集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

「おじいさんの小さいころのがっこう」《父母が子どもの頃 4》

花0216。 風は冷たいけれど,天気が良く,少し歩くとコートが暑く感じる日でした。

 文集「こうやまき」(1970年・刊)から,「父母が子どもの頃」の一話です。

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   『おじいさんの小さいころのがっこう』 (文・菅守小1年 女子)

 がっこうから うちへかえると おじいさんは,こたつにねていました。ことし,おじいさんは,五十七さいです。

 かばんをおろし さくぶんのかみをだしてききました。

「おじいちゃんの Aぐらいのとき どんなぐわいに がっこうにいったか おはなしをしてよ。さくぶんにかくで。」

と,いうと おじいさんは,ゆっくりおきて,

「おじいさんはなあ,きょうだいが,十人あってな,さんばんめが,おじいさんでな おじいさんのおかあさんは 子どもが おおぜいで たいへんこまった。だから,おじいさんは,四年生のときから あさは 四じごろおきて めしをたいて きょうだい二人の べんとうをつめて,がっこうへいったんだぞ。」

と,いいました。Aは きょうだい三人で,かばんを ほっぼかしておけば おかあさんが つくえのところへかたづけて くれるし,こたつでねてしまえば ふとんの中に ねかしてもくれます。

「もっと はなしてよ。」

と,いうと 目だまを大きくしていいました。

「そのころは いまのように くつが たくさんなかったので,わらでつくったぞうりをはいて ほそいみちを あるいて 山のたかいところに がっこうがあったもんだから そこへかよったんだ。」

と,いいました。Aは,まいにらバスでがっこうへかようので,くつも 一年になるときかったのが,いまでもはけるし,こしかけで,ふわふわしていれば,がっこうにつきます。でも,あさ六じはんにバスがでるので 六じにおきるのですが,ねむたくて,おかあさんに だっこして おこしてもらいます。

 いままで あんぐらをかいて はなしをしていたおじいさんは すわりなおして,またはなしてくれました。

「おじいさんがなあ がっこうへいくじぶんは おとうとを こもりをしなければならないので,はやびきをして きたんだぞ。」

 Aは,

「はやびきって なんのこと。」

と,きくと,

「がっこうが おわらんで みんなよりさきにかえることだ。」

と おしえてくれました,それから また おじいさんは はなしをつづけました。

「それでなあ,そのころはなあ,うちが こまったので おじいさんの おとうとは,だみねの もとのそんちょうさんのうちに あずけられたそうです。おじいさんも 十二さいのとき ちかくの おばさんのいえに ほうこうこいって そこから がっこうへいったんだぞ。」

 Aは,ほうこうということは,なんのことかわかりません。

 それから,はなしをつづけました。

「おじいさんは,がっこうを あんまりやすんだのでなあ,がっこうのせいせきは,いちばんびりだったんだぞ。Aは,びりなんかならんようにせにゃあいかんぞ。」

と,いう おじいさんの大きな目は,ひかっていました。

 Aは,かせをひいて よくやすみますが,じょうぶになって,びりにならんように しなければ いかないと おもいます。

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 学校の話が続きました。

 “昔の学校”が思い描けましたか。