保全作業。 『宙ごはん』(町田そのこ・著)
天気のよい一日でした。
先月末に続き、保全会の作業をしました。田や法面に茂った背丈を超えるほど伸びた茅やセイタカアワダチソウを刈り、綺麗になりました。
みなさん、お疲れさまでした。ありがとうございました。
表紙に、リュックを背負った女の子が道路に立ち、家並みを見ている姿の描かれている『宙ごはん』(小学館・刊)を読みました。
その表紙の街が裏表紙へと続いているようで、カバーを外し広げてみると、そでの部分までの一枚の絵になっていました。
街が描かれていますが、女の子に他に人の姿はなく、何となく寂しげです。主人公のようすを描いているのでしょうか…。
カバーを戻すとき、裏に文章が書かれていることに気づきました。
『〈特別掌編〉 君との出会いと誓い』と題する短編です。カバーを外さなければ気づきませんでした。
本編の前に、読みました。「そうか…。」
第一話が「『お母さん』と『ママ』はまったく別のもんだと、宙(そら)は思っていた。」から始まります。
母の日を前に、“母親の絵”を描くように保育士から言われて、宙は戸惑っています。
“多様性”がいわれる世の中ですが、多くの園や学校でよくある光景です。
卒園式を終え小学校入学を前に、ママ(日坂風海)とパパ、お姉ちゃんはシンガポールへ、宙を残して行ってしまいます。
小学1年生の宙は、その日からお母さん(川瀬花野)と暮らし始めます。イラストレーターのお母さんは、食事を作ることもなく…。
この物語は、あなたの人生を支えてくれる。 宙には、育ててくれている『ママ』と産んでくれた『お母さん』がいる。厳しいときもあるけれど愛情いっぱいで接してくれるママ・風海と、イラストレーターとして活躍し、大人らしくなさが魅力的なお母さん・花野だ。二人の母がいるのは「さいこーにしあわせ」だった。 (略) ある日、花野への不満を溜め、堪えられなくなって家を飛び出した宙に、佐伯はとっておきのパンケーキを作ってくれ、レシピまで教えてくれた。その日から、宙は教わったレシピをノートに書きとめつづけた。 全国の書店員さん大絶賛! どこまでも温かく、やさしいやさしい希望の物語。物語の主人公 川瀬 宙 の5歳(保育園)から17歳(高校生)までの人生、そして、その後が描かれています。 第一話でパンケーキを作ってくれた佐伯恭弘が、カバー裏にあった話のオレでした。 花野の中学時代の後輩の佐伯は、宙と花野に毎日のごはんを用意し、さまざまな料理を作り、食べさせてくれます。宙の話し相手にもなってくれました。 宙は、佐伯のレシピをノートに書きとめていきます。 第二話、小学生の宙、第一第三土曜日は『やっちゃんお料理教室』が開かれ…。 第三話、中学生の宙、佐伯が結婚し…。 第四話、川瀬家のリフォームが始まり…。 第五話、高校生の宙、そして…。 物語を読み終え、改めてカバー裏の短編を読むと、初めとは違った印象です。 「そうか…。」 二度味わえる短編でした。 宙の成長と出会い、その出来事…。そこに美味しい料理が…。 あなたも、宙の料理を味わいませんか。
目次 第一話 ふわふらパンケーキのイチゴジャム添え 第二話 かつおとこんぶが香るほこほこにゅううめん 第三話 あなたのための、きのこのとろとろポタージュ 第四話 思い出とばらばらレタス卵チャーハン 第五話 ふわふらパンケーキは、永遠に心をめぐる【関連】 ◇町田そのこ (@sonokosan3939)(Twitter) ◇特設サイト『宙ごはん』町田そのこ(小学館) ◇『52ヘルツのクジラたち』(町田そのこ・著)(2021/05/09 集団「Emication」)