集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

自由研究。『AIに負けない子どもを育てる』(新井紀子・著)

蝶1020。 朝は雲が目立ちましたが,徐々に雲が消え良い天気になりました。出先では暑さを感じるほどの天候でした。  今年も,この夏に子供達が取り組んだ“算数・数学の研究”を読み,数学の先生方と意見交換をしました。  「これに気づくなんて,凄い!」  「ていねいにまとめられている。」 と感心することがたくさんありました。  “研究”を楽しむ子供達に刺激と元気をいただきました。  ありがとうございました。  中高生の読解力低下とAIの限界を指摘し,ビジネス書としても反響を呼んだ『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』の続編となる『AIに負けない子どもを育てる』(東洋経済新報社・刊)を読みました。  AI が社会のさまざまな場面で登場するようになり,その“脅威”も感じられる中で,AI について,前作で「神にならない」「人類を滅ぼさない」「シンギュラリティは到来しない」と述べていました。  その主張に,納得する人も疑問を呈する人もいて,大きな話題になりました。  本書では,「読解力を身につける,向上させるにはどうしたらよいのか。」について,RSTリーディングスキルテスト)を中心に,親・学校・個人ができることを提言しています。  第3章に,体験版「リーディングスキルテスト」が収録されており,7項目28問に答えることで,その“診断”が体験できます。
 基礎的・汎用的読解力を身につけて中学校,そして高校を卒業させることこそが,21世紀の公教育が果たすべき役割の「一丁目一番地」だと共感してくださる方が一人でも増えることを切に願っています。
と,はじめにで述べ,紙面の多くが“学校での取り組み”に触れ,学校・教員に期待する内容になっていました。  RSTの説明を進めるなかで,0.2とか0.7と数字が出て「弱い正の相関」や「相関係数」などと解説されます。まだまだ最初であり,読み進むのが苦しくなる方もありそうです。  読み飛ばしていこうかとすると「AI読み」という用語が出て,次の見出しが「AI読みでは,AI人材にはなれない」です。  「AI読み? AI人材? よく分からないけど,気になる。」 そんな感想が聞こえてきそうです。  これを超えると,体験版「リーディングスキルテスト」です。
 テレビや動画でないと頭に入ってこないということはありませんか? LINEやインスタグラムは楽しめても,「活字は退屈だし,効率が悪い」と思っているのではないでしょうか。にもかかわらず,本書を手に取ってくれてありがとうございます。(p.102)
 AIに負けない,子供を育てる,読解力が向上する… それぞれの気になることに応えようと説明が続きます。  授業でプリントを使うことが,「基礎的・汎用的読解力」を身につける妨げをしているのではないかと述べていました。プリントの作成・活用が,読解力の向上にはつながらず,低下をさせていたとの指摘です。  その傾向は,強くなっていると思います。授業を参観するなかで,気になることは多くありました。  “読解力”だけでなく,プリント利用が妨げになって“こと”はないか,授業方法の見直しが必要かと思います。でも,働き方改革で…。  著者は,授業のなかで「ノートに黒板に書いたことを写す」ことを例にあげていました。これまで同じことをし,若手の指導でお話ししてきており,同感でした。  授業名人・有田和正氏が「鉛筆の先から煙が出るように速く書きなさい」と言われたことからです。この速さは,“見て覚える”量が多くなければ実現しません。それは文字を習う前の1年生でも同じです。それは(略)  プリントでは,この活動(行為)は求められず,その“能力(読解力)”は鍛えられません。  これからの世の中を,AI とどのようにが関わっていくのか。  どのような生き方をしていくのか。  そのために,どんな力を育んでいくのか。  自分として,親として,社会として… そして,学校,教員は,どのようにしていくのか。  本書を読み,RSTの診断を見て,考えてみませんか。
   目次 はじめに 第1章 AIの限界と「教科書が読めない子どもたち」 第2章 「読める」とはなんだろう 第3章 リーディングスキルテスト、体験! 第4章 リーディングスキルテストの構成 第5章 タイプ別分析 第6章 リーディングスキルテストでわかること 第7章 リーディングスキルは上げられるのか? 第8章 読解力を培う授業を提案する 第9章 意味がわかって読む子どもに育てるために 第10章 大人の読解力は上がらないのか? おわりに
【関連】   ◇新井紀子/ Noriko Arai @noricocoTwitter)   ◇教育のための科学研究所   ◇edumap 学校情報のオープンデータ化支援プロジェクト 【参考】   ◇『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(新井紀子・著)(2018/07/01 集団「Emication」)   ◇『AIに勝てるのは哲学だけだ』(小川仁志・著)(2019/02/28 集団「Emication」)   ◇『AIが同僚』(日経トップリーダー/日経ビッグデータ・編)(2017/07/06 集団「Emication」)