集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

『著作権ハンドブック』(宮武久佳/大塚大・著)

鯉のぼり1205。 朝は時雨れた天候でしたが,日中は晴れの“冬の日”でした。  先日の雨で潤ったと感じた空気が,すぐに乾燥して肌や喉が“ガサガサ”してきます。うがいや水分補給をこまめにしたいと思います。  朝,スマホが「震度5弱地震の発生」を通知してきました。  出かけようとすると,再び「震度5弱地震」が通知されました。  当地を挟むような場所での地震に,驚きました。  移動の途中で,遠くに「鯉のぼり」らしいものが見えました。「季節外れなのに,なんで…」と思いながら近づいていくと,そこは人形店でした。  看板・シンボルとして,ずっと揚げているのかな。  一昨年末に『小中学生のための初めて学ぶ著作権』(岡本薫・著)を紹介し,子供達に“知っておいてほしい知識”の一つになっていると,“著作権を知る”ことを勧めました。  その頃は,一人1台端末などの環境整備, オンライン授業・学習の急激な広がりは思い及びませんでした。学校(教育機関)では著作権法の制限が緩和されている活動があることもあり,疎い先生方が少なくありません。現在でも,その状況のまま教育活動・指導に取り組んでいるかもしれません。  図書館の書架に「改正著作権法第35条 完全対応」とある『著作権ハンドブック :先生、勝手にコピーしちゃダメ』(東京書籍・刊)があり,読みました。
 本書は、学校の先生方や事務職の人のために、現場で混乱しがちな「著作権ルール」について平易に早わかりできることを目指しました。学校の児童や生徒、保護者が手に取ることも視野に入れました。  「スマホ脳」が取りざたされる時代、小学生がごく普通に動画や写真を発信しています。うっかりすると、誰だって他人の著作権を侵害してしまいそうです。コンテンツを作る人の権利である著作権は今や、誰もが知るべきルールとなりました。特に教育現場における、著作権のあり方については多くの人が基礎知識をもつ必要が出てきました。(はじめに より)
 第1部で18の著作権の基礎知識を述べ,第2部はQ&A形式で127の常識・非常識を,第3部は10のコラムと,多くの項目をあげています。  先生が「これは大丈夫?」と不安になる活動場面や事柄について,そのほとんどの回答が見つかるでしょう。  第1部は,1ページに「教えて○」と質問を1つ述べ,それについて“ちょさく犬「コピー」”が「大人の方へ」回答します。そして,“助手の「さごじょう」”が「小学生の君へ」分かりやすく説明しています。  大人に十数行で分かりやすく説明された質問に,小学生へ2行で回答されているものがありました。ポイントを外さない,分かりやすく…との構成・記述です。  第2部も1項目が1ページで説明されています。まず「質問」が枠囲みで示され,続けて「Noです。このままでは使えません。」のように明快な回答があります。その後に「なぜ」「気をつけたいこと(Yes)・どうしたらいいの(No)」「キーワード」「わん!ポイント」があります。  次の質問がありました。
Q19 新聞に掲載されている写真と記事をコピーして授業のための資料を作成します。それを事務補助員に依頼して印刷してもらっても問題ないでしょうか。(小学校教員)
 あなたの回答は,Yes ですか,No ですか。  それは「なぜ」ですか。Yes なら気をつけることは何ですか。No の場合どうしたらいいですか。  平易な言葉で説明されていることと,「問題ありません。」「このままでは使えません。」とはっきり言い切っているので,納得感があります。  また,質問によっては,著作権以前の“問題”を指摘して回答をしており,著作権だけが注意すべきことでないことに気づかさせられます。  学校で起こる「著作権では?」と気になる場面のほとんどに回答が得られる豊富な内容です。  先生,著作権について迷いはありませんか。手元に置き,辞書のように使う(読む)ことのできる便利な一冊です。  先生,お薦めです。
   目次 はじめに 凡例 序章 オンライン授業と変更された教育現場の著作権ルール 第1部 5分でわかる著作権の基礎知識  教えて1 著作権ってそもそもどんな権利?  教えて9 隣接する権利(著作隣接権)って、何?  教えて16 学校図書館著作権ルールについての取り決めは?  など 第2部 著作権の常識・非常識  「学校その他の教育機関」について   Q1 社員教育で本をコピーしたい   Q6 教育実習で拡大コピーしたい  「複製」について   Q16 新刊書の点訳は可能か   Q32 粘土で模造したゆるキャラの写真を投稿した  「公衆送信」について   Q38 公衆送信って、なんですか?   Q49 踊りを教えるために楽曲をストリーミング配信したい  「授業」について   Q65 音楽配信サイトを使って合唱したい   Q76 事務職員に教材のスキャンを依頼した  「必要と認められる限度」について   Q86 保護者から届いたデータの扱い方   Q90 本の朗読データの公衆送信  「公の伝達」について   Q91 休み時間に学習動画を流したい  著作権者の利益を不当に害することになる場合」について   Q94 絵画の一部を拡大して模写したい   Q114 壁新聞でのコピーの使用  「SARTRAS」について   Q126 SARTRAS(サートラス)ってなに  など 第3部 著作権なるほどコラム  コラム1 それって引用?  コラム10 人工知能著作権  など おわりに 巻末資料 索引
【関連】   ◇『小中学生のための初めて学ぶ著作権』(岡本薫・著)(2019/12/28 集団「Emication」)   ◇著作権とオンライン学習(もしも校長だったら)(2021/01/08 集団「Emication」)   ◇著作物の教育利用に関する関係者フォーラム 【参考;改正著作権法第35条】   ◇「改正著作権法第35条運用指針(令和3(2021)年度版)」を公表(著作物の教育利用に関する関係者フォーラム)   ◇改正著作権法第35条運用指針(令和3(2021)年度版)(PDF)   ◇「改正著作権法第35条運用指針(令和3(2021)年度版)」初等中等教育における特別活動に関する追補版