集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

『LDは僕のID』(南雲明彦・著)

花0604。 天気がよく,気持ちのよい一日でした。  今日4日から10日まで「歯と口の健康週間」です。今年の標語は『のばそうよ 健康寿命 歯みがきで」です。  子供の頃は,6(む)と4(し)の語呂合わせで、「むし歯予防デー」と言っていました。簡単に「虫歯の日」とも言ったようなきがしますが,さすがにこれは変ですね。  その後,口腔衛生週間歯の衛生週間として呼びかけられ,最近は「歯と口の健康週間」となっているようです。  この機会に,歯と口の健康について意識してみたいと思います。  みなさん,歯と口は健康ですか。  先日,子供の発達障害について話をしました。  マスコミなどでは,大人の発達障害が話題になります。LDやADHD発達障害といった言葉も,特別でなくなってきています。  学校教育では,平成18年に指導対象として制度に採り入れられ,学校教育法等が改正され,平成19年度を「特別支援教育元年」と呼ばれるような,大きな制度変更がありました。  それから9年,制度が変わり,環境が整備されてきています。どの学校・学級にも“いる”のですが,その理解は十分とは言えないかもしれません。  以前に読んだ本ですが,LD(Learning discovary・学習障害)だという著者の『LDは僕のID ―字が読めないことで見えてくる風景』(中央法規・刊)です。  南雲氏は,生まれつき「ディスレクシア(識字障害)」をもっており,それに苦しみながら成長し,生活してきたことが綴られています。  小学生低学年の頃から,薄々友達とは違うことに気付き,当時はその理由がわからないまま,子供なりの知恵で誤魔化してやり過ごしていました。  中学生,高校生になると,その障害は日常生活に支障をもたらし,それでも周りに悟られまいと努力する,痛々しい姿が描かれています。
(自転車に補助輪を付けることに例えて) しかし,補助輪をつけずに,助けを全く借りずに乗れることが大事なことであるのか,それとも,補助輪がつき,助けを借りても走れることが大事なことであるのか。僕は,どんな状態であれ,走ることができることで,見ることができる景色や感じることができる風を大切にしてほしいと願っています。
 彼が育っていくなかで,“補助輪”にあたる支援はありませんでした。  当時,こうした障害についての理解がなかったということもありますが,“普通”を求めるなかで,補助輪を外すことが意識されるばかりに,景色や風を知らせずにいることがあるのです。  何を大切にするのかを見誤ることが多いのです。  南雲氏が「学習障害」とわかったのは,21歳の時でした。  文字の読み書きが遅いため,働いてもうまく仕事がこなせずに辞めることが続き,自暴自棄の荒れた生活を送っていた頃でした。  実名を公表し,ディスレクシア(読字障害)の当事者として,啓発活動に全国を飛び回っています。
  この障害をもったことで,人とは少し違う視点をもてたことは誇りにさえ思えます。だから,堂々と自分の障害のことを伝えたいです。だけど,普通障害がある人とふれたことのない人の場合「障害」という言葉を聞いただけで,リアクションに困ってしまうことが多々あります。僕だって,自分の障害が分かるまで,障害がある人について考えさえしなかったのが現実です。
 彼が,障害を自覚し,それを受け入れて生活をしていくなかで,次のようなことも述べています。
 僕がこの障害をもって良かったと思うのは,他に才能があるとかないとかの話ではなくて,この障害をもって生まれたからこそ,出会えた人たちや,風景が確実にあるのです。それこそが,僕だけのかけがえのない宝物です。  LDは,「Learning Disabilities」(学習障害)でもあるけれど,「Learning Discovery」(学びの発見)でもあるんじゃないのかなって思います。
 南雲氏の育ちと思い,考えを通して,新しい発見のある一冊だと思います。  一気に読める一冊です。いかがですか。
    目  次 はじめに 第一章 「生きづらさ」の中で ―僕の生い立ち 第二章 LDは「学びの発見」だ! ―僕にとっての「障害」 第三章 まずは先生に自己肯定感を ―僕が考える「発達障害支援」 第四章 「生きづらさ」の可能性 ―歩み寄る社会に向けて
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