集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

『文豪どうかしてる逸話集』(進士素丸・著)

柚子1117。 天気のよい一日でした。  「文豪」と聞いて,何が思い浮かびますか。そして,どんな人物を思い浮かべますか。  国語の教科書に作品が載っていた人…  人生を文学に捧げて最後には自殺をしてしまった人…  後世に残す傑作を残した人…  「文学者の中でも人気・実力ともに傑出した人物」と説明するサイトがありましたが,明治,大正そして昭和初期の作家の名が思い浮かびます。  その文豪が題名にある『文豪どうかしてる逸話集』(KADOKAWA・刊)を読みました。  本書は,文豪を羅列的に,辞書的に説明する構成ではなく,5名の文豪太宰治夏目漱石尾崎紅葉谷崎潤一郎菊池寛)を核として,それを取り巻く作家について述べています。  そして,“凄い作品を残した”という内容ではなく,人間くさい(?)逸話が出典を添えて述べられています。  各章の初めに,登場する作家の関係が,核となる文豪を中心にした「相関図」が載っています。  そして,文豪ごとに,「似顔絵(イラスト)」「プロフィール」「代表作」を紹介し,続いて核となる文豪との「どうかしてる逸話」が2〜3つを載せています。  学校で習った作品から描いた”文豪の姿”とは違うゆる〜い(親しみやすい)話が楽しめます。  本書を読んで,改めて文豪の作品を読みたくなりそうです。  これから作品に触れる子供達(小・中学生)には,もう少し先に読んだ方がよさそうです。  大人のみなさん,文豪と作品を楽しみませんか。  読書メモより
檀一雄は酔っぱらって,太宰治と心中しようとしたことがある。 ○ 太宰のすべてを知る檀だけは「今回は駄目だ」と言い,口を閉ざし,葬儀にも参列せず,胸に残る数々の断片を回想するように『小説 太宰治』を書いたのでした。 ○ 極度の潔癖症だった泉鏡花。菌が怖すぎて,なんでも自前のアルコールランプで煮て食べていた。 ○ 「悪霊」についてお詫び 江戸川乱歩(「新青年昭和9年4月号) ○ 川端康成は,家に入った泥棒をジッと見つめて退散させた。 ○ 菊池は,「文藝春秋創刊号」編集後記に 「この雑誌に,書いてくださる人に一言する。原稿料は,原則として払う。殊に,文筆丈で喰っている人には屹度払う。(中略)投稿も取る。無名の人でも,言説が面白ければ採る」と掲げ,才能がありながら食えない作家たちに飯を食わせ,金銭面で援助し,作品を書かせて発表の場を与えます。
   目次 まえがき 第一章 太宰治を取り巻くどうかしている文豪たち   〜太宰治檀一雄坂口安吾志賀直哉中原中也宮沢賢治〜 第二章 夏目漱石一門と猫好きな文豪たち   〜夏目漱石芥川龍之介室生犀星正岡子規内田百間〜 第三章 紅露時代の几帳面で怒りっぽい文豪たち   〜尾崎紅葉泉鏡花田山花袋国木田独歩幸田露伴淡島寒月〜 第四章 谷崎潤一郎をめぐる複雑な恋愛をした文豪たち   〜谷崎潤一郎佐藤春夫永井荷風江戸川乱歩森鴎外〜 第五章 菊池寛を取り巻くちょっとおかしな文豪たち   〜菊池寛直木三十五川端康成横光利一梶井基次郎〜 あとがき 参考文献
【関連】   ◇進士 素丸 (@shinjisumaru)Twitter