「トラ・トラ・トラ」。作手村の自然(2) (つくで百話 最終篇)
晴れの日が続きます。
冷たい風が吹いていますが,強くはなく,厳しい寒さは感じません。それどころか,少し動くと汗の出る天候でした。
少し前の予報では「来週から寒さが本格化し…」といっていましたが,それが先に伸びました。このまま,昨年のような暖冬で過ぎていくような気がしています。
79年前の今日,一通の暗号電報が送信されました。
子供達の話題に,新型コロナウイルスのことだけでなく,「ニイタカヤマノボレ」や“戦争”,“平和”があったでしょうか。
あなたは,いかがでしたか。
『つくで百話 最終篇』(1975・昭和50年7月 発行)の「民族と伝承」の項からです。
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作手村の自然 権田昭一郎
(つづき)
高里・巴湖の周辺には,タチヤナギ・イチゲキスミレ・ミズニラ等が見られ,この附近は人家に比例してセイタカアワダチソウが著しく繁茂する。岩波から鴨ヶ谷への道ぞいには,オオキツネソリ・ビロウドウツギ・コミヤマカンスゲ(作手特産)・フタバアオイ・ササバギンラン・シラネセンキュウ・ヒロハコンロンソウ・タカクマヒキオコシ・ケマルバスミレ・ミツバウツギ・フシグロセンノウ・マタタビ・シバヤナギ・ハナイカダ等があり,甘泉寺のコウヤマキを中心としたスギの大木には,セッコクが密生する。境内の林下には,ダイコンソウ・ウバユリ・ササユリ・ミョウガ・シソバタツナミ・シャガ・コウヤコケシノブ・ユズリハ・アオキ等があり,コウヤマキの下に数本のオランダモミが見られる。鴨ヶ谷の部落西端には,村指定の小湿原があり,ツクデマアザミ・サギソウ・サワシロギク・ミカワシオガマ・ヒツジグサ・スイラン・カキツバタ・クサレダマ・ミカワバイケイソウ・ヒメシロネ・ナガボノアカワレモコウ・ウメバチソウ・サワギキョウ・ショウバカマ・ハルリンドウ・チヂミザサ・チゴザサ・ヌマガヤ・カサスゲ・ヤマドリゼンマイ・ヤマラッキョウ・ケハンノキ・サクラバハンノキ・ミズギク・ヌマクロボスゲ・ミタケスゲ等,面積の割に多くの湿原種が保護されている。湿原の周辺の山地にはエンシュウハグマ・ヤマイワカガミ等,東海地方の特産種や,ヒトツボクロ・ツクバネウツギ・オオカメノキ等も見られる。鴨ヶ谷から相寺,清岳にかけては,わが国最夫の中間湿原であった。「大野原湿原」の残部が点在し,それぞれ湿原植物が残っている。須山,善福寺入口のイヌツゲ(県天然記念物)は枯死寸前の状態である。相寺から,釜蓋峠を越えて赤羽根までの間では,まず旧巴小学校跡地周辺のセイタカアワダチソウが目につく,この辺りにミズナラの南限があるが,相寺地内の耕地整理で,近々ここの植相は大きく変化することと思われる。峠近くの山地にはスズメウリ・タンナサワフタギ・ナギナタコウジュ・タケニグサ・ビナンカズラ・シオガマギク・イタビカズラ・ニワトコ・オオベニシダ等が出て,次第に暖地系の植相がうかがわれるようになる。赤羽根の部落辺りから,完全な常緑広葉樹林に変り,谷川のほとりにオオバノハチジョウシダが出る。その他タニヘゴ・ヤブニッケイ・シュロ・ヤマモモ等が姿を見せる。
(つづく)
《写真》「ツクデマアザミ Cirsium from Pilosiuscum」
…鴨ヶ谷湿原で原種が発見され,作手湿原の特産種である。
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「ニイタカヤマノボレ 一二〇八」子供達は,この日のこと,そして始まる戦争のことを,どのように“知って”いるでしょう。 1941年12月8日,「12月8日午前零時を期して戦闘行動を開始せよ」という意味の暗号電報を受け,真珠湾のアメリカ軍基地を奇襲攻撃しました。 戦艦アリゾナ等戦艦11隻を撃沈,400機近くの航空機を破壊し,攻撃の成功を告げる暗号電報「トラ・トラ・トラ」が打電されました。