集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

『同志少女よ、敵を撃て』(逢坂冬馬・著)

花0423。 天気がよく,暖かい日になりました。  木々の若葉が美しく,気持ちよく運転できました。  新緑が綺麗ですが,遠くの景色を見ると霞が濃く白く見えました。黄色くはありませんでしたが,ニュースが「中国北部で発生した2022年最強クラスの黄砂が,日本に飛来する…。」と伝えていた通りに“黄砂”だったかもしれません。  みなさんは,いかがでしたか。  本屋大賞を受賞した『同志少女よ、敵を撃て』(早川書房・刊)です。  発表がロシア侵攻の激しくなった時期となり,それも話題を後押ししたように思えますが,投票締め切りは1月でした。アガサ・クリスティーでは,賞史上初めて選考委員が全員が最高点を付けて大賞となっています。  1940年5月,薪割りの音が響く小さな村から物語が始まります。  とても“魅力のある作品”ですし,主人公と一緒に戦場にいる“臨場感のある作品”でした。  書評に「イッキ読みした」「時間の過ぎるのを忘れた」とあるのを見ますが,登場人物の“”と“関係(相関)”が混乱(?)して,なかなか読めませんでした。
「イリーナ・エメリヤノヴナ・アルスガヤ」「セラフィア・マルコヴナ・アルスカヤ」…
 どうも“カタカナの名”が苦手で,なかなか内容に入っていけません。“相関図”を作りながら読むのがよいようです。
 独ソ戦が激化する1942年、モスクワ近郊の農村に暮らす少女セラフィマの日常は、突如として奪われた。急襲したドイツ軍によって、母親のエカチェリーナほか村人たちが惨殺されたのだ。自らも射殺される寸前、セラフィマは赤軍の女性兵士イリーナに救われる。「戦いたいか、死にたいか」――そう問われた彼女は、イリーナが教官を務める訓練学校で一流の狙撃兵になることを決意する。母を撃ったドイツ人狙撃手と、母の遺体を焼き払ったイリーナに復讐するために……。  同じ境遇で家族を喪い、戦うことを選んだ女性狙撃兵たちとともに訓練を重ねたセラフィマは、やがて独ソ戦の決定的な転換点となるスターリングラードの前線へと向かう。おびただしい死の果てに、彼女が目にした“真の敵"とは?
 猟銃を巧みに操る主人公 セラフィマが,銃を持ち換え狙撃手とし成長していく姿,その過程で悩み,決断し,行動していく“ドラマ”に引き込まれます。  セラフィマの心,言葉,行動に,あなたは何が見えますか。  その“”は,明るいですか。暗いですか。それとも…。  前半の読書メモより
○ 先月まではこの村も疎開か否かの瀬戸際にあった。撤退すべからずの命令が下り,村人たちは砲声を遠くに聞きながら日常を送った。 ○ 「それならば,有用だ。今は殺さずにおこう。それで,改めて聞くが,お前,敵兵について何か気付かなかったか」 ○ 中央女性狙撃兵訓練学校分校の訓練課程は,その翌日に始まった。/午前六時。全員が髪の毛をばっさりと切られた。 ○ 戦うのか,死ぬのか。彼女にはその価値基準しかない。 ○ 「私の知る,誰かが……自分が何を経験したのか,自分は,なぜ戦ったのか,自分は,一体何を見て何を聞き,何を思い,何をしたのか……それを,ソ連人民の鼓舞のためではなく,自らの弁護のためでもなく,ただ伝えるためだけに話すことができれば……私の戦争は終わります」 ○ 「ミハイル曹長だけは僕らを殴らなかった。だから,曹長の言うことは絶対に聞きます」 ○ 照準と発射を手早く終えて,四人中三人を射殺した。/これが自由だ。これが力だ。 ○ 「敵兵を殺したことを思い出したなら,今誇れ! いずれ興奮は消え実感だけが残る。そのときには誇りだけを感じられるように,今誇るんだ! お前たちが殺した敵兵は,もうどの味方も殺すことはない! そうだ,お前たちは味方の命を救った。侵略兵を一人殺すことは,無数の味方を救うことだ。それを今誇れ。誇れ,誇れ,誇れ!」
目次 プロローグ 第一章 イワノフスカヤ村 第二章 魔女の巣 第三章 ウラヌス作戦 第四章 ヴォルガの向こうに我らの土地なし 第五章 決戦に向かう日々 第六章 要塞都市ケーニヒスベルク エピローグ 主要参考文献一覧 謝辞 推薦のことば/沼野恭子 第十一回アガサ・クリスティー賞選評
本屋大賞0423。 地図0423。
【関連】   ◇逢坂冬馬 (@gena_Krokodil)Twitter)   ◇アガサ・クリスティー賞(公益財団法人早川清文学振興財団)   ◇本屋大賞   ◇Audible版『同志少女よ、敵を撃て 』 | 逢坂 冬馬(Audible.co.jp)