3-1.2 富山市立堀川小学校の参観(2) (昭和に生きる)
朝には雨は上がっていました。“しっかり降って乾燥が和らぐ”と思っていましたが、それほどは降らなかったようです。
インフルエンザ、風邪への罹患に気をつけましょう。
今週、あちこちで“速度取締り”を行っていました。
「ここで、そんなにスピードを出す?」と思える道路でしたが、交通安全のための取り締まりでしょう。
ドライバーみなさん、速度を控え、安全運転を心がけましょう。
故・渥美利夫氏が還暦の年に著した『昭和に生きる』(1987(昭和62)年刊)からです。
渥美氏の教育実践、教育論は、“昔の話”ですが、その“根”そして“幹”となるものは、今の教育に活きるものです。これからの教育を創っていくヒントもあると思います。
本書のなかから、“その時”に読んで学んだ校長室通信を中心に紹介していきます。「考える」ことが、若い先生に見つかるといいなあと思います。
この項は、「昭和42年『考える子ども』56号」から構成されています。
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戦後教育史の片隅に生きる
教育行政の歯車のなかで
富山市立堀川小学校の参観 <2>
女子師範の代用付属として研究と実践に成果をあげてきた堀川小学校は、新教育発足以来、堀川の地域と子どもの実態に立つ“堀川の教育計画”(昭和二十四年)を構成し、その後“子どもの実態に立つ学習指導”“子どもの見方、考え方、感じ方を育てる学習指導”というように、子どもの追究に一貫した努力を続けてきたのである。
子どもの追究の姿勢は、昭和三十年、授業分析という未開拓な分野に足をふみいれ、授業の分析研究という手のこんだ仕事ととりくんでから四年、三十四年五月“授業の研究 ─子どもの思考を育てるために─”(明治図書刊)として、まとめその成果を世に問うた。
予想外にかかる時間と努力、それにひきかえはっきりしない成果、研究はいくたびか暗礁にのりあげたこともあったであろう。
分析の視点や、成果を総合する角度について頼るべきなにもない不安さ、そして研究の歩みにたいしてしのびよる不安と、未知の世界を開拓するもののみが知る苦渋を、いやというほど味わわされたいばらな道であった。けれどもこの貴重な体験をとおして、分析研究の意義を「ひとりひとりの子どもの考えには、それぞれの根拠がある。どんなつまらない発言の中にも、その子どもの過去の学習経験や生活経験が織りこまれているのであって、それぞれの子どもは、その子なりに独自な考え方の背景をせおって、個性的に問題に対決している。学習指導はまず、このような子どもの考え方の特質を認め、その言い分をすなおに聞きいれることからはじめなくてはならない」としてとらえ、思考が育つということは、「その子どもの内に成長しつつある考え方の総力をあげて、主体的に新しい問題に対決していくのであって、その対決の過程において新しい理解を成立させながら自らの考える力をいっそうふとらせ、高めていくのである。外から与えられるのではなくて、外を機縁として内なるものが発展・拡充・強化されていくのである」と、考えるようになったのである。
それでは、この堀川小の授業分析研究の立場は、どのようなものであったであろうか。“授業の研究”には、「子どもがどのような考えに立っていたのか。それからその見方、考え方、感じ方がどのように発展し、あるいは変容していったかを、あるいは子どもの発言によって、あるいはつぶやきの中に、あるいはその他の動作の中に、作品の中に求めていくこと、……ことなくして、わたくしたちの科学的、実証的な研究ということも成立しない」と明快に記している。
二十年代の“子どもの追究”から“授業の研究をとおしての子どもの研究”へと発展したことになるといってよいであろう。
教育におけるもっとも基本的な問題ととり組み、授業分析の研究をただひたすら続けた尊い記録“授業の研究”では、「授業記録の分析のしかた」「思考発展の契機」と現場研究の一つの指針を示し、初等教育界の注目をあびたのである。
授業の実際の中で、子どもたちがどう考え、どう動くかということを予測することはむつかしく、子どもたちの思考が、どのように発展していくかという道すじについても漠としたみとおししかもたなかった。だから指導案の立案についても、なにを根拠にして、学習過程を想定したのかということについても、十分な根拠と説明ができていなかった。しかしこの課題は、次の第二弾への橋渡しの役目をはたすことになったのである。
(つづく)
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注)これまでの記事は〈タグ「昭和に生きる」〉で
注2)掲載しているイラストは、学年通信(1993・1994年度)用に教員が描いたもので、図書との関連はありません。
【関連】
◇交通安全(愛知県警察)
◇速度取締り(愛知県警察)
【おまけ】
おめでとうございます!
○有識者特別賞『五平餅』
伝統の100年フード部門〜江戸時代から続く郷土の料理〜
○食文化ミュージアム『つくで手作り村』