集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

龍宮の浄瑠璃姫 (つくで百話 最終篇)

花0201。 曇りの一日でした。  新型コロナウイルス感染者数が減っていますが,緊急事態宣言の解除には至らないようです。  感染予防をしっかりし,自粛の生活が続きます。  自粛のなかで,“人と会う”,“(家族以外の)人と話す”ことが少なくなっています。備忘録のメモに,思いいろいろ。
   人は4つのことで変わる 「感謝」   感謝をするようになると,毎日が楽しくなります。   自分だけではなく,周りの人も幸せにする力を持っています。   感謝のあるところに,人の信頼関係が生まれます。 「感動」   感動すると,人は動きます。   それは,感動が理性ではなく,魂に響くからです。   感動の多い人は,人に好かれます。   感動は,感じたままに動く人に,よく起こります。 「」   涙は,どんな苦しみや悲しみも,浄化してくれます。   涙を流すと,心が晴れてきます。   感情は,形にすると解消されます。   涙は,もっとも純粋で,高貴なストレス解消法です。 「喜び」   喜びこそが,エネルギーです。   本当の喜びとは,一人で味わうものではありません。   みなと共感する時,大きな喜びが生じます。   その為には,人を喜ばしてください。   人を喜ばす喜びを知った人は,幸せな人です。
 『つくで百話 最終篇』(1975・昭和50年7月 発行)の「民族と伝承」の項からです。 ********     龍宮の浄瑠璃姫  長篠の医王寺に伝わる奥平信昌の旧記には,次のような話がつけ加えられている。浄瑠璃姫の死後,かれこれ三百年も経ってからのことであるが,鳳来寺の麓の滝川という処に,助六という至って貧乏な百姓があった。然し正直な為,常に龍宮から種々の器を借りて自用に供していたと。ある時,その一つの椀を失ったので詫詞しようと渕まで行くと,そこに四十恰好の女がいて肋六の方を向いて「妾は,昔矢作の長者に仕えた冷泉というもの,龍宮へならば御案内申そう。」「不思議だ。何ともいわぬ私の心を知っている。」と,思い乍らも後をついて行くと,いつの間にか水 中を歩いている。瀬の鳴る音や,風の音が頭の上の方で,ごうごうという。こんな所を五・六丁も歩いたかと思うと,忽ち絵で見た様な龍宮の門の前に出る。眼の醒める様な赤や青の色どり,真珠や珊瑚がまばゆいばかりに輝いている。「名高い乙姫様は」などと考えていると,先の女の脇には,また一人の年若き女がいつのまにか立っている。  「妾も前生は南閻浮舟 矢作の長者の娘にて 浄瑠璃姫と申すもの 深閨の中に人となり   綾羅錦繍の其の粧ひ 王の簪身に飾り 翠張の内に住み侍るが ニ八の花の初櫻   恋に引かるる牛若の 吾妻に下り給ふとき ああうつつなや こま笛の 想夫恋の音にほだされて 一夜あだなる手枕に かひなく立てし浮名川 またも逢ふ瀬のありなんと   まてどくらせどさりとては 音無し川の浮藻草 焼くや蛍の身を焦がす……  この不思議な,音律的な詞は二,三十間も離れている肋六の耳にもハッキリ聞こえた。   其の妄執の罪深く 衆合地獄に落つべきを 妾は薬師の申し子とて 其の仏縁や深み草   救いの網にかかる身の 不老不死のこの世界 其の寿の数は八千代草 竜神の后妃と今はなる  さては,あれが矢作の長者の浄瑠璃御前かと驚いていると,姫は助六を招いて「娑婆世界よりのお客様,龍宮の宝物を見せよう」と,奥の座敷へつれて行く。姫は五寸の瑠璃の真壷をもって来て「これは龍宮第一の宝,弥勒出世の暁に鳳来寺峯の薬師に奉らんと思うもの。」こう言って,姫が助六の手を引いて壷の中へ入ったと思うと,見る眼も美しい世界。東方薬師如来・日光・月光が輝いて十二神将・五百童女,すきまもなく並んでいる。助六はあまりの有難さに,これは何処かと尋ねると,東方瑠璃世界であると。空中よりは音楽が聞こえてくる。清香が薫ずる。旧記には『南表を眺むれば,梅に鴬,柳に瑠璃,夏は蓮花の咲きみだれる鴛鴦羽根うち並べ,菖蒲・杜若紛々たり。秋は蘭菊・女郎花,桔梗・苅萱・萩・すすき,冬は垣根の初雪や,花を争う一景色,四季を一眼に見すること,人間界とは違うなり。」と。やがて助六が帰った時には,既に三年三ヶ月たって家では死んだものとして,三周忌の法要も行われていたという。  爾来,姫が龍宮へ行っていたという事が一般的に信ぜられる様になった。   (浄瑠璃姫の古蹟と伝説 石田茂作) ********  注)これまでの記事は〈タグ「つくで百話最終篇」〉で  注)『続 つくで百話』の記事は〈タグ「続つくで百話」〉で  注)『つくで百話』の記事は〈タグ「つくで百話」〉で