集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

「狐につかれた話」(つくで百話)

萩0922。 台風17号の接近で大雨や強風となるなど,各地に影響が出ています。  みなさんの地域では,いかがでしたか。  天気を心配しながら出かけましたが,良い天候で日中は青空が広がって暖かい日でした。  あちこちで“ラグビーワールドカップ2019”に関わるモノと人をたくさん目にしました。盛り上がっていますね。  そうした様子を見ながらの2か所目の訪問先では,夕方になって雨が降り始めました。試合は大丈夫だったかな?  『つくで百話』(1972・昭和47年 発行)の「怪奇物語」から紹介です。 ********     狐につかれた話  明治三十年代までは,上小林の重憲さんとこには女衆(おてつだいさん)が二人と男衆(下男)が一人は,いつもいました。  或る日,男衆の銀作と,女衆のおせんとおみいが,家から四,五丁離れた鳶の巣山へもや(薪)拾いにゆきました。日頃からおせんとおみいとは,あまり仲のいい方ではなかったのですが,午前十時頃になると,おせんがおみいのそばへやってきて 「おみいさ,いい子だのん」とくり返しくり返しいうようになりました。あまりくどくどいうので,おみいが怒っても,相変らず同じことを繰り返すので気味悪くなって,少し早目にきりあげて,皆,家へかえって昼食をとることになりました。  家へ帰ると,おみいが,主婦のおさきさんに対って「おせんさが変なことをいうのでおそがくなった」といいました。どんな様子かためしてみようと思って,おさきさんが,いつものように,飯をもって食べさせようとすると,おせんがひどい権幕で怒り出しました。  「こんな麦飯なんか喰えたもんぢゃない。今までおった杉平の文公のとこでも,まずいものばかりくわしゃがったが,ここでも同じこった。おらでていくぞい」といってにらみつけました。おさきさんが 「杉平の文公のとこでは,何をしておった」ときくと,「文公とこの婆さが,やっと病んでいたが,いよいよ死かけたので暇をとってきた」 と答えました。  「お前は誰だ」ときくと  「俺,お虎の孫だ。(長篠城にいた古狐でよく病人についた伝説がある)文公のとこをみきりをつけて,鴨ヶ谷の方に病人があるちゅうから行ってみたいと思って,柿平(今作手南中学校のある辺)まできたが,腹がへって,摩長沢の悪石の坂が登れないで,待っていたら駄賃つけの馬がきたので,馬の尻尾へつかまってあがってきたが,馬が眺ねそうにするので,危くて困った。」とすました顔でおせんは答えました。  おさきさんは,これは,狐がついたのだと判断して,家の下隣りにあった峯田慈照さんを頼みに行きました。慈照さんは,弘法様をまつっていて,加持祈祷などをしておられました。慈照さんは,すぐ弘法様の前で,ご祈祷をしてから,お護符(お洗米か)をもって坂をあがってきました。  おせんは,慈照さんの姿をみると 「変な奴がきたで,おらおいとまするぞい。」と逃げ出そうとするので,皆で押さえつけて,いやがるおせんの口の中へお護符をおしこんで,背中をとんと強くたたくと 「何をするんだい」と大きな声で叫ぴ,キョロキョロしておりました。お虎の孫は,この時,おせんを離れてどこかえ逃げて行ってしまったのでしょう。正気にかえったおせんは今までのことは何も知らないで,夢から醒めたような格好をしておりました。 ******** 注)これまでの記事は〈タグ「つくで百話」〉で台風情報】   ◇日本気象協会 tenki.jp 台風情報   ◇最新の台風NEWSならウェザーニュース   ◇hicbc.com:CBC気象情報
台風0922。