オンライン学習。 『ロマンティック数学ナイト』（ロマンティック数学ナイト運営員会・著）

　夏らしい催しのないまま8月最後の日曜日を迎えました。 　雲一つない青空，天気のよい一日でした。当地でも“暖かい風”が吹き，温風を当てられているような暑さを感じました。 　「規模を縮小して…」「緊急事態宣言により中止と…」と，これまでと違う夏が過ぎようとしています。 　一方，「これまで参加できなかったことに…」「少人数だったので…」と，オンライン開催や初めての形態にしたことで，新しい繋がりや活動が生まれた夏でもあったようです。 　夏休みが終わり，感染対策としてオンライン学習を行う学校が増えるようです。それについての話題がSNSにも目立っています。 　ただ，その話で心配していることがあります。 　昨年の休校期間から夏休みまで「準備」と「オンライン学習」を進めてきた学校は問題ないでしょうが，そうばかりではなさそうです。 　昨年4月「オンライン狂騒曲。」の記事で，課題を紹介しました。

1. インターネット全体の負担が大きすぎる。 2. オンライン授業に慣れてない素人がいきなりするのは無理がある。 3. リスクマネージメントが全くできていない。

　この1年でGIGAスクール構想による通信環境や端末の整備は進みましたが，計画的に進めていないと，2や3の指摘は変わっていなさそうです。 　ちょっと心配しています。 　お子さんの学校，あなたの地域は，いかがですか。 【これまでの記事から】 　　《タグ》オンライン学習 （集団「Emication」） 　　《タグ》GIGAスクール （集団「Emication」） 　「デルタ株の感染力は強く…」とニュースが伝えています。 　新型コロナウイルスの変異株について，以前は“由来地”の地名を付けて呼ばれていましたが，それが「α（アルファ），β（ベータ），γ（ガンマ），δ（デルタ）…」とギリシャ文字が付けられるようになりました。 　現在の感染拡大は“4番目(?)の変異ウイルス”による猛威ということでしょうか。 　これまで，多くの人はギリシャ文字を意識することはなかったと思います。新型コロナ禍で耳にしても，記号の一つでしかないかもしれません。 　そのギリシャ文字を，あえて章番号(?)に付けている『数学のロマンが詰まった 夜も眠れないほど面白い18の数学エピソード ロマンティック数学ナイト』（KADOKAWA・刊）で，数学を楽しみました。

　巷で人気の数学イベント、「ロマンティック数学ナイト」が初の書籍化。 　あの伝説の名プレゼンがここに蘇る！この1冊で「内なる数学を解き放て！！！」 　数学がとにかく好き、数学で繫がりたい、そんな人達のためのショートプレゼン交流会「ロマンティック数学ナイト」を書籍化。「恋の交換法則」「小説と数学」「演繹という幻想」など、１８の数学エピソードを収録する。

　以前紹介した『笑う数学 ルート4』（日本お笑い数学協会・著）と“同じニオイ”のする，数学を楽しみ，味わう一冊です。 　本書では，「用語」の説明が多く載っており，内容の補足や解説がされ理解を助け，記憶の呼び起こしをしてくれます。 　内容に入る前に「ロマ数用語集」があり，

○ 素数 ○ グロタンディーク素数(57) ○ ガロア「時間がない」 ○ フェルマー「余白がない」 ○ ヒルベルト空間・バナッハ空間 ○ 動く点P ○ グレブナー基底にはポン酢が合う ○ ロマンティック数学ナイトプライム ○ 素数大富豪 ○ ペガマス ○ ゼータ関数 ○ ロマンティック事情 ○ ラマヌジャン ○ １７２９（タクシー数）

の14の説明をしています。知ってる言葉もありますが，「これ何だっけ？」と思い出せなかったり，そもそも知らなかったり，と読むのを止めようかとも思いました。 　そう思いましたが，ここを超え，「αの章　面白い数学」に入ると，その“面白さ”に引き込まれました。 　各項は，それぞれの著者が「語り」，そこに出てきた「ロマンティックな数学の用語」の説明があり，「Roman＋α」の付けたし（コラム?），最後に「参考文献」という構成です。 　楽しんで読み進め，「βの章　ロマンティックな数学」に入って立ち止まることが増え，「γの章　ロマンティックのその先へ」は出てくる式や説明を読み直すことが増え…。最後まで読みましたが，終盤は「ほ〜」「そうなのか」と感心だけだったかも。 　小学校の算数から数学，そして高校の数学，大学の数学と，“学問の拡がり”を味わい，楽しめました。 　18のエピソードから，気になる項目を読み，気に入らないのは飛ばして，自由に楽しめる一冊です。 　読書メモより

○ 実は「恋の方程式」は「連立方程式」だったのです！　加減法で解いてみましょう！　下の式から上の式を引くと… ○ このように，言葉を説明するためには，新たな言葉が必要になります。その新たな言葉を説明するためには，また新たな言葉が必要となり，説明が終わりそうにありません。(略)　直線も最後まで明確に定めることが難しいようです。 ○ 水と味噌という二つの物質があり，一定の法則を持って動いている。一見複雑なこの動きは，どんな数式で表せるのだろう，そこにはどんな法則があるのだろう──。 　これ，小説的だと思うんです。 ○ こうして私は，見て・触って・食べて，さまざまな方法でゼータ関数と親しむことができました。 ○ 「一般的なものが，単純なものの組み合わせで表せる」という構造が味わい深いなあと感じます。 ○ 人間の「筆算」がわかりやすい。筆算は実に人間的だ。 ○ 対人関係の単位，ソシオンとなるのは，認識できる対象です。認識さえできれば，相互作用するのは人間に限りません。

　　目次 はじめに ロマンティック数学ナイトとは ロマ数用語集 著者陣紹介 αの章　面白い数学 　Roman1　恋の交換法則 　…… 　Roman6　小説と数学 ベガマスからの挑戦状1 βの章　ロマンティックな数学 　Roman7　『原論』にみる数学の解釈問題 　…… 　Roman15　いかに問はば，届かむや。 ベガマスからの挑戦状2 γの章　ロマンティックのその先へ 　Roman16　置換行列の美しい物語 　…… 　Roman18　時間・空間・ブラックホール ペガマスからの挑戦状3 結城浩からの挑戦状 挑戦状の解答 おわりに

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