集団「Emication」別館

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新作?『アリとキリギリス』。「島川橋の磯丸碑」(つくで百話)

花0821。 晴れの日で,吹く風が気持ちの良い一日でした。  先日,童話・寓話に触れたコラム記事を読みました。  そのなかに『アリとキリギリス』の話がありましたが,終わり方が“複数”ありました。  自分が知っている話。
 夏の間,アリさんが一生懸命働いているのに,キリギリスはヴァイオリンばかり弾いて仕事をしていません。  冬になってキリギリスは食べ物に困って,アリさんの家に訪ねていくと,「君は夏の間,遊んでばかりいたバチがあたったんだ。自業自得だ。」と言って追い返します。
 こうした話で,「人は,アリさんのようにコツコツ働くこと(勤勉)がよい。」といった“教訓”を伝えるものでした。  夏の過ごし方は変わらないのですが,冬になって違った話があるそうです。
 やがて,冬になって食べ物に困ったキリギリスは,アリさんの家を訪ねて行きました。  ドアをノックしたのに出て来ない。「おかしいな」と思って家の中を覗いてみたら,アリさんが倒れていたのです。  そう,アリさんは夏の働きすぎで体を壊し,死んでしまっていたのです。  キリギリスはアリさんが残してくれた食料を食べて冬を過ごしましたとさ。めでたし,めでたし(笑)
 “過労死”が問題になった頃に,古い価値観を皮肉って変えられた話のようです。  さらに,多様化した生き方が表れたような話もありました。
 冬になって食べ物に困ったキリギリスは,アリさんの家を訪ねて行きました。  「夏の間にしっかり練習して仲間とコンサートを開くことになりました。ついてはコンサートの券を買っていただいて,夏の間働いていたアリさんに是非楽しんでいただきたい。」  そして,アリさんにチケットを買いコンサートに出かけ楽しみました。一方キリギリスはその収入で冬を過ごしました。めでたし,めでたし。
 「どちらがよいか」といった判断,価値観ではなく,「それぞれ,好きなこと,得意なことをして支え合っていけばよい」というお話になっています。  あなたは,どのような『アリとキリギリス』の話をしますか。  『つくで百話』(1972・昭和47年 発行)の「川に因んだ話」から紹介です。 ********     島川橋の磯丸碑  東高松の川手から弓木へ渡る島川橋は,今では鉄筋コンクリートの立派な橋ですが,昔は丸太の一本橋でした。大水のでたときなど,この橋から落ちて水死した人もありました。当時の人々は,島川の辺に悪い狐がいて,旅人が橋を渡りかけると,橋を揺ぶって落すと思っておりました。  磯丸翁は,渥美郡伊良湖岬村が産んだ歌聖でありましたが,その晩年は,作手の川尻で暮らされることが多かったようです。弓木の養松寺に泊られたときに,村の人たちから,島川橋の話をきいて,水難除けの歌を詠まれました。    人のためかかる渡りの安かれと     橋守る神にいのることのは     磯丸 と自然石に刻まれた歌碑が島川橋の袂に建てられてあります。 ******** 注)これまでの記事は〈タグ「つくで百話」〉で