集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

『田中角栄 人を動かす話し方の極意』(齋藤孝・著)

花0207。 週末に向け“寒くなる”ようですが,出先では天気がよく,日中は少し歩くと上着を取りたくなりました。でも,脱ぐと“寒い”。  久しぶりに少し早めの出勤,登校時間の電車に乗りました。  スマホSNS(多分)をしている人,ゲームをしている人,音楽(多分)を聞いている人,ニュース(多分)を読んでいる人…  寝ている人,挙動不審な人(多分,自分も)…  一人のおじさんは,座席に座ると本とペン,消しゴムを出し,もう一つ“ハズキルーペ”(メガネ式拡大鏡)を出しました。本を開いて,何か書いていました。途中で消したり。使い込まれた本で,◯◯のようです。出勤・退勤の楽しみなのでしょう。  “マンウォッチング”をして,あれこれ考えました。久しぶりの電車は楽しかった。    以前,書店に立ち寄ると,題名に元首相の故・田中角栄氏の名が入った書籍や雑誌がたくさん並んでいました。“ブーム”になっていました。  石原慎太郎氏の『天才』(幻冬舎・刊)は,田中角栄氏の生涯を一人称で綴ったものでベストセラーとなりました。  『天才』は読みましたが,他の本は手に取りませんでした。  ブームは去ったかと思いますが,著者が齋藤氏であることから『田中角栄 人を動かす話し方の極意』(朝日新聞出版・刊)を読みました。  大学人として接する学生が“田中角栄”を知らないことに対して,
 そんな彼らから,「田中角栄的」なるものを感じ取ることは難しい。だからつい角栄本ブームに便乗して,「角栄というのは,日本の戦後史でもなかなかレアな存在なんだよ」と教えたくなります。
と述べており,本書を著した思いがうかがわれます。  そして,本書の読み方について,
 本書は,角栄が実際に話した言葉を数多く紹介しています。パラパラと見ていただければわかるとおり,どれも力強いものばかりです。しかし,これらを文字として読むだけではもったいない。ぜひ頭の中で,角栄のダミ声に変換して,“聞いて”みていただきたい。言葉の重みや真意が,よりリアルに迫ってくると思います。
と述べています。  学生(若者)の知っているのは「ものまねの角栄」でしょうから,ダミ声に変換するより,実際に“声に出して言ってみる”のが良いのかもしれません。  目次から,斎藤氏が注目した“角栄の言葉”を感じてみてください。
   目 次 はじめに 今の日本には「田中角栄的」なるものが足りない 第1章 「できることはやる。できないことはやらない。しかい〜」      リーダーは常に大所・高所から  「小学校高等科卒である」  「大学を出たやつが考えろ」  「ぼくの発想はガリバー的なんだ」  「総裁機関説だ」  「人生における勝機は一度か二度しかない」 第2章 「日本を核武装させるいい手がある〜」      人を納得させる交渉術  「あとで総理からも頼みがあるはずだ」  「それでもお前は銀行の頭取か」  「日本に核武装させるいい手が一つだけある」  「わかった・できない・なんとかやってみよう」  「用件は便箋一枚に大きな字で書け」  「経済問題には口を出さない」 第3章 「〜すると,越後に雪は降らなくなる」      人を惹きつける話し方  「東の海から昇る朝日を見せてあげる」  「なにッ! 丸紅の女?」  「南魚沼は東京からの玄関口だ」  「子どもはのびのび育てる。学校週休二日制には反対だ」 第4章 「風邪ひくぞ。あったかい肌着を届けてやれ」      結局、人は“情”で動く  「あの男を死なせないでください」  「出来損ないの人間を愛せ」  「敵をできるだけ減らせ。悪口を言うな」  「仕事をすれば批判されるのは当然だ」 第5章 「毎朝,いっぱい役所の人たちがやってくr。別にご機嫌伺いにやってくるわけじゃない。」      今日から使える仕事術  「読書は無性に好きだった」  「教育で大切なのは暗記だ」  「お前はきょうから、おじぎをされる側でなく、おじぎをする側にきた」  「おカネは、返ってこなくてもよいという気持ちで貸す」  「政治とは生活である」 おわりに
 各項で,角栄氏の一つの演説や話を取り上げ,それを解説していきます。
 まず冒頭の「私が田中角栄だ」という言い方が面白い。ふつうなら「このたび大蔵大臣を拝命した,田中角栄です」となるところでしょう。  「」の一文字には,…
 挨拶の言葉から「が」に注目して述べるのは,おそらく他のブーム本にはなかったのではないでしょうか。  齋藤氏の“切り口”から,角栄氏の言葉の“活用のポイント”を楽しんでみませんか。 【関連】   ◇齋藤孝のホームページ