集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

「作手歌舞伎六人衆」「あとがき」(つくで百話)

柿1019。 曇り,そして雨のよく降る一日でした。  これまで紹介(掲載)してきた『つくで百話』(1972・昭和47年 発行),全196ページの最後になります。  前回に続く“名優”の紹介と,“あとがき”です。 ********     作手歌舞伎六人衆 ◇阿部安孝(川尻) 芸名 市川団紅  新城の市川団結さんの紹介で東京歌舞伎市川団蔵(八世)の門に入り指導をうけ,昭和九年師範免許状をうける。十八番は壷坂霊験記の沢市と雁九郎の早替り,源平嫩葉軍記一の谷陣屋の熊谷次郎直実,お目見得だんまり真の大六方,絵本太閣記十段目武智十兵衛光秀,義理のしがらみ七化長五郎の兄長繩の源次郎,弁慶上使の妻おわさなど。 ◇権田金四郎(荒原) 芸名 嵐雁玉  芝居教習所へ三年聞通って修業,七十二幕の演伎を修得。十八番は松王丸,一条大蔵郷,荒木又右衛門,平右衛門,梅川忠兵衛,毛谷村六助,先代萩政岡,由良兵庫助など。 ◇鈴木隼人(相月) 芸名 中村当笑  十八番は苅萱桑門築紫のいえづとの加藤左衛門重氏入道,義理の柵七化長五郎,義太夫に特技をふるう。 ◇菅沼宇一(田原) 芸名 鶴沢宇昇  三味線を善夫の斉藤利喜松師と宝飯郡八幡の竹本芳美太夫から学び田原歌舞伎若芽会の顧問。十八番は彦山権現誓の助太刀毛谷村六助。 ◇森本保(川合) 芸名 市川保扇  新城市の市川団結さんの門下生として修業。十八番は熊谷次郎直実。安達三の貞任。菊畑の鬼一法限など。 ◇鈴木彦九郎 芸名は阪東彦十郎東田原  田原歌舞伎の長老。十八番は日向島の景清,ハ丈ケ島の為朝,忠臣蔵の由良之助,一の谷嫩葉軍記の為朝など。 ********     あとがき  近年急速に進展している道路開発や農業構造改善事業などで,私たちの郷土の様相は,年毎に著しく変貌をつづけております。またその反面,過疎による人口滅少の影響で,村の伝統的行事で簡略化されたり,廃止されたりしたものも少くありません。こういう客観情勢の下で,郷土の景観や旧るい行事を母体として産みだされた郷土の昔話や伝説が次第に姿を消してゆく傾向がありますことは,心寂しいことでございます。今の中に何とかしてこれを温存したいという念願から,村内の部落をあちこち尋ねて,拾い集めたものが,このつくで百話です。このとりまとめをしている中に図らずも,大和田部落がダムの湖底に沈むだろうという噂さがパット燃えあがりました。すっかり大和田が消えてしまうとなるとあれも書きのこしたい,これも伝えたいとの慾がでて,本書の内容は,大和田本位に書かれたような格好になってしまいましたが,将来この続篇を刊行する予定ですから,その時に,他の部落の昔話を,より多く収録したいと考えていますから御諒恕頂きたいと存じます。  本書に収録した伝説の中には,作手村誌から資料をかりたもの,「こうやまき」に携載されている小中学校児童,生徒の文章を転載させて頂いたものもございます。また装幀につきましては,森花笠先生の題字と,峯田好次画伯の表紙絵をもって飾ることができましたことは,望外の喜びでございます。ご執筆下さった方々,資料を提供して頂いた方々に深くお礼申上げます。ありがとうございました。      編者記
昭和46年12月20日印刷 昭和47年 1月 1日発行 編者  愛知県南設楽郡作手村      峯田通俊 発行者 愛知県南設楽郡作手村      作手高原文化協会 印刷所 新城市杉山      銀峰堂
********  紹介を終えた『つくで百話』(1972)の他に,最初の記事で紹介した『続 つくで百話』(1972),『つくで百話 最終篇』(1975)が発行されています。  また,「続」は数が少なかったようで,『続 つくで百話 新輯版』(1979)も発行されています。
つくで百話1019。
 今後,「続」「最終篇」を紹介していきたいと準備しています。 注)これまでの記事は〈タグ「つくで百話」〉で