集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

『まんがで知る デジタルの学び』(前田康裕・文と漫画)

富士山0104。 「今日が2022年の仕事始め」と言われる方も多いと思います。  新年のあいさつに続いて,「新型コロナ禍ですが…」「感染予防に努め…」という言葉も多かったでしょう。しかし,それはすでに“普通のこと”であり,改めて“古い日常”と比べたり引き合いに出すものではないと思います。  これからを“創造”する発想と行動が,2022年の最初の一歩です。  あなたの2022年は,どんな歳ですか。  2022年,図書の記事が続きます。今日は,まだ読まれていない先生に,休み明けの子供達が登校するまでに読むことをお薦めする本です。  「まんがで知るシリーズ」は,教育について分かりやすく語り,マンガで描かれています。教育に携わる方がよく知る図書です。その新刊『まんがで知る デジタルの学び――ICT教育のベースにあるもの (まんがで知るデジタルの学び)』(さくら社・刊)を読みました。
 シリーズおなじみの吉良先生、今回は1人1台時代に突入した小学校に赴任しました。  教員は明るく前向きな初任者からEdTechに強いスマートティーチャー、定年間近の昭和ティーチャーと多彩。子どもたちはそれぞれの個性を放ちながら、情報端末に馴染んでいきます。様々な問題に直面しつつ、それを乗り越えて成長していく教師と子どもたち。その背景には、デジタル社会になっても変わらず受け継がれる教師のあり方が描かれています。  「誰だって苦手なことはある。少しずつでも変わっていけばいい」「友だちから学べる人は自分を大きく伸ばせる」「技術は人を幸せにしてこそ価値がある」など、昭和ティーチャー・舎貝先生の名言も随所に、教育の根本を考える機会も得られます。  最新の情報と考え方がわかるコラム「デジタル社会の教育を考える教養書」も必見です。
 新型コロナ禍でGIGAスクール構想による一人1台端末の整備が一気に進み,ICT教育が“日常”になりました。  しかし,すべての先生,学校で日常かというと,そうではなさそうです。  本書の中心人物「還暦を迎えるベテラン教師 舎貝常道先生」も,デジタル機器は超苦手です。タブレット端末校内研修会を受けて
 子どもたちがタブレットを使う授業って… 自分だってよく使えないのに…  昭和時代からの教師にとってはつらいなあ タブレットで授業なんて自信がないよ…
と不安の言葉が出てきます。  そうして始まったタブレットを活用する授業,教育について,舎貝先生と子供達,同学年を担当する新任教諭 森野都(22),拠点校指導員 吉良良介(53),発見する力0104。教務主任 本室大二郎(48),研究主任 前向協子(42),生徒指導主任 矢良粕三(45),教育情報センター指導主事 千葉城誠(45),ICT推進リーダー 江渡手久実(30),情報通信技術支援員 速川優子(42)の取り組みと成長が描かれています。  GIGAスクール構想,一人1台端末,ICT教育…,それら“新しい教育”は,突然始まったものではなく,これまでの“教師のあり方”を形にしていくものです。  その“教師のあり方”が問われていることが再確認できます。  2022年の教育,授業を始める前に,教育に携わる方,保護者のみなさんにお薦めの一冊です。  読書メモより
○ 子どもたちが学習の道具として日常的に使いこなせるようになれば,効果は上がるということです ○ 感情労働って知っているかい? 子どもの前で笑顔を見せたり/注意するために怒ってみせたり/一緒に悲しんだりすることってあるよね ○ 望ましい記述ってあるんですか?/「望ましい記述」というよりは(略) 評価には教師の教育観が反映される ○ 舎貝先生には強い目的意識があるからですよ(略) 覚えていますか?/「強い目的があれば人は自ら知識や技術を身に付けられる」って
本書で紹介されている「デジタル社会の教育を考える教養書」  第1章 『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?〜経営における「アート」と「サイエンス」〜(山口周・著/光文社新書)  第2章 『コンピュータが仕事を奪う』(新井紀子・著/日本経済新聞出版社・刊)  第3章 『オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る』(オードリー・タン・著/プレジデント社・刊)  第4章 『未来のイノベーターはどう育つのか――子供の可能性を伸ばすもの・つぶすもの』(トニー・ワグナー・著/英治出版・刊)  第5章 『リフレクション(REFLECTION) 自分とチームの成長を加速させる内省の技術』(熊平美香・著/ディスカヴァー・トゥエンティワン・刊)  第6章 『OECD Education2030プロジェクトが描く教育の未来:エージェンシー、資質・能力とカリキュラム』(白井俊著・著/ミネルヴァ書房・刊)  第7章 『コンヴィヴィアル・テクノロジー 人間とテクノロジーが共に生きる社会へ』(緒方壽人・著/ビー・エヌ・エヌ・刊)  第8章 『社会情動的スキル――学びに向かう力』(経済協力開発機構(OECD)・編著/明石書店・刊)
   目次 第1章 授業改善を共通の目的にする──子どもたちの資質・能力を育成する 第2章 情報の意味を理解する──テキストとコンテキスト 第3章 自ら学ぶ力を育てる──人とつながりながら学ぶ力を高める 第4章 学習者の視点に立つ──昭和二二年度の学習指導要領 第5章 批判的思考力を高める──子どもたちが学びとる授業へ 第6章 教師も学び手として成長する──授業研究会も変化させる 第7章 スキルとモラルの両方を向上させる──保護者と一緒に考えるルール 第8章 人間としての心と力を育てる──十年後の未来
【関連】   ◇前田康裕 (@yasumaeda)Twitter)   ◇前田康裕フリー漫画イラスト資料集   ◇前田康裕(note)