集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

『よくがんばりました。』(喜多川泰・著)

菓子1216。 用事があって出かけました。
この頃は、こんな感じで…。 以前は○○が多かったけど…。 そして、最近は△△になって…。
 これまでより、“”と“これから”を受け入れ、行動していくことが肝心だと思うことが、いろいろありました。  どうなっていくかは…。  喜多川泰氏の新刊が出ると知人から知らせがあり、予約をして発刊日に届いた『よくがんばりました。』(サンマーク出版・刊)ですが、積んだままになっていました。  カバーのそでに「人間は自分の声を/一番たくさん聞いている。」と書かれています。  本書で、どんな声が聞かれ、その声は誰が発しているのでしょう。タイトルの「よくがんばりました。」も、きっと誰かの声でしょう。  「よくがんばりました。」の声は…。  本書は、中学校の数学教師 石橋嘉人 の語り、独白のように、現在と記憶、思い出が描かれます。  表紙を開き、もくじ前の「春の風のようなひかり 1978」は、44年前の話です。陽子と玉嶋ひかり、二人が描かれます。ここには嘉人は登場していません。  もくじの次は「パノプティコン 2022」。2022年、嘉人がいる中学校の職員室から始まります。  新型コロナ禍のオンライン授業、そして保護者からの声…。  教員の方々には、覚えのある場面、体験した場面でしょう。  4月に赴任した服部校長が、先生方に“スタンプ”を配りました。桜のなかに「よくがんばりました」と刻んであるスタンプです。  ここを読んだとき、この“よくがんばりました”は、校長のエピソードでしかありませんが…。  現在の石橋嘉人は、妻の貴子と娘の、息子のとの4人家族です。  38年前、嘉人は、父(湊哲治)と母(千鶴)の3人で暮らし、家は貸本屋でした。
[あらすじ] 中学校の社会科教師として30年のキャリアをもつ石橋嘉人は、心が不安定な新米教師・山吹日奈の面倒をみながら、コロナ禍で大きく変化する教育現場や子どもたちの心情に憤りを感じていた。  ある日、愛媛県警からの連絡で実父が亡くなったことを知る。父親とは38年前、逃げるように母親と家を飛び出してから会っていないうえに、自分の記憶からも消していた存在だった。時はちょうど「西条まつり」が行われる秋の10月。江戸時代から続く日本一のだんじり数を誇る祭りの高揚感が、唯一の父親との記憶を蘇らせた。義人は、生まれて初めて父親の実像と向き合う決心をする。それは、自分の心を癒す再生の時間でもあった。
 父の死の知らせを受け、西条市に向かいます。  そこで出会った女性、真鍋(郷田)陽子は…。  彼女が話す“父のこと” は…。  話を聞き、嘉人は…。
「なるほど。でもその本は(略)。」 「その本は『旅する本』だったの」 「旅する本?」 「そう。本の最後のページにね、『この本を(略) 」 (略) 「ここは旅する本の港だったの」
 最後の「同行二人 1984」は、哲治の記憶です。  いなくなった息子の顔が浮かんだ哲治の様子で、話が終わります。  その息子(嘉人)の表情は…。哲治のようすは…。  本書を読みながら、読み終えて、いろいろな生き方を考え、振り返りました。  そして、“主人公”は誰なのか、人ではなく場所なのか、いろいろな読み方があるように感じます。  あなたにお薦めです。
   もくじ 春の風のようなひかり 1978 パノプティコン 2022 湊哲治 2022 離郷 1984 故郷 2022 祭りの記憶  御旅所 1982 真鍋陽子 2022 ひかりに照らされて 宮出し 2022 人の凄み 2022 御旅所 2022 同行二人 1984 あとがき
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