集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

成人の日。『ケーキの切れない非行少年たち』(宮口幸治・著)

ビール0113。 午前中は日差しがありましたが,曇りの天候で寒い一日でした。  今日は,国民の祝日の一つ「成人の日」です。「おとなになったことを自覚し,みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」ことを趣旨としています。  今年の新成人は122万人で,前年に比べて3万人の減少です。昨年は増加しましたが,連続して増加とはいかなかったようです。  ニュースにもなっていましたが,一昨年(2018年)6月13日に民法の一部を改正する法律が成立し,“成年年齢が18歳に引下げられ”ました。  法律が施行される2022年4月1日以降の“成人の祝い”(成人式)は,どのように行われるのでしょう。自治体により判断が異なっているようですが,今後は“どこでも同じ”は無くなりそうです。  みなさんの地域は,どのような“成人の祝い”になりますか。  「○○ができない△△」という本を見かけることがあります。  本書を目にしたのが『「%」が分からない大学生』(芳沢光雄・著)を読み終えて間もない頃で,そのままスルーしていました。  話題になり,“目立つ黄色”のカバーが重ねられるようになてから『ケーキの切れない非行少年たち』(新潮新書を読みました。  最初は「非行少年か…。今は関わりないし…。」と題名から手に取らずにいました。  児童精神科医である著者が,精神科病院医療少年院での出会いや経験から“境界知能の人々”に焦点をあて,その問題点を明らかにしていました。それは非行少年だけの問題ではなく,“普通にいる子供”が気づかれずに持つ問題であること,それに対応することが必要であることを訴えていました。  はじめにに,次のような記述がありました。
 ではどうしたらいいのか。答えは病院にはありませんでした。(略) 結局は投薬治療といった対処療法しかなく,根本的に治すことは困難なのです。
 ある子供のことを思い出しました。はじめて学校で出会った時,とても目立つ,気になる子でした。一年後,学校を訪れると,その子はとても静かで,すぐに見つけることができませんでした。  “投薬治療を受けている”とのことでした。保護者の判断と対処ですが,“学校(教育)でできることがあったのでは…”との思いをもったことを思い出しました。これには,「何を甘えているの」という見方もあるでしょうが,その背景にある“障害に気づいていない”ことを残念であり,支援が大切だと述べています。  学校の多忙化,教育改革,働き方改革…のなかで,「先生に,何を,どこまで求めるか」が悩ましい問題ですが,教師には「教育すること」が最優先,最大の役割だと思います。
 褒める教育だけでは問題は解決しない  (略) しないような注意・集中力をつけさせないと問題は根本的に解決しないのです。こうした問題が発生している場合の「褒める教育」は,問題の先送りにしかなりません。
 これに強く同意します。  “褒める教育”を否定するわけではありませんが,それにより解決が遅くなったり,先送りの繰り返しになったりしていることに気づいても,止められずにいないでしょうか。  第6章まで,「世の中のこと全てが歪んで見える可能性がある」,反省以前の問題,認知機能の弱さ,対人スキルの乏しさ,身体的不器用さ…と,さまざまに問題を明らかにしています。  そして,第7章で「ではどうすれば?」と,解決に向けた実践的なメソッドを示しながら,著者からの提案が述べられています。  多くの方に読んでいただきたい一冊です。  教員,教育に携わる方々,ぜひお読みください。
    目次 はじめに 第1章 「反省以前」の子どもたち 第2章 「僕はやさしい人間です」と答える殺人少年 第3章 非行少年に共通する特徴 第4章 気づかれない子どもたち 第5章 忘れられた人々 第6章 褒める教育だけでは問題は解決しない 第7章 ではどうすれば? 1日5分で日本を変える おわりに
【関連】   ◇統計トピックスNo.122/2 新成人人口は122万人(統計局ホームページ)   ◇民法の一部を改正する法律(成年年齢関係)について法務省