「川尻のかんのん様」《作手村のむかし 10》
雲が目立ちましたが,晴れの気持ちのよい日でした。
強い日差しでしたが,風が爽やかで,あまり暑さは感じずに作業ができました。
明日も天気は良いようです。屋外の活動も,しっかりできそうです。
30日に放送された「又吉直樹のヘウレーカ!」(NHK)は,「夜の標識 光って見えるのはなぜ?」でした。
道路標識など“反射して光る”ものを調べていました。
“理科”の話になると思っていましたが,解説の吉永正彦氏は“数学者”で,後半は「数学の見方・考え方」からの話でした。
楽しく“数学した”一話でした。
文集「こうやまき」(1970年・刊)から,「作手村のむかし」の一話です。
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『川尻のかんのん様』 (文・開成小5 男子)
ぼくは近所に住んでいる七十五才のおじいさんをたずねてこの話を聞きました。
この伝説は,ぼくの住んでいる川尻の里の本郷という所で,昔城山城のあったころのことです。昔から川尻の十一面かんぜおんというほとけ様は,とうといかんのん様で知られていました。だから常日頃おまいりに来ていろいろのおがんをかけて,幸福や健康をいのる人が多かったということです。
今でも老人の人がかんのん様におまいりをしている所を見ることがあります。ぼくはいろいろの人がおまいりに来るから,よほどとうといかんのん様だと感じました。
ある時,作手村の人がばくちをして負けて,金が全然なくなって困った時,川尻のかんのん様は金でできているから,それをぬすんで牛久保という所へ売って,金をもうけようとしました。そしてお堂へのぼり,かんのん様に近づいて,手をさしのばすと,えらい音がしてとびらが開き,後光がさしました。ぬすみに入った人がとびかかったとたんに,その人はお堂の前の石だんの所へ,ほうり出されて腰や足をいためてしまったのです。そしておどろいてびっこを引きながらつえをついて家へあわててにげて帰りました。
ぼくはここまで聞いて,このかんのん様はさっき感じたよりも,ますますえらいとうといかんのん様だと思いました。
それからけがをした人は,近所の人に「川尻のかんのん様はとてもえらいほとけ様で,おれは悪い考えをおこして,近づいたのでばちがあたって石だんまで投げとばされたから,おまいりをして幸福をさずけてもらえ。おれはこりごりして,これからはかんのん様を信こうする。」といって多くの人にいい伝え,人にもうやまれるようになったという伝説です。
ぼくはこの話を聞いてかんのん様や神様は信じなければならないと思いました。
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【関連】
◇又吉直樹のヘウレーカ!(NHK)