで,正月元旦ともなると,縁起かつぎもすさまじいのです。 下働きの清蔵を呼ぶと「まずは井戸神様にダイダイを入れて和歌を供えて若水を汲んでおくれ」と言いつけ和歌を教えます。 「新玉の 年とちかえる あしたより 若柳水を 汲み初めにけり」 ところが,こう教えられた清蔵は,「目の玉の でんぐり返る あしたより 末期の水を 汲み初めにけり。 これは,わざっとお人魂。」とやらかします。 怒った五兵衛旦那は清蔵にクビを言い渡します。清蔵は「ついでだから後九日置いてれ,丁度三十五日になるから…」。 庭に降りて頭を下げる清蔵に,五兵衛旦那が「お前は何をしてるんだ。」と聞くと,「草葉の陰から手を合わせている。」 (略) さて,そうこうするうち,二日の晩,お宝船売りがやって来ました。番頭に声をかけさせ,お宝船売りを呼び込むと,一枚四(し)文,十枚で四十(しじゅう)文というので,縁起でもないといって追い返します。 次にやってきた宝船売りに番頭が,「うちの旦那は大変な縁起かつぎだから…。」と言って入れ知恵をします。 宝船売りは,店に入るやいなや,「お宝の入り船です」と言う。 五兵衛旦那は喜んで,全部買うと言います。 「何枚あるんだ」と聞くと,「へい,旦那の年ほどもございます。」 「何枚だ」 「千万枚でございます。」 五兵衛は,縁起がいいと大喜び,しかも酒をを勧めると 「亀の子のように…」。 酒を注ぐと 「黄金色のよう…」 「こんなイイ酒で酔うと宝船に乗っているようだ」 喜んだ五兵衛旦那, 「いつでも遊びにおいで。で,何処に住んでいるんだい」 「本郷の蓬莱町にいましたが浅草寿町に,そこから下谷の長者町に移りました」 「それ以上引越させないでくれ」 その都度ご祝儀をはずんでもらい,反物まで貰いました。 宝船売りは,ご機嫌になり「旦那の姿は大黒様,美しいお嬢様は弁天様。七福神がお揃いで,おめでとうございます」と帰りかけた。五兵衛が「それじゃぁ,二福じゃないか。」と言うと, 「いいえ,それでよろしいのです。ご商売が,呉服(五福)でございます。」2020年から2021年へ。 よい初夢から始まる2021年に! 夢の実現する2021年に! みなさん,よいお年を! 【おまけ;除夜の鐘を聞きながら…】 1988年の大晦日,FM放送で朗読され,その後“大ブーム”となったお話です。大晦日に改めていかがですか。 ◇小説『一杯のかけそば』(2017/12/26 集団「Emication」) ◇『一杯のかけそば』(解説付き)(2017/03/18 Ronshi)