集団「Emication」別館

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雨水。 『ビジネス小説 もしも彼女が関ヶ原を戦ったら』(眞邊明人・著)

花0219。 今日は、二十四節気の一つ「雨水」です。雪が雨となって、氷も溶けて水となる時季です。  朝から暦に合わせたように雨の降る日でした。  図書館の書架に、女性と武将がにらみ合い、その真ん中に「彼女関ヶ原」の文字が目立つ表紙の厚い(493ページ)本がありました。  以前読んだ『もしも徳川家康が…』を思い出しました。  見ると“ビジネス小説”であり、著者も同じです。続編のようです。  貸出期間中に読み切れるか不安ですが、『ビジネス小説 もしも彼女が関ヶ原を戦ったら 』(サンマーク出版・刊)を手にしました。  本を手にして裏返すと、そこは文字で埋め尽くされ賑やかです。
 経営不振に陥った名門ゲーム企業の命運を握る極秘プロジェクト、それは触覚や嗅覚までもが再現されたメタパース空間行う関ヶ原の戦いだった。歴史もゲームも詳しくない主人公みやびは、その開発中の超絶リアルなゲームのテストプレイを任命され、史実ではあっさり敗れた西軍を勝たせるというミッションを担うことに。AIが搭載された武将をZOPADESCOODAなどの最新ビジネススキルで動かし、弾丸や矢が飛び交う戦場で兵を指揮しながらシナリオを進め、ゲームのクオリティ向上に貢献する。しかし現実世界ではゲームの開発が遅れ、リストラや社内での権力争い、合併話など次々と困難に見舞われてしまい、メタパース空間の関ヶ原では圧倒的に不利な状況に……。果たして、みやびは西軍を勝利させ、業績不振の会社を救えるのか。そして日本はメタバースで世界を牽引する存在となり“失われた30年”″を取り戻せるのか。日本史上屈指の武将にピジネススキルで挑む、新感覚エンターテイメント!  さぁ、歴史をひっくり返せ。
 前作は、「世界初のAIと最新ホログラム技術」で歴史上の偉人たちを復活させて“希望の世界”を描いていました。  本作は、「メタパース空間」で行う“ゲームの世界”を描きます。そのメタバース空間は“触覚”や“嗅覚”も再現された世界(空間)です。  メタバース空間で“楽しむゲーム”の舞台は「関ヶ原の戦い」です。そこに、関ヶ原の戦いに関わった“武将”として参加します。武将として歴史を辿る(体験する)のではなく、ビジネススキルを活かして戦略をねり、新たな戦に“挑んで(創って)”いくのです。  さらに、そのメタバース空間へ参加する技法として“侵襲式”を…。  ビジネス小説として、話のなかに ZOPA や DESC などのビジネススキルが登場します。初めて聞く用語やスキルですが、話で“具体場面”を知ることができます。さらに、スキルの解説が載っており、ビジネススキルに疎い者でも話についていけました。(理解までは…)  グローリーゲームス社の創業者 司馬山凌 が目指した社会をプロジェクトが実現できるのか。
「先代は、ご自身の病状が重いことを悟ってから、未来のグローリーゲームスの柱となる極秘プロジェクトを開始されていた。それがグローリープロジェクトだ。ゲームが単なる娯楽ではなく、社会に欠かせないものになるための壮大な計画だ」
もしも彼女が0219。
 あなたもプロジェクトに参加し、ゲームを体験してみませんか。  物語の現場からQUEST(戦・闘い)へ、そして次へと、展開にわくわくし、厚い(493ページ)本も気になりません。  歴史エンターテインメント小説の描く“戦い”に学び、真似、未来(あす)を楽しみましょう。いかがですか。  読書メモより(ネタバレ避けて)
ブレイン・マシン・インターフェイスは脳とコンピューターを繋ぐ技術だ」 ○ 「司馬山さんは、先天的な障害のある人や事故や病気などで障害を負った人が、ゲームという世界を通して、障害を気にせず誰とでも交流できるようにしたいと考えていた。それを現実にするために立ち上げたのがグローリープロジェクトだ」 ○ 「(略) 多々良の言葉に、司馬山のような心を鷲掴みにされる表現はないが、仕事に対する目的とその背景を明確に伝えることで意識を確実に前向きにさせる。(略)」 ○ 「四箱思考」 輝元を西軍に引き入れるには (略) ○ 軍師:戦闘力1 実行力3 作戦立案力1 交渉力3 統率力1 人質力1徳川家康:戦闘力5 実行力5 作戦立案力4 交渉力4 統率力5 人質力4 ○ 「ここからはおまえたちが初めて合戦を経験する。将来的な商品化のことも考え、残酷な描写は取り入れていない。(略) それ以外はかなりつくり込んでいるから期待してくれ。まずは馬で前線に出てみろ」 ○ みやびははっきりと言った。自分のなかで不思議な強さを感じた。それは自分の成長なのかもしれない。 ○ 準備が整った時点で時間は早送りにされた。  「ここからは最終決戦となる。もう後戻りはできないし、セーブはできない。エンドまでだ。健闘を祈る」 ○ 「太閤殿下がいけませぬな。かのお人は、すべての大名に夢を与えてしまわれた」 ○ 「天下とは、天が定めた者に与えられた使命である。願い取れるものではなく、重い荷を背負う覚悟のある者に授けられるものである」  「重い荷とはなんですか?」 ○ 自分で自分の未来を決められない人がいる。そのことを、みやびはゲームで思い知った。影花や佐助、島左近や淀など、あのゲームのキャラクターは皆、己の周りの運命に翻弄され生きていた。(略)  現実社会でも健太郎のように、その自由を剥奪された者もいる。それを思えば(略)
   目次 プロローグ 1 グローリープロジェクト ──ミッションが人を動かす 2 テストプレイ始動 ──合意可能領域を探れ  QUEST 1 軍議に参加せよ  QUEST 2 伏見城攻略 3 合併計画 ──仮説と実行を繰り返せ  QUEST 3 岐阜城防衛戦  QUEST 4 木曽川の戦いを制せよ 4 内通者 ──相手の立場で思考せよ  QUEST 5 淀殿を説得せよ 5 ラストチャンス ──速度が勝機を生み出す  LASTQUEST 関ヶ原の合戦 終章 旅立ち ──自分という物語を紡げ
【関連】   ◇『もしも徳川家康が総理大臣になったら』(眞邊明人・著)(2021/06/20 集団「Emication」)