作手の狂俳(6)(続 つくで百話)
青空の綺麗な日でした。出先で28度,当地でも23度となった暑い日でした。
午前中,高校生の行きかう姿を見かけました。分散登校の下校する生徒と登校する生徒のようでした。
久しぶりの登校だった生徒は,どんな感想をもったでしょうか。
『続 つくで百話』(1972・昭和47年11月 発行)の「作手の狂俳」の項からです。
********
庶民の文芸 狂俳回顧
私が子供の頃,渥美郡から牟呂彦という元気のいいじいさんが,竹籠の中へ煮干や鰯を一杯入れて天秤棒でかついで行商にやってきた。いつも酒を匂わして,鼻唄まじりで村の家々を回って商売をしていた。この牟呂彦じいさん,中々気さくい陽気もので,女子供にからかいながらの商ないぶりは中々堂に入ったもので,早々に,持って来た煮干など全部売りつくして,宮崎方面へ降りていった。
牟呂彦と気心の合った友人に,半の木田の大石栄作老人があった。二人は居酒屋で落ち合って飲み,歌いながら盛んに話し合っていた。通りがかりの人たちも立止って聞き耳をたてて,面白く笑い興じたものであった。やりとりしていた言葉が,子供にはわからなかったが「中々いいが俺ならこうする」とか「こうしたらもっといいだろう」などと応酬していた。後年栄作老人に聞いたら「ありゃあ狂俳ちゅうもんだ」と教えられた。
洒々落々たる中に,創造的な形容,譬喩,物語等もとり入れた狂俳は,庶民にも親しみ易い大衆文芸の一つというべきものであった。
(阿部華影)
********
注)これまでの記事は〈タグ「続つくで百話」〉で
注)『つくで百話』の記事は〈タグ「つくで百話」〉で
【おまけ】
今日の新聞に「しばらくは離れて暮らすコとロとナ つぎ逢う時は君という字へ」が紹介されていました。
気づきに感心し,わくわくしました。
◇「コ+ロ+ナ=君」 会えない思い、希望をつなぐ短歌に(朝日新聞デジタル)
◇「収束したら、大切な人と…」切なる思いを詠った“コロナ短歌”に、心温まるの声(BuzzFeed News)
◇「しばらくは離れて暮らすコとロとナ つぎ逢う時は君という字へ」(Facabook 2020/04/01)