集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

蕗の薹。 『他者の靴を履く』(フレイディみかこ・著)

蕗の薹1212。 天気のよい一日でした。  昨年,「いつもより早く蕗の薹(ふきのとう)が出ているのを見つけました。」と,年内に見ることができたことを12月20日の記事に書きましたが,今年は,それより早く蕗の薹が顔を出しています。
 蕗の薹(フキノトウ)はキク科フキ属の多年草で,日本原産の山菜で全国の山野に自生しています。蕗の薹は蕾の部分にあたり,この花が咲いた後には地下茎から伸びる葉(蕗)が出てきます。  春の季節を表現する山菜として,日本料理には欠かせない食材です。独特な芳香と苦味を,香辛料として使用したり,早春の食材として,てんぷら,和え物などに広く利用されています。
 こんなに早く芽を出して,フキは大丈夫なのでしょうか。  自然は,何を伝えようとしているのかな?  話題になった『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の著者 フレイディみかこ氏の“大人の続編”と謳う『他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ』(文藝春秋・刊)です。  著者そして書名を見て「あれっ」,そして前作のような“読みやすさ”を期待しました。
「試験って、どんな問題が出るの?」  と息子に聞いてみると、彼は答えた。 『めっちや簡単。期末試験の最初の問題がプエンパシーとは何か』だった。で、次が『子どもの権利を三つ挙げよ』っていうやつ。全部そんな感じで楽勝だったから、余裕で満点とれたもん」  得意そうに言っている息子の脇で、配偶者が言った。 「ええっ。いきなり『エンパシーとは何か』とか言われても俺はわからねえぞ。それ、めっちやディープっていうか、難しくね? で、お前、何て答えを書いたんだ?」 「自分で誰かの靴を履いてみること、って書いた」
 この解答をした息子を育む環境,そして解答から広がる発想…,そんな文章を期待していました。  ちょっと(?)違いました。難しさを感じる内容と文章でした。
「わたしがわたし自身を生きる」ために―― エンパシー(=意見の異なる相手を理解する知的能力)×アナキズムが融合した新しい思想的地平がここに。  ・「敵vs友」の構図から自由に外れた“エンパシーの達人”金子文子  ・「エンパシー・エコノミー」とコロナ禍が炙り出した「ケア階級」  ・「鉄の女」サッチャーの“しばきボリティクス”を支えたものとは?  ・「わたし」の帰属性を解放するアナーキーな「言葉の力」  ・「赤ん坊からエンパシーを教わる」ユニークな教育プログラム…etc. “負債道徳”、ジェンダーロール、自助の精神……現代社会の様々な思い込みを解き放つ! 〈多様性の時代〉のカオスを生き抜くための本。
 エンパシーとは「他者の感情や経験などを理解する能力」であり,これに対してシンパシーは「誰かをかわいそうだと思う感情や友情」です。そして,前者は能力指し,後者は自然とわき出る感情です。  エンパシーに関する議論や見解を整理し,ていねいに説明されています。そして,著者の解釈や考えを述べています。  “多様性の時代”を生きていくことを考えるヒントを得られる一冊でした。でも,難しかった。
   目次 はじめに 第1章 外して、広げる 第2章 溶かして、変える 第3章 経済にエンパシーを 第4章 彼女にはエンパシーがなかった 第5章 囚われず、手離さない 第6章 それは深いのか、浅いのか 第7章 煩わせ、繋がる 第8章 速いシンパシー、遅いエンパシー 第9章 人間を人間化せよ 第10章 エンパシーを「闇落ち」させないために 第11章 足元に緑色のブランケットを敷く あとがき
【関連】   ◇『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(ブレイディみかこ・著)(2020/04/26 集団「Emication」)   ◇「ブレイディ みかこさんに聞く  “他者の靴を履く”ことの意味」NHK クローズアップ現代+