『「鎌倉殿」登場! 源頼朝と北条義時たち13人』(大迫秀樹・編著)
天気は回復しましたが,肌寒さのある一日でした。
ニュースが,「新型コロナウイルス下での“制限”が,全国でない状態で迎えたゴールデンウイーク…(略) 行楽地には大型連休らしいにぎわいが戻った…」と,感染対策に気を使いながら外出を楽しむようすを伝えています。
連休中に「新幹線で移動して…,宿泊する…。」ことになりましたが,それぞれ“空きは無し”の状況で,難しそうです。
ゴールデンウイークの後,「感染者は減少し…」の状況であることを強く願い,感染対策をしっかりし過ごしたいと思います。
NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に合わせて鎌倉,鎌倉時代に関する出版や特集がされています。
『「鎌倉殿」登場! 源頼朝と北条義時たち13人』(日本能率協会マネジメントセンター・刊)も,昨年12月の発行であり,“ブームに乗った”一冊だと思います。
『そういうことだったのか!』 知ってるようで意外と知らない日本初の武家政権誕生に迫る! この鎌倉幕府の時代は、だれにも程よく想像力を広げる自由があたえられています。 近世以降と違って、信頼できる史書・文献が限られているからです。また、その記述内容にも幅があり、一様ではありません。 本書が微力ながらお手伝いしますので、これまで明らかにされてきた歴史と、欠落を埋める想像力を働かせながら、この時代に思いを馳せてみませんか?表紙は,4人の“武士(もののふ)”が優しい姿で描かれ,「さあ,いざ鎌倉!!」の言葉が添えられています。 本文で,鎌倉時代や武士の時代の史実と解釈を述べていますが,その難解さや複雑さをメイ ボランチさんのイラストが受け入れやすくしています。 氏名や用語,ポイントがゴシックになり,重要語(?)は下部に解説がついています。 章末にコラム「鎌倉時代のハテナ」があり,「鎌倉時代の武士は,どんな生活を送っていたの?」といった質問に,親しみやすい表現で答えています。 第3章に,北条時政,北条義時,梶原景時,三浦義澄,和田義盛,比企能員,大江広元,三善康信,安達盛長,足立遠元,八田知家,中原親能,二階堂行政の“宿老13人のプロフィール”があります。それぞれ「よみ・生年・没年・出身」と「似顔絵(?)」を付して説明されています。見開きで綴られる三善康信までは「関係者の証言」で3名の証言が載り,人物像が身近に感じられます。 NHK大河ドラマでは,「この武将,印象が違うなあ」と感じることがあるのは,三谷幸喜氏の脚本によるからだと思っていますが,鎌倉時代について“多くを知らない”ことがあるからだとも思います。 歴史の授業で,「イイクニつくろう鎌倉幕府」で1192年を鎌倉幕府成立として覚えました。 でも,それは“違っていた”ようです。 現在の教科書には「イイハコつくろう鎌倉幕府」で,鎌倉幕府の成立を1185年として掲載されています。 このように“歴史が変わる”のは,調査や研究が進むことにより,「史実は一つ」なのでしょうが,伝えられる“歴史”は違ってきます。 鎌倉時代のできごとは,『吾妻鏡』の記述をもとにしますが,この本は「鎌倉幕府の公式史」であり,そこにすべて書かれているとは思えません。 それだけに,この時代に“想像力を働かせて思いを馳せる”ことで,歴史を楽しめるようです。 「北条義時って何をした?」「13人のメンバーは?」など,知っているようで知らない鎌倉時代のあれこれを,本書で学び直して(?)はいかがでしょう。 ところで,先日のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で,大豪族であった御家人の上総広常が梶原景時と双六をしていたところ,突然“謀反の首謀者”として殺害される場面が描かれました。 衝撃的な場面でした。 この事件に関して『吾妻鏡』に記述はまったくないそうです。 『愚管抄』には,大勢の御家人が集う中,二人で双六をしていたところ,突然,梶原景時が切りつけ殺してしまったとあるようで,大河ドラマは,それを描いたようです。 しかし,それまでの梶原の言動や思いなどは,“想像”です。歴史の面白さです。
目次 年表 はしがき プロローグ 無法地帯?東国の夜明け 第1章 「鎌倉殿」が誕生するまで 第2章 幕府の完成と合議制の開始 第3章 2代目「鎌倉殿」と合議制の13人 第4章 新しい「鎌倉殿」姉弟の時代 エピローグ 「法の下」の武家政権 人名索引 参考図書・文献【関連】 ◇イラストレーターメイ ボランチ(クリエポ6/29〜/M-07)(@mei_boranchi)(Twitter)