『ことばのトリセツ』(黒川伊保子・著)
雨の続いている地域,溢れた水が引かない地域などあるようですが,当地は晴れて暑い日になりました。
洗濯物の目立つ一日でした。
タイトルを見て「“トリセツ”とは“2匹目の泥鰌”を狙ったような」と思い,帯の
「はい」と「ええ」 どう使い分ける? 大切なのは“意味”より“語感”!との言葉が気になって,『ことばのトリセツ』(インターナショナル新書・集英社)を手にしました。 読み始めて,ベストセラーとなった『妻のトリセツ』(講談社+α新書)の著者が著したものだと知り,“2匹目の泥鰌”もしかたないかと納得しました。 『妻のトリセツ』が話題になっていることは知っていましたが,黒川氏が人工知能の研究者であったことは,本書で初めて知りました。 研究から生まれた(?)「ことば」へのこだわりが,とても面白く,興味深いものでした。 次の問いがありました。
ミルとマルは,いずれもテーブルを表す単語で,大きさによって使い分けられています。 あなたは,どちらが大きなテーブルで,どちらが小さなテーブルだと思いますか。あなたは,どう使い分けますか。 ここに,音韻が脳に与えるイメージ(ブーバキキ効果)があるそうです。
共鳴連動力は,コミュニケーションと学習能力の基盤を作る,人間性の源である。その能力が,ことばに大きく関わっている。これからの社会において,AIの活用を抜きにしていくことは難しいでしょう。 しかし,それはAIに負けるといったことではなく,求められる“力”が変わってくるのだと思います。 それを「ことば」から切り込んでいます。
私たちのデータベースに音韻列を入力すれば,その物理効果の総体がすぐに出てくる。 (略) とはいえ,わが社の語感データベースよりも優秀なセンサーがある。それはあなた自身の脳である。「発音体感を味わう」つもりで発音してみてほしい,愛しいものに付す名前を。発した言葉,聞こえた言葉… その語感を味わいましょう。 そして,口にする言葉,表現する言葉(文字)を意識する“感性”に気づかせてくれる一冊です。
目次 はじめに 〜ヒトと人工知能が対話する時代が始まった〜 第一章 語感の正体 第二章 ことばのトリセツ 第三章 感性ネーミングの法則 一 感性ネーミングの第一法則 二 感性ネーミングの第二法則 三 感性ネーミングの第三法則 第四章 脳にとって「ことば」とは何か おわりに 〜世界は,語感で二分される 参考文献【関連】 ◇黒川伊保子オフィシャルサイト