集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

「天狗のともしび」(つくで百話)

稲0919。 昨日とは変わって,今日は青空の綺麗なよい天候でした。週末に向け下り坂の予報ですが,大きく崩れることなく連休が過ごせたらいいなあと思います。  今日は,いろいろとトラブルに出くわす日でした。  「あれっ? ○○ができない!」  素人の確認と修理では改善しません。  古い機械を長く使っていて,交換時期のようです。業者の方に連絡しました。  今夜は“非常時(?)の夜”です。  「○○が落ちた!」  すぐには救出(?)ができず,時間がかかりました。回復は難しそうです。交換(?)です。  その他にも…。  「なんて日だ〜」ではなく,「今日で良かった」「○○でなくて良かった」のです。  感謝して,ゆったりと落ち着いて過ごします。  『つくで百話』(1972・昭和47年 発行)の「怪奇物語」から紹介です。 ********     天狗のともしび  明治四十年頃の夏の夕暮時のことでありました。上小林の峯田源造さんが,関西地方の神社めぐりをして帰ったので,小林部落の人たちを招待して,神迎えのお日待ちをすることになり,皆な集ってきました。  上小林の部落は後ろに山を背負い,南方はずっと開けており,いくつかの谷をへだてて,雁峯山の嶺が東西に長くのびている見晴らしのよい所です。  その日は,一寸蒸し暑く,小雨がバラバラするという天候でした。神迎えの儀式や酒もりが始まる前の一時を,みんなは縁側にでて雁峯山の方をみながら雑談をしておりました。すると,突然,千本立ち辺の山に,大きな提灯くらいの火がみえました。  「あんなとこに火がみえるが何んなだらア。」 と云っている中に,その火がするすると上って行き,まもなく,雁峯山の頂上まで上りました。あれよあれよと云っている中に,この火の玉は二つに別れて,東西に進み,しぱらくすると元の所ヘ戻って,一つの火の玉となりました。この時になって,皆の衆は,事態の容易でないことを覚りました。  「神迎えだから天狗様がでたぞ」と云うものがあり,今迄の陽気な声などは,一時にきえて,おぢ気づいた一同は,念仏を唱えたり,六尺褌をはづして頭にかぶったり,はいてきた草履を頭にのせたりしました。これは,汚ないものを頭にのせていると天狗様が,いやがってよりつかないといういい伝えがあったからです。こうして,ひたすら念仏を唱えている中に,いつしか怪しい火の玉も消えてしまいました。  昔から,花祭りの夜や,神迎えの時には,天狗がでるといわれたものですが,これは,最も間近な時代に現れた天狗の火でありました。 ******** 【「つくでの昔ばなし」掲載】   ◇「天狗のともしび」 注)これまでの記事は〈タグ「つくで百話」〉で