集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

「算数・数学ってこんなにおもしろい!」

数学0708。 “夏の暑さ”いっぱいの晴天の一日でした。  午後,小・中学生の親子を対象にした「算数・数学ってこんなにおもしろい! 〜算数・数学の自由研究に取り組んでみよう〜」がありました。  “親子”ではありませんが,“算数・数学つながり”で参加させていただきました。  副題にある「算数・数学の自由研究」は,先日の記事でも紹介しましたが,今年5回目となるコンクールです。  最初の講演は,コンクールの中央審査員を務める中島さち子氏でした。3年前に夏季研修会の講師にお迎えし,その前後でいろいろな話をお聞きして,本や雑誌では知ることのできない“感覚”を得ることができました。  今日,中島氏の話をお聞きするのが一番の目的でした。  講演は『身近なところに算数・数学発見! 〜発見と研究のおもしろさ〜』と題して,自身の“研究人生”をたどりながら,会場の親子に「研究することの楽しさと面白さ」を語りかけました。  最初に“3つの顔”として「音楽家,数学研究,教育」をあげ,その体験から「数学と音楽はグローバル言語」であり,“世界へ行きやすくなる”と言われました。  世界へ出ていくのは英語だけではなく,むしろ数学と音楽で多様な世界へ広がり踏み出ていくことできる,と。  数学に“夢中になる”のは,中学3年「ある1問」との出会いだったそうです。“普通の中学生”は手にしない(読まない)だろう雑誌『大学への数学』に載っていた「今月の宿題」の問題です。  それを“ずっと考えていた”そうですが,中学生の彼女には簡単に解けません。  ずっと考え,失敗し,また考える。そして失敗する。そのまま締切り日。  締切り日,ある閃めきが…。何とか投函…。  この強烈な出会いと経験で,「ずっと考えて失敗し続けたことで,ちょっと自信がついた」「研究ってこういうことか」「研究(考えること)が楽しくなった」と思えるようになったそうです。  小学生の参加者は“これからの出会い”に思いを馳せ,ワクワクしてきたことでしょう。  「めくるめく数学の世界」にどっぷりと浸り込んだ中学・高校時代の話は,とても興味深かったですが,小学校低学年の子には「??」のようでした。でも,将来「どこかで聞いたことがある…」というときがくることと思います。 講演メモから
○素敵な数学者との出会い。個性豊かで変わっている。 ○今こそ数学研究力。2015年から2020年へ。   創造力,クリティカル思考,複雑な問題解決力 ○Hotels.comと未来学者ジェームズ・カントン博士が2060年を予想する。  →「ホテル未来予測レポート」の動画を下部に。 ○考えるベースは「数学」 ○数学研究力は人生の体力になっる   問題発見力,多様な発想,失敗力,直感力,発展・応用力 ○算数・数学の自由研究のオモシロさ  ・身近に算数・数学のタネはいっぱい  ・やり方に間違いはない!失敗こそが面白い!  ・研究に終わりはない! ○音楽と数学と人生と…バッハと対称性   比と美/創造力の旅路 ○まとめとして「21世紀 人が育てるべき力」  ・だまされない力  ・美(本質)を感じる力  ・点と点を繋いでいく創造力&想像力 ○質問する力
 後半は,過去4回のコンクールで「塩野直道賞(最優秀賞)」を受賞した児童・生徒の発表でした。  参加した親子にとって,中島氏の講演も参考になったでしょうが,受賞者3名の「気づき」「発想」「取り組み」は身近で“役立つ”内容だったと思います。  プレゼンなどの内容は参加した方の“おみやげ”として,ここでは発表者の作品を紹介します。
2013年度 塩野直道賞(小学校低学年の部)    ◇「3分時計を作ろう」小笠原愛さん 2016年度 塩野直道賞(小学校高学年の部)    ◇「小牧小学校のトラックに疑問!?リオ・オリンピックから気づく!」丸山藍生さん 2016年度 塩野直道賞(中学校の部)    ◇「球に近い」香田栞理さん
 それぞれのプレゼンのあと,会場からの質問,中島氏からの講評がありました。  これからの研究に役立つ話が続きました。  とても楽しい時間,学びのある話を聞くことができました。  ありがとうございました。 【関連】  あるサイトに紹介されていたコンクールの紹介。
■塩野直道記念「算数・数学の自由研究」作品コンクールとは  全国の小学生・中学生・高校生が、日常生活や社会で感じた疑問を算数・数学の力を活用して解決する、あるいは、算数・数学の学びを発展させて新たな数理的課題を探究するなかで、気づいたことやわかったこと、自らの解決の方法などをレポートにまとめた作品を応募するコンクールです。テーマは自由で、毎年さまざまなテーマの自由研究レポートが作品として集まります。  ■「『走れメロス』のメロスは全力で走ってはいなかった」が話題になったコンクール  以前の大会(第1回)では、太宰治の小説「走れメロス」でメロスは本当に全力で走っていたのかを数学的に検証した作品が受賞し、「メロスは全力で走っていなかった」という検証結果がインターネット上でも話題になりました。2017年に第5回を迎えるコンクールでは、どんな作品が受賞するかが期待されます。
  ◇塩野直道記念「算数・数学の自由研究」作品コンクール公式サイト  中島さち子氏の情報   ◇Nakajima Sachiko Homepage   ◇中島さち子Facebook)   ◇『人生を変える「数学」そして「音楽」』(中島さち子・著)(2012年9月25日 (火) 『福禄寿』(仕事日記から)  「ホテル未来予測レポート」の動画