『ノースライト』(横山秀夫・著)
天気のよい青空の一日でした。
今日,保全会の作業でした。先回に続いての草刈り作業と片づけでした。
先回ほどではありませんが,伸びた草を刈るのは全身を使う作業でした。
荒れた農地が綺麗になりました。みなさん,お疲れさまでした。
作品がドラマ化され,今年の春(5/24)にBSで放送されたことを知らずに,話題となった警察小説『64(ロクヨン) 』の著者 横山氏の名を見て手にした『ノースライト』(新潮社・刊)を読みました。
400ページを超える厚い本でしたが,引き込まれて時間が過ぎるのを気づかずに読み続けました。
表紙は,窓辺にある一脚の椅子が油絵風に描かれています。この椅子が“謎”を語っています。
一級建築士の青瀬は、信濃追分に向かっていた。たっての希望で設計した新築の家。しかし、越してきたはずの家族の姿はなく、ただ一脚の古い椅子だけが浅間山を望むように残されていた。 一家はどこへ消えたのか? 伝説の建築家タウトと椅子の関係は? 事務所の命運を懸けたコンペの成り行きは? 待望の新作長編ミステリー。主人公にとって“ノースライト”は…。 「あなた自身が住みたい家を建てて下さい」と依頼された主人公は…。 新築のY邸を依頼した吉野陶太が,そこに住まなかったのは…。 Y邸に残されたタウトの椅子は…。 建築士の仕事を知っていると,描かれる世界にどっぷり浸れるのかもしれません。 でも,それがなくても,青瀬稔を取り巻く人々そして出来事が,臨場感をもって迫ってきます。 お薦めです。 読書メモより
○ 家がもし,人を幸せにしたり不幸にしたりするのだとしたら,建築家は神にもなれるということだ。人を幸せにしたり不幸にしたりするのは人だと,洗心亭は,あのつましい居宅は教えているのかもしれない。 ○ その夜,青瀬は夢にうなされた。 掛け布団を撥ね上げたのは午前三時だった。息が乱れ,背中にどっぷり汗をかいていた。 タウトの夢だった。 ○ 警察は遺書だと早合点したかもしれない。そんなことを思って改めて見たからか,建物の立ち上がり際に黒い複雑な丸印が描かれているのに気づいた。(略) ○ しかし,ここからだ。今はまだ,ブルーノ・タウトという巨人の肩の上にいる。飛ぶのだ。イメージの成果を無制限に広げ,そこに向かって飛翔する。