集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

民具について 『藁工 1』(続 つくで百話)

花0225。 曇り空で気温の上がらない寒い一日でした。朝は青空で日差しがあり晴れの日を期待しましたが,そうはなりませんでした。  当市の市議会3月定例会が始まりました。本会議第1日の今日は,市長から予算大綱説明,教育長の教育方針説明が行われました。   ◇新城市議会  自宅にいたのでケーブルテレビの中継をつけていました。  聞こえてくる“言葉(説明)”に,わくわくしないのは何だろう。年をとったからでしょうか。  時々見る画面に見えるのは…。  『続 つくで百話』(1972・昭和47年11月 発行)の「民具について」です。 ********     民具について   小林 峰田好次 藁工  稲藁は天与の不思議な材料である。特殊な諸性質を持ち,繰作も仕易く外観感触もよろしく,多量に容易に入手出来ることもあって,永く久しく農民の生活資材となったのであった。作手の農家に於いても幾世代の人々がそれぞれ藁工に従事し,この材料ばかりは全く堪能し,堪能させられるまで利用したのであった。 藁工0225。 用途も多様で,建築用として草屋根下地,壁スサ,敷物として畳の芯,莚,菰,結束用の縄,スガイ,運搬具のもっこ,担架の縄網,日常用のフゴ類,叭俵,履物の草履わらじ,雨具の蓑,祭祀用の〆縄 等々  藁工の多くは手作りであって,工具としては,槌や莚機子,菰デシ程度でどの農家にも一通りの準備はあって,女子供も容易に作業に参加出来たのである。 藁槌(つちんこ)  樫の丸太を胴と柄とに削り分けた簡単なものではあるが,胴まわりによって長さが考えられ柄の長さも決められ純然たるお手製品,素朴な愛嬌ものである。  特に新しい藁を選んで作られた。新年の門や神前の〆縄には,その清浄感に心改まるのである。  胴に大小があって男用女子供用と自然に区別されていたようである。家々によって格好に相違があって面白い。全くの実用品で装飾的配慮はされなかった。  叩石が土間の片隅に埋めこまれ固定されていて,雨の日や夜業の居造作には藁打つ音が響いたのである。  打たれた藁は縄綯いに,草履,わらじ作りに用いられた。縄は大人三十尋を以って一把とされた。手綯いは今日の機械縄より粗い仕上りではあるが,中々強靭であった。子供達も大人に混じって時に縄を綯い草履を作って面白がった。草履が出来れば一人前として賞められた。 (つづき) ******** 注)これまでの記事は〈タグ「続つくで百話」〉で 注)『つくで百話』の記事は〈タグ「つくで百話」〉で